第341回「『君の名は。』に学ぶご縁の法則|途切れた糸がまた繋がる心理学」

2026年8月30日

10月4日は、ティアマト彗星が地球に最接近した日と聴くと、ピンとくる方も多いでしょう。

そう、今年で公開からちょうど10年の節目を迎える歴史的大ヒット映画『君の名は。』に登場する架空の彗星です。

公開当時、私は劇場に3回足を運びました。

運命の出逢いを模索中の方や、報われない片思いに苦しんでいる方の心に、深いカタルシスを与えてくれる名作です。

ご縁の不思議と「ムスビ」

過去340回書いてきたコラムの中で、最も反響が大きいのが第317回「縁がない人を無理に追いかけない理由|片思い・執着を手放すと恋愛がうまくいく心理学」です。

恋愛にとどまらず人間関係全般の「ご縁」について触れた内容ですが、今回のコラムも、その「ご縁」について『君の名は。』をヒントに別角度から見つめ直してみたいと思います。

劇中では「組紐」というアイテムを通し、ある主要人物が「むすび」について深く語る場面があります。

「土地の氏神さまのことをな、古い言葉で産霊(むすび)って呼ぶんやさ。(中略)糸を繋げることもムスビ、人を繋げることもムスビ、時間が流れることもムスビ、ぜんぶ同じ言葉を使う。それは神様の呼び名であり、神様の力や。ワシらの作る組紐も、神様の技、時間の流れそのものを顕しとる」

「よりあつまって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、またつながり。それが組紐。それが時間。それがムスビ」 (『小説 君の名は。』新海誠著 より引用)

途切れたように見えても、ご縁はまた繋がる

ソウルメイトや運命の赤い糸と聞くと、何もかもがトントン拍子に進む順風満帆な関係をイメージしがちです。

しかし作中の言葉通り、ご縁とは「捻れて絡まって、時には途切れ、また繋がる」もの。

今はご縁がないように感じても、数ヶ月後、数年後、あるいは数十年後に再び繋がる展開は、現実世界でも大いにあり得ます。

  • 学生時代の片思いの相手と、同窓会で再会して結ばれる
  • 音信不通だった友人から突然連絡が来て、関係が復活する

私自身もこうした経験がありますし、長年人間観察を兼ねて毎週欠かさず観ている『新婚さんいらっしゃい』でも、「出会ってすぐは恋愛に発展しなかったけれど、数年後に再会して結婚した」というエピソードがしばしば登場します。

感情的な「縁切り」がもたらすリスク

だからこそ、今上手くいかないからといって「もう未来永劫ダメだ」と諦観し、感情的に関係を遮断してしまうのは非常にリスキーです。

脈がない、必要とされていないと感じて次に進むために「距離を置く」のは賛成ですが、去り際の行動次第で、その後のご縁の結ばれ方は大きく変わります。

特に現代はLINEやSNSでのコミュニケーションが主体です。「ダメだこりゃ」と思えば、以下のような行動で簡単にリアルな関係ごと断ち切れてしまいます。

  • 一方的なブロックや着信拒否
  • 既読・未読無視
  • 無言のフォロー解除
  • 恨みつらみをぶつける最後の一言

関係を終わらせることは簡単ですが、信頼関係を再構築するのは何百倍も困難です。

後になって「あんな感情的な行動をしなければよかった」と後悔し、修復不可能になったケースを、私はこれまで何百件も耳にしてきました(私自身にも苦い経験があります)。

一期一縁を大切に生きる

10代、20代の若いうちは、「当たって砕けろ」でアプローチし、ダメなら未練を断ち切って次へ進む経験も成長の糧になるでしょう。

しかし、人のご縁は意外なところで繋がっているものです。知り合いの知り合いが、かつて縁を切った相手だったということも珍しくありません。

恋愛関係という唯一無二の形にはならなかったとしても、将来的にあなたの人生を豊かにしてくれる「良縁」に変わる可能性は十分にあります。

インスタントに縁を切り捨てることを繰り返していると、いつか因果応報のように自分に返ってくるものです。

感情的な行動に走る前に、組紐のように「また繋がるかもしれない」という余白を残しておくこと。

せっかく巡り逢えた「一期一縁」を、どうか大切に温めてみてください。

投稿者プロフィール

たか
たか
たかさん(公認心理師 )

恋愛や人間関係で悩み、自分を見失っている方に向けた心理コラムを22年間執筆・発信。

メールや通話による1対1の心理カウンセリングは20年以上継続し、累計5,000件以上の相談実績を持つ。

大手ニュースメディア(マイナビニュース等)でのコラム掲載実績多数。

筆者自身、20代から30代前半にかけて「10回連続で片思い失恋を経験する」という壮絶な挫折を経験。
必死なアプローチによる空回りや過度な執着、自尊心の崩壊を自ら乗り越えてきた。

心理学の専門知識(公認心理師・精神保健福祉士などの国家資格)と、実体験に基づく独自のカウンセリング手法を融合。

「相手軸」の執着や過剰適応から抜け出し、ありのままの「自分軸」を取り戻すための具体的なアプローチを提案している。

相手の心理が分からない、過去の未練や執着から抜け出せないと悩む方々へ寄り添い、心の整理と自己受容をサポートする「心の伴走者」として活動中。

【保有資格】

公認心理師(心理職唯一の国家資格)
精神保健福祉士(国家資格)
国家資格キャリアコンサルタント(国家資格)
伴走型支援士
心理相談員
両立支援コーディネーター
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定 II種・III種