第268回「ありのままの自分を傷つける言葉の刃」
7月11日に世界発アリの目線で昆虫の世界を描いた映画「アリのままでいたい」が公開されました。
昆虫好きの私としてはとても興味を惹かれています。
ありのままでと言って記憶に新しいのが、2014年に流行語トップテンにも選ばれた『アナと雪の女王』の主題歌「ありのままに」ですよね。
子どもから大人まで誰もが口ずさんでいたのを覚えています。
第266回「自分を好いてくれる人間を見下したり、拒絶してしまう心理は」において、この「ありのままの自分を認めること」の大切さについて触れました。
そうは言っても、そう簡単にこんなダメな自分を好きになれるはずがなくて苦しんでいる。
どうすれば認めてあげることができるのかと悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、今回自己肯定感を強くするための一つの方法を紹介したいと思います。
一切お金がかからずに、即効性ではないものの実行するとじわじわと効果を体感できるスキルです。
ずばり、それは下記のような「自己暗示」です。
自分はツイている。
自分なら絶対できる。
自分はよくやった。
失敗したけれども、仕方がなかった。私はそんな自分を許す。
もちろん、内面に語りかけるだけではなくて、言葉に出した方が効力は強くなります。
第231回「思い込みが強い人間こそツイている」 でも紹介しましたが、サッカー選手の本田圭佑選手や松岡修造さんも実践済みです。
その効力は、私自身も何度も体験しています。
絶えず自己暗示を続けたおかげで、宅建や漢検を初めとした30を超える資格を取得できました。
資格ブログの方でも、定期的にこの自己暗示の効力については記事にしています。
他にも長い年月がかかりましたが、じっくりと時間をかけて過去を許して認められたおかげで、
あれだけ暗黒時代だと蓋を塞いでいた大学生活が、今では青春の思い出として切り替わって行きました。
ところで、ありのままの自分を認められる自己暗示や言霊の力ですが、昨今では、間違った使い方をしてわざと自己肯定感を下げている方が目立っています。
例えば、みなさんはこんな言葉を使ったこと、もしくは周りで口にしている人間を見たことはないでしょうか?
俺、最近物忘れがひどくて、若年症認知症だわ。
俺、人の気持ちが読めないKYだから、アスペなのかもしれない。
俺、ADHD気質があるから、複数の動作苦手なんだよね。
アスペはアスペルガー症候群の略です。
正直、私は若年性認知症のくだりを時々使ってしまうことはあります。
そのくらいその言葉が普及しているし、いざという時に自分の置かれている状況を的確に表現するのに、使いやすいのですよね。
でも、実際は誤用なのです。
診断されているわけでもなく、マスメディアや断片的な情報によって埋めつけられたイメージだけで口にしてしまうのです。
本当に病気を患っている人間はあえて口にはしません。
その言葉は、ありのままの自分を認めているというよりも、自分を意図的に傷つけているから危険なのです。
もちろん、聴いている周囲の人間や本当に病気を患っている人間も良い気はしないものです。
ところで、私の友人の年下女子がある時、女子力がないことを嘆いていました。
炎天下で日傘をさしている女性を見て、
「自分は女子力がないから日傘は差さないし、日焼け止めも塗らない」
と冷めた口調で説明してきました。
女子力とは、輝いた生き方をしている女子が持つ力であり、
自らの生き方や自らの綺麗さやセンスの良さを目立たせて自身の存在を示す力、
男性からチヤホヤされる力。(WikiPediaより)
2009年に流行語にノミネートされてから、ファッション誌やメディアを中心に盛んに使われています。
彼女はまだ20代前半なので、シミ、ソバカスもなくて紫外線対策に関心がないようですが、
日よけ対策をスマートにこなしている目の前の女性に憧れの念を隠せない様子が伝わりました。
認知症も女子力も、他人が作った言葉で自分を縛りつけてしまうものだから、要注意なのです。
結局は他者との比較によって、自分で自分の魅力を半減させているのですから。
効力のある自己暗示や言葉は、誰かとの比較ではなくて、いつだって自分が主人公なのです。
自分の内面に向けて、慈愛や肯定の言葉をかけ続ける行為なのです。
これからも様々な使い勝手の良い造語や流行語が登場するでしょうが、くれぐれも使い道には注意です。
言霊という文字の通り、安易に口に出すと具現化して自分の身に降りてくるからです。
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