第33回「本気で死を選ぼうとしたその先には-片思いから壊れていく心」その3

彼女は包み隠さずに、あっさりと全てを認めた上で、私の問いに対して淡々と説明してくれました。


先輩の言っていたとおり、彼氏は存在するようでした。
 
関係はうまくいっておらず、この先の方向性を悩んでいる様子でした。

先輩との仲については、連絡先を渡されたことがきっかけで、ちょくちょく夜に電話するような関係を築いているのも分かりました。
 

心のどこかで先輩の話は幻で、また昨日までの仲良かった日々に帰りたいと期待している自分もいました。
 
でも、それが現実です。
 
頭が真っ白になっている私に追い討ちをかけるかのように、泣きっ面に蜂の一言が待っていました。

   
正直今、自分は先輩のことが気になっている。もしかしたら恋愛感情なのかな……。


そう漏らす彼女の横顔は、私の前で垣間見せたことがない女の表情でした。
 
正常な理性が崩壊していた自分は、彼女の話を聞いていて激しい怒りの感情に覆われていました。
 
しかし、彼女の面目では、態度に表したら嫌われてしまうかもしれないという恐れから、いつもの”いい人”を演じるので精一杯な自分がいました。
 
彼氏とは別れていないんでしょ。それじゃあ先輩とはどういう関係を築きたいの?
もし先輩と付き合うことを望んでいるのだとしたら、その前に彼氏と決着をつけないとじゃないの?

本音は彼氏とも別れてほしいし、先輩への想いも断ち切ってほしい。
 
今までに聞いたことのない怒涛の真実を知る最中、そこに”自分”の存在が全くないことに失望を感じながら、いつもの自分を演じていたのです。

自分を押し殺して、彼女の傍にいられればいいじゃないか。そうすればまた今まで通り平穏な仲でやっていけるのだから……。

そう我慢に我慢を重ねていた自分の中の何かが切れました。
      

何を都合のいいこと言っているんだ?
 
散々先輩には別れる、今度こそ別れようとしていると告げながら、先輩をキープしている?
一体何人の男を巻き込めばいんだ!!

自分のことを棚において、人の気持ちも知らずに言いたい放題な彼女に対して抑えていた感情が爆発するのをもはや止めることは出来ませんでした。


人のことを弄ぶのもいい加減にしろ!

この瞬間からです。
 
私の片思いが奈落の底へと向かっていったのは。
  
携帯電話を強く握りしめた私は彼女にこう語りかけていました。
     
「自分が何より君のことが好きなんだ。彼氏にも絶対勝てる自信がある。だから自分と付き合ってほしい」

たった一日で人生がここまで激変するなんて予想もつきませんでした。

行動を起こしてしまったその時から過去に戻ることは出来なかったのです。
      
      
      

投稿者プロフィール

たか
たか
たかさん(公認心理師 )

恋愛や人間関係で悩み、自分を見失っている方に向けた心理コラムを22年間執筆・発信。

メールや通話による1対1の心理カウンセリングは20年以上継続し、累計5,000件以上の相談実績を持つ。

大手ニュースメディア(マイナビニュース等)でのコラム掲載実績多数。

筆者自身、20代から30代前半にかけて「10回連続で片思い失恋を経験する」という壮絶な挫折を経験。
必死なアプローチによる空回りや過度な執着、自尊心の崩壊を自ら乗り越えてきた。

心理学の専門知識(公認心理師・精神保健福祉士などの国家資格)と、実体験に基づく独自のカウンセリング手法を融合。

「相手軸」の執着や過剰適応から抜け出し、ありのままの「自分軸」を取り戻すための具体的なアプローチを提案している。

相手の心理が分からない、過去の未練や執着から抜け出せないと悩む方々へ寄り添い、心の整理と自己受容をサポートする「心の伴走者」として活動中。

【保有資格】

公認心理師(心理職唯一の国家資格)
精神保健福祉士(国家資格)
国家資格キャリアコンサルタント(国家資格)
伴走型支援士
心理相談員
両立支援コーディネーター
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定 II種・III種