第185回「人生はやり直せるかを実践した結果-その9-」

実体験・人間考察コラム

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説明会のすぐ後に、私の運命を変えるチャンスが舞い込んできました。

何かに吸い寄せられるかのように、学内の掲示板に立ち寄ったのです。

大学で募集しているアルバイトやボランティアの一覧を見ていると、ひときわ興味を惹かれる募集事項がありました。

「夏期限定の短期留学生達の日本語授業ボランティアを行いませんか?」
 
大学入学直後はサークル活動に着眼していたため、ボランティアという発想は一切ありませんでした。

私の中でかつてない胸の鼓動を覚えました。

既に教育の世界に関心が高まっていた私は、留学生に日本語授業のサポートをするという新しい取り組みに釘付けになりました。

同時に、英語力に自信がなかった私は、コミュニケーションに不安もよぎりましたが、それ以上に好奇心の方が勝っていました。

ボランティアはお金は得られないものの、それ以上のものに出逢える予感がしたのです。


私は自分の心に従って、勢いに乗っかるように、この企画に参加することにしました。

それから3日後のことです。

はじめの一歩である日本語授業ボランティア概要のガイダンスに参加しました。

そこにはざっと80名ほどのボランティア志望の学生達が集まっていました。

国際交流の関心の高さがうかがえました。


7月下旬から8月末までのおよそ一か月の期間で、アメリカ、イギリス、中国、韓国籍の留学生達が対象であることを知りました。

カリキュラムは留学生達のレベルに応じて組まれています。

日本語初級から上級までの5段階まであり、最上級の5ともなると、日本人と対等(もしくはそれ以上)に、日本語で議論できるほどの語学力だそうです。

留学生達はみな向学心に溢れていて、難関の留学選考試験で選ばれた少数精鋭の学生達ということでした。

説明を聴き終えた私は、未知との遭遇にワクワク感が満ちていました。

何かが確実に動き始まる予感が俄然強くなったのです。


7月下旬、そして訪れた日本語授業ボランティアの初日に、高ぶる衝動を抑えながら、

私は彼らの待つ教室へと急ぎました。

ちょうど、廊下から後ろのドアにある小窓から室内が見渡せて、留学生達の背中が視界に飛び込んできました。

私はドキドキを隠しきれずに、ためらうことなくドアを開きました。


サークルの部室に立ち尽くして踵を返したようなためらいは、微塵もありませんでした。


続く

Posted by TAKA