第33回「本気で死を選ぼうとしたその先には-片思いから壊れていく心」その1
死にたい、苦しい、助けて……。
そう訴えてくるメッセージを見て、10年経った今でも胸が締めつけられています。
誰かを本気で好きになったからこそ襲ってくる絶望感と無気力は、体験した人間でないと解らないものです。
古傷のように今でも胸がヒリヒリするほどの反動を受けた恋愛は私にもありました。
みなさんと同じように死を自ら選び、その先に進もうとした時期がありました。
これから話す物語は、私という弱い人間が堕落していく過程を描いています。
死にたいと唱え続けた結果、どのような末路を辿ったのかを追体験していただければ幸いです。
とりわけ重い描写が目立ちますが、生きることを考えるきっかけにしていただければと願います。
きっかけは”失恋”でした。
それも想いが成就しないままに終わらせた片思い失恋です。
出逢いは19歳の夏です。
アルバイト先で同時期に入り、年も同じということもあってすぐに意気投合しました。
恋愛感情に移るのまでに時間はかかりませんでした。
気が付けば、
「この人しかいない、この人のためならなんでもできる」
と、他の何を捨ててでも彼女の事を一途に想える自分へと変わっていました。
その時の自分は周りが見えておらず、彼女に固執することで、自分のアイデンティティ=存在価値を見出そうとしていたのです。
そんなある日、非情な現実をつきつけられました。
彼女に恋人がいるという事実です。
ちょうど次の休日に2回目のドライブデートをこぎつけていた矢先だったので、動揺を隠しきれませんでした。
彼氏がいた……?
「好きな人が職場にいるか」という話題を休憩室で先輩と話している最中のことでした。
その先輩の口から語られたのです。
本音(彼女を好きだという気持ち)を悟られないように平然を装って振る舞いましたが、部屋を出た後に仕事中にもかかわらずトイレにかけこみ、その場に崩れ落ちました。
あんなに親しくて何でも話せて、彼女も自分に心を開いていたと思っていたのに、彼氏がいることなんて一言も口にしなかったぞ。
疑心暗鬼と絶望感の狭間でなんとか理性を保っていました。
続く
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