第350回「30代からの出会い方|アプリと街コンに振り回されない心の持ち方」

2026年9月6日

「出逢いたくても、どこに行ったらいいのか全く分からない……」

30歳を迎えた菜々さん(仮名)は、深いため息とともにそう漏らしました。

大学を卒業してから仕事一筋で頑張ってきた彼女。

20代のうちはそれほど焦りを感じていなかったものの、30代を目前にして周りの同級生が次々と結婚し、出産して家庭を築いていく姿を目の当たりにする中で、「自分だけが取り残されてしまうのではないか」という強い焦燥感に襲われるようになったといいます。

そこで菜々さんが選んだ行動が、直接異性と顔を合わせられる「街コン(婚活イベント)」への参加でした。

現代はマッチングアプリ全盛の時代ですが、メッセージのやり取りだけで疲弊してしまったり、プロフィール写真と実物のギャップに落胆したりする「アプリ疲れ」から、あえて直接会って人柄を確かめられる街コンや体験型パーティーに回帰する人は少なくありません。

しかし、勇気を出して飛び込んだその場所で、彼女は新たな壁にぶつかることになります。

1. 「1回会って終わり」の虚しさと、現代の街コンのリアル

菜々さんが参加した街コンは、連絡先交換の時間がしっかり設けられており、何人かの男性とLINEを交換することができました。後日、個別に食事へ出かける機会にも恵まれたそうです。

ところが、その後の展開は残酷でした。

1回食事をしただけで連絡が途絶える「自然消滅(フェードアウト)」が続き、中には二人きりで会った途端、怪しいビジネスやセミナーの勧誘を仕掛けてくる男性までいたのです。

「その気がないなら、最初から期待させるような誘い方をしないでほしい……」

そうつぶやく彼女の表情には、深い疲労と自信喪失の色が滲んでいました。

2. 男女それぞれが抱える「街コンのジレンマ」

街コンのリアルな実態を見てみると、男女双方に異なる葛藤があることが分かります。

まず目につくのが、参加費の大きな価格差です。

一般的な街コンや年代別パーティーでは、女性が1,000円〜2,000円(場合によってはワンコインや無料)であるのに対し、男性は6,000円〜10,000円前後に設定されていることが大半です。

男性側からすれば、「決して安くないお金を払って本気で参加している」ため、どうしても熱量が前のめりになります。

しかし、限られた時間で大勢と話す慌ただしいシステムの中では、どうしても第一印象や分かりやすいスペックでの戦いになりがちです。

スタッフの合図で無理やり交換した連絡先も、イベント翌日には未読・既読スルーされて終わる……という無力感を味わう男性は後を絶ちません。

一方で、費用面で優遇されているはずの女性側も、「軽い気持ちで来ている男性が多いのではないか」「遊び目的やビジネス勧誘に警戒しなければならない」という防犯面でのストレスを常に抱えています。

結果として、「男女ともに出会いにお金を時間を使っているのに、お互いに満たされない」という皮肉な現象が起きているのです。

3. 「一発で運命の人を見つける」という思い込みを手放す

街コンや婚活イベントは、その日の参加メンバーという「めぐり合わせ(運)」に大きく左右されます。

もちろん、私の友人にも地方の街コンで出会った女性とじっくりLINEを重ね、見事に交際・結婚へと結びつけた男性がいます。

しかし、それは全体の割合から見れば決して多数派ではありません。

「次こそは」と意気込んで参加しては空振りに終わり、自分を否定されたような気持ちになってしまうのは、「街コン=その場で運命のパートナーを1人に絞り込んでカップリングする場」という狭い目線に縛られているからです。

では、運に振り回されずに街コンを有意義なステップにするには、どうすればいいのでしょうか。

4. 街コンを「新しいご縁を広げるハブ」として捉え直す

私がお勧めしたいのは、街コンを「直接ゴールを決める場」ではなく、「新しい人脈や世界を広げるハブ(中継点)」として活用するアプローチです。

  • 「異性の友人」を作る感覚で接してみる
    いきなり恋人候補として厳しく値踏みし合うのではなく、「趣味や価値観が合いそうな人」としてフラットに関わってみる。お互いに力みが抜け、本来の魅力が伝わりやすくなります。
  • 「次の出会い」を一緒に作る仲間として繋がる
    意気投合した相手がいれば、「今度お互いに友達を呼んで、2対2で気楽にご飯でも行こうよ」と、合コンや飲み会を企画してみる。相手の背後にある「広大な人間関係」へとご縁を広げていくのです。
  • 趣味コンや体験型のイベントを選ぶ
    飲食中心のパーティーだけでなく、散歩、謎解き、アニメやスポーツなど、共通の体験を通じたイベントを選ぶことで、自然体で会話ができる相手と出会いやすくなります。

「恋愛に直結しない相手と連絡を取るなんて時間の無駄だ」と切り捨ててしまうのは簡単です。

しかし、信頼できる知り合いを一人作るだけで、そこから紹介が生まれたり、思わぬコミュニティへ繋がったりと、「人が人を呼ぶ循環」が生まれます。

まとめ:肩の力を抜いたあなたに、良縁は引き寄せられる

たった数回のイベント参加で、一生を共にするソウルメイトに出会える確率は決して高くありません。

そこで上手くいかなかったからといって、あなたに魅力がないわけでも、運命に見放されたわけでもないのです。

「異業種交流会に参加するような好奇心で、新しい世界を広げてみよう」
「良い友達が一人できたら儲けもの」

それくらいの軽やかなスタンスで臨んだ時、人は一番自然で魅力的な表情をしています。

街コンという一つの会場の中だけに答えを求めず、そこを足がかりにして視野を広げてみてください。

あなたの温かい人柄を本当に必要としてくれる存在は、そうした「肩の力を抜いた先のご縁」から、ふっと現れるものですよ。

投稿者プロフィール

たか
たか
たかさん(公認心理師 )

恋愛や人間関係で悩み、自分を見失っている方に向けた心理コラムを22年間執筆・発信。

メールや通話による1対1の心理カウンセリングは20年以上継続し、累計5,000件以上の相談実績を持つ。

大手ニュースメディア(マイナビニュース等)でのコラム掲載実績多数。

筆者自身、20代から30代前半にかけて「10回連続で片思い失恋を経験する」という壮絶な挫折を経験。
必死なアプローチによる空回りや過度な執着、自尊心の崩壊を自ら乗り越えてきた。

心理学の専門知識(公認心理師・精神保健福祉士などの国家資格)と、実体験に基づく独自のカウンセリング手法を融合。

「相手軸」の執着や過剰適応から抜け出し、ありのままの「自分軸」を取り戻すための具体的なアプローチを提案している。

相手の心理が分からない、過去の未練や執着から抜け出せないと悩む方々へ寄り添い、心の整理と自己受容をサポートする「心の伴走者」として活動中。

【保有資格】

公認心理師(心理職唯一の国家資格)
精神保健福祉士(国家資格)
国家資格キャリアコンサルタント(国家資格)
伴走型支援士
心理相談員
両立支援コーディネーター
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定 II種・III種