第33回「本気で死を選ぼうとしたその先には-片思いから壊れていく心」その3

2015年12月1日実体験・人間考察コラム

彼女は包み隠さずに、あっさりと全てを認めた上で、私の問いに対して淡々と説明してくれました。


先輩の言っていたとおり、彼氏は存在するようでした。
 
関係はうまくいっておらず、この先の方向性を悩んでいる様子でした。

先輩との仲については、連絡先を渡されたことがきっかけで、ちょくちょく夜に電話するような関係を築いているのも分かりました。
 

心のどこかで先輩の話は幻で、また昨日までの仲良かった日々に帰りたいと期待している自分もいました。
 
でも、それが現実です。
 
頭が真っ白になっている私に追い討ちをかけるかのように、泣きっ面に蜂の一言が待っていました。

   
正直今、自分は先輩のことが気になっている。もしかしたら恋愛感情なのかな……。


そう漏らす彼女の横顔は、私の前で垣間見せたことがない女の表情でした。
 
正常な理性が崩壊していた自分は、彼女の話を聞いていて激しい怒りの感情に覆われていました。
 
しかし、彼女の面目では、態度に表したら嫌われてしまうかもしれないという恐れから、いつもの”いい人”を演じるので精一杯な自分がいました。
 
彼氏とは別れていないんでしょ。それじゃあ先輩とはどういう関係を築きたいの?
もし先輩と付き合うことを望んでいるのだとしたら、その前に彼氏と決着をつけないとじゃないの?

本音は彼氏とも別れてほしいし、先輩への想いも断ち切ってほしい。
 
今までに聞いたことのない怒涛の真実を知る最中、そこに”自分”の存在が全くないことに失望を感じながら、いつもの自分を演じていたのです。

自分を押し殺して、彼女の傍にいられればいいじゃないか。そうすればまた今まで通り平穏な仲でやっていけるのだから……。

そう我慢に我慢を重ねていた自分の中の何かが切れました。
      

何を都合のいいこと言っているんだ?
 
散々先輩には別れる、今度こそ別れようとしていると告げながら、先輩をキープしている?
一体何人の男を巻き込めばいんだ!!

自分のことを棚において、人の気持ちも知らずに言いたい放題な彼女に対して抑えていた感情が爆発するのをもはや止めることは出来ませんでした。


人のことを弄ぶのもいい加減にしろ!

この瞬間からです。
 
私の片思いが奈落の底へと向かっていったのは。
  
携帯電話を強く握りしめた私は彼女にこう語りかけていました。
     
「自分が何より君のことが好きなんだ。彼氏にも絶対勝てる自信がある。だから自分と付き合ってほしい」

たった一日で人生がここまで激変するなんて予想もつきませんでした。

行動を起こしてしまったその時から過去に戻ることは出来なかったのです。
      
      
      

2015年12月1日

Posted by TAKA