第341回「縁がないからと関係を遮断しないことで結ばれる縁について」

上手くいかない片思い君の名は。,ムスビ,縁について

本日10月4日は、ティアマト彗星が地球に最接近した日と聴くと、一部の方はピンとくるかもしれません。

それは、現在日本映画史を更新中で、観客動員数1000万人、興行収入が130億円超の大ヒット映画『君の名は。』の舞台に登場する架空の彗星のことです。

かくいう私は、公開後3回劇場に観に行っています。

詳しい内容はネタバレに抵触する恐れがあるのでここでは割愛しますが、恋人がいる方はもちろん、運命の出逢いを模索中の方や、報われない片思いに苦しんでいる方に、心のカタルシス効果がある物語です。


さて、過去340回書いたコラムの中でも最も人気があるコラムが第317回「縁がないものを無理矢理追いかけなければ悩みは解決する」になります。

このコラムは恋愛関係にとどまらず、人間関係全般に共通する縁について書いているので、検索エンジンでヒットして、ご覧になっている方が多いことがうかがえます。

今回のコラムも、縁について違う角度から見つめ直す機会になれればという思いでテーマに上げました。

前述した映画『君の名は。』も、まさに男女の縁がテーマに使われています。

縁結びという言葉のように、劇中では組紐というアイテムを使って、「むすび」という表現で、縁についてある主要人物から解説される場面があります。

「土地の氏神さまのことをな、古い言葉で産霊(むすび)って呼ぶんやさ。この言葉には、いくつもの深いふかーい意味がある」

「糸を繋げることもムスビ、人を繋げることもムスビ、時間が流れることもムスビ、ぜんぶ同じ言葉を使う。それは神様の呼び名であり、神様の力や。ワシらの作る組紐も、神様の技、時間の流れそのものを顕しとる」

〝よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それが組紐。それが時間。それがムスビ〟

小説 君の名は。 」より、87ページ14行目から引用

小説 君の名は。 新海誠著

自分にとってソウルメイトと呼ばれるようなパートナーとは、運命の赤い糸で結ばれていると比喩されることも多いですが、作中で「捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり」とあるように、必ずしも一本調子でトントン拍子、順風満帆に縁がつながるものであるとは言い切れません。

今は縁がないように感じても、数か月後、数年後、はたや数十年後に縁がつながるような展開も現実では有り得るのです。

学生時代、片思いの相手や別れた恋人と、同窓会や同級生の結婚式で再会して結ばれたり、音信不通だった友人と数年後に連絡が来て縁が再開するようになったというのは、私自身も経験していますし周りでもよく聞く話です。

私は4年くらい前から男女の人間観察を目的に「新婚さんいらっしゃい」という番組を録画してほぼ毎週欠かさず観ていますが、出逢ってすぐには恋愛を意識しなかったけれども、数年後に再会して結ばれたというケースもしばしば登場します。

今、相手との関係が上手くいっていないからと言って、未来永劫もう駄目だからと諦観して、関係そのものを一気に遮断してしまうと、取り返しがつかなくなってしまう未来につながりますし、断言するのには時期尚早です。

 

脈がないと感じたり、自分が相手から必要とされていないと判断したら、次に進むために距離を置こうとする選択は賛成ですが、感情的になって自ら縁切りをすることがリスキーだと言うことです。

去り際のあなたの行動次第で、縁の結ばれ方に大きく影響してきます。

NGな具体例を上げると、恨みつらみをぶつけたり、無視という行動を示せば、ぷつりと縁が途切れてしまいます。

LINEやツイッター等のコミュニケーションが主体になっているからこそ、「ダメだこりゃ」と感じたら、ブロックや既読・未読無視、フォロー外しといったアクションだけで、リアルの関係を途絶させることが可能です。

もしくは、そのような言葉要らずの方法以外にも、SNSを使って、文字で終結することがいともたやすく実行できます。

関係を終わらせることは簡単ですが、その反面また復活させること、そして信頼関係を再構築することは何十倍、何百倍も難しいです。

たいていは後になって「あの時に感情的になってあんな行動はしなければよかった」と気づいて後悔するものですが、相手に連絡を試みても時既に遅し、修復不可能になってしまうケースを何百と耳にしてきました(もちろん私自身もやらかした経験があります)。

私は自分がそのような態度を取ったことも、相手からされたこともありますが、何年経っても心の傷口が完全に塞がらないまま哀しい思い出として残っているからこそ強調します。


繰り返しになりますが、縁があるかどうかは今、その段階で必ず判明するとは言えないものです。


とりわけ10代、20代と若いうちは、当たって砕けろの精神のように、どれだけアプローチしても手ごたえがなかったら、未練を残さないためにも、縁を切って未来に進むという経験も成長の糧になるでしょう。

けれども、人のご縁というものは意外なところでつながっているものですから、将来想像もしないところで関係が再開することというのは本当に珍しくはありません。

知り合いの知り合いが縁を切った人だったというケースもあるものです。


縁がある人間とは、今が上手く行かなくても、捻じれて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながります。

たとえ恋愛関係という唯一無二の切望する縁でないとしても、将来的にあなたの人生に実りを与えてくれる良縁につながることも大いにあり得ます。

あまりにも次々とインスタントで縁を切り続けていると、いつか因果応報のように自分に返ってくるものですから、あまり人との縁を蔑ろにしたり、感情的になって究極的な行動に走らないようにしたいものです。

せっかく巡り合えた一期一縁を大切に。

Posted by TAKA