第385回「上手くいかなかった過去の恋が忘れられない理由は”ツァイガルニク効果”」
2024年5月でコラムを書き始めて20年が経ちました。
恋愛が上手くいかなくてもがいていた10代から30代までの経験則をもとに、試行錯誤して乗り越えられたコツや気が楽になった取り組みを発信してきました。
上手くいかない恋愛に悩む方の相談に乗らせていただくようになり、十数年活動を続けておりますが、時代が変わっても、「好きだった人が忘れられない」「あの時、ああしておけば」という過去の後悔や未練から抜けきれずに、心の時計が止まっているような生活を送っている相談者様が多いことが特徴です。
10代から50代まで、男女比、片思い、両思い問わずです。
私も過去の後悔から脱却できずに、長年引きずり続けたり、今でも数十年前の恋愛が夢に出てきて、なんとも言えない気持ちに駆られることもあります。
今回は、そんな忘れられない恋愛が、なぜ忘れられずにいるのか、そしてどうしたら前に進めるのかについて考えるヒントになればと思い、心理学の視点も踏まえてコラムを書きました。
結論から申し上げると、「未完結」という要素が非常に大きい可能性が高いです。
どういうことかと言うと、以下のようなシチュエーションであるからです。
・告白したけれども、振られてしまって、恋人にはなれなかった。
・完全に気持ちが切り替われないまま別れることになった。
・やり取りをしていい感じだと思っていたのに、ある日から態度が急変してそっけなくなってしまった。
全て、ハッピーエンドを迎えることなく、自分の気持ちが置き去りになってしまったまま、相手と距離が開いてしまった、または気持ちが成就しなかったというようなケースです。
気持ちが満たされないまま、特にお互いの良い記憶が残ったまま関係性が遮断されてしまうと、脳内では、「未完成なまま過去が美化されてしまう」という傾向があります。
心理学用語では、”ツァイガルニク効果”と言い、続きが気になって仕方がなく、脳内をグルグル山手線のように回里続けているような状況のようです。
参照:ツァイガルニク効果とは?恋愛&仕事で役立つ「続きが気になる!」と思わせる心理学を解説
https://note.enito.co.jp/n/n786395f6dc5e
何が言いたいのかと言いますと、未完成で終わった出来事や関係というものは、いつまでも脳内に美しく残ってしまうという脳の特性であることです。
自分の気持ちが未練たらしいからとか、気にしすぎだからとか、努力や根性だけで塗り替えられるものではなく、脳の構造的に発動し続けていることを意識することで、少しでも楽になれるかもしれません。
では、どうしたら、その未完成状態から脱却することができるのか、という解決法についてですよね。
一つには、「未完成状態を完成させてみる」という直接的解決法が考えられます。
どういうことかと言いますと、例えば告白して断られたのだとしたら、諦めずに何度も気持ちを伝え続けて、成就するまで諦めないということです。
そうすることで新しい局面に進むことができて、告白成就以前の悶々とした気持ちを抱えずに済むようになるかもしれません。
ですが、十中八九の方が、「それができれば苦労しないよ」とツッコみたくなっていることだと想像しています。確かに、そんな簡単に現状が打開できないから苦しみ続けているのですよね。
二つ目には、「過去から脱却することを諦める」という思考、視点の切り替えについてです。
前述したように、未完な記憶は美化されやすく、自分の思い込みや気持ちのスイッチをOFFにしようとしても、そう簡単に変えられるものではありません。
そして、美化されているという感覚が要で、実際は辛いことやしんどいこともあったはずで、自分が選択した何からの事情があったのも事実なはずです。
結果的に上手く行かない未来に進んでしまったように感じているかもしれませんが、あなた様が取った選択肢が間違っていたわけではないと私は思っています。
自己中心的だけではなくて、お相手のことも思っていたからこそ取った行動であったのではないでしょうか。
今が上手く行っていないようだと、あの頃に目を向けて、IFストーリーを描いたり、過去を回顧しては、思い出に浸ってしまうのは、私も何百回以上も経験しているので痛いほどわかります。
ただ、そういう過去があったし、美化されているところもあるかもしれない。
ただただそう感じて、なんとか忘れようとしたり、記憶を強制的にアップデートしようとしないことで、意識する時間は減って行くと思います。
10代から30代くらいまでの出来事を思い出すことが多い傾向のことを「レミニセンスパンプ」と言い、40代以降になってそのような心理状況に駆られやすくなるそうですが、自身のアイデンティティや成長に目を向けている時期とも言いかえられるようです。
過去にとらわれているようで、前進がないようでも、内面では新しい未来に向けて、自分自身の気持ちのあり方や人生において大切なものを見つめ直したり、整理している過程なのかもしれません。
過去があったから大切な今を生きておられます。
人生はなかなか思い通りにはいきませんし(ましては他者の心が関わるならなおのこと)、失敗や挫折を繰り返して深みを増してまいりますし、必要なご縁もつながります。
過去を大事に、あなた様のペースで未来に進んで行きましょうね。
投稿者プロフィール
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恋愛がうまく行かずに、明日を見失っている方に向けてのコラムを20年間発信してまいりました。メールと通話を使った直接対話サービスも10年以上続けております。累計の相談実績は約5000件。
マイナビニュースでも拙コラムの一部を掲載しております。
筆者自身が20代から30代前半まで10回連続片思い失恋を経験したこともあります。
男女の心理が分からない、片思い止まりでどこからどう変われば良いのかさまよわれている方に向けて、拙コラムがお役に立てれば幸いです。
関連取得資格
公認心理師
精神保健福祉士
国家資格キャリアコンサルタント
伴走型支援士
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定II種III種
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