第185回「人生はやり直せるかを実践した結果<2回目の大学生活>-その12-」
※前回はこちら から
私は留学生の中でアメリカ人のケビンと意気投合しました。
初対面での握手がインパクトが強かったというのもありますが、年齢も一つ違いだったので、親近感が湧いたのです。
浅草旅行では日本人と留学生がペアになって自由行動を行うのです。
私はケビンに声をかけて行動を共にしました。
彼が会話の中で、「電子辞書が欲しい」と口にしていたのを逃さずに、思い切って秋葉原の街に観光を含めて行ってみないか誘いました。
よろしくおねがいします!!
とびっきりの笑顔で、二つ返事でOKしました。
浅草で現地解散になった後に、私とケビンは地下鉄を使って秋葉原に向かいました。
授業の枠を超えたコミュニケーションの開始です。
未知の体験から、私は胸のワクワクを抑えきれませんでした。
車内での彼との会話は、日本語中心で交わしました。
事前に講師の先生が、
「日本語力を向上するためには、日本人と日本語で会話を重ねることが、
一番上達につながるので、授業内外問わずにできるだけ日本語での会話を努めてください」
と留学生達にアドバイスを送っていたことが起因していますが、内心私自身が英会話に自信がなかったので、うまくコミュニケーションが取れるかの心配はありました。
それも杞憂に過ぎず、ケビンは、日本語や日本文化を学ぶために来日しているので、英語を使って日本人と会話することを求めていませんでした。
会話の途中でつまずいた時は、中学レベルの5W1Hや、英単語を並べると、理解してもらえる場面も多くあり、それでも伝わらない時は、私が持っている電子辞書で日本語を英語に変換したディスプレイを見せたりして、意思疎通を深めていきました。
ケビンは23歳で、アメリカの大学では映像技術を勉強しており、小津安二郎や黒澤明といった、1900年台初期の名監督の映画を気に入っていたようでした。
日本を知るきっかけになったのは、幼少時代に、シカゴでカラテを習い始めたことからでした。
そんな過去のエピソードを聴いているうちに、あっという間に現地に到着しました。
目的のヨドバシカメラに着くと、見渡す限りの電化製品を前にして、ケビンは感嘆の声を漏らしていました。
わ~~~おぉ!!!スゴイです!!
その一部始終が、まるで、初めておもちゃを手にした幼児のような純粋な振る舞いに見えて、私は忘れていた何かを思い出させてもらいました。
ケビンが免税コーナーで電子辞書を購入した後に、次の目的へと切り替えました。
近くのAKB劇場があるビルのゲームセンターに向かいました。
目的は、音楽ゲームをプレイするためです。
電車の中で、私は音楽ゲームが好きであることを伝えると、ケビンもギターが好きで、日本の音楽ゲームはいくつか知っているので、ぜひプレイしてみたいというリクエストを述べてきたのです。
そこで、一緒にギターフリークスや、ビートマニア、ダンスダンスレボリューションというゲームを一通りプレイしました。
ケビンにとっては、どれも初めての体験だったようですが、刺激的で面白かったようです。
一汗かいた後は、サイゼリアで、夕食を摂りました。
彼は、私の食欲を凌駕するほどの量をオーダーしていました。
電車内では収まりきらなかった話題を交わして、彼との距離を縮めて行きました。
あんなに胸が躍ったファミレスでの会話はありません。
この日を境に、ケビンとは、授業の終わりに色々な時間を共有するようになりました。
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