第380回「社内恋愛は辛いよ。~非正規社員が正規社員に片思いした末路から~」

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私は仕事柄、19~21歳くらまでの現役大学2~3年生と交流する機会があるのですが、オンライン授業の導入もあり、「同級生たちと生身で接する場面は多くない」という声を耳にします。

コロナ禍によって、コミュニケーションの在り方に変化が生じ、以前よりも生身の交流が減り、男女の出逢いの機会が少なくなったと感じられておられる方々が多いのではないでしょうか。

そんな中、社内や学校きっかけでの恋愛は時代問わずに見られますし、私に相談をしてくださる方の大半が社内学校内恋愛です。

このコラムをご覧のみなさんも、今まさに経験中なのかもしれませんね。

かくいう私も、これまでの半生を振り返っても、社内恋愛の酸いも甘いも経験させていただきました。

そう書くと、経験豊富に見えてくるかもしれませんが、確かに、社内恋愛片思い失恋に関しては、思い通りにならない経験でしたら豊かであると思っています。

上手くいかなかった時の影響を考えると、できれば社内は避けたいという考えを持っていた私ですが、みなさんお分かりのように、恋愛にスイッチが入る瞬間というのは理屈ではなくて、心で制御できなくなるような衝動から始まってしまうのですよね。

私がかつて社内恋愛で好きになった女性にはある共通点があって、立場の違いというものがありました。

どういうことかと言いますと、私が非正規職員で、相手の女性が正規職員という違いであったということです。

私に相談してくださる方は、正社員同士であったり、派遣で入社してきた方を好きになるというケースが多いですが、私は決まって、正社員の女性を好きになったことがスタート地点だったのです。

経済的にはお相手の女性の方が豊かですし、自分の方が年上であった共通点もあるので、職業的なアドバンテージが少ないことは頭でわかっていました。

となると、人間的、異性としての魅力をどう伝えられるかで勝負が分かれるという話になってきます。

「なんとなるんじゃないか」という根拠のない自信や「ハッピーエンドを迎えているイメージング」を抱きながら、非正規労働者である負い目のような気持ちをできる限り持たないように努めました。

そう思わないと、やっていけないというのが大きかったですが、現実は非情で、自分の連絡先を書いた紙を渡しても、返ってこないというパターンが何度か続き、そもそもプライベートの関係性を築くためのスタートラインを切れないという痛い経験を複数味わいました。

一方的に連絡先を渡して、あとは相手の出方を待つというやり方は得策ではないと分析するようになりました。

今思えば、渡された連絡先に自分から連絡をするという行動に移るのは、好意がなければするわけがなくて当たり前の話ですが、当時は根拠のない自信もあったので、いつか来るはずだと信じていたところがありました。

その後は、紙ではなくて直接相手と話をしている流れで、LINEの交換を図るようにし、断られることなく成功できました。

そこからが本当の勝負の始まりでした。

なんと言っても相手は職場の人間で、しかも週5で毎日顔を合わせるだけではなくて、一緒に仕事を行うこともあるので、たとえLINEの交換ができたとは言え、自分の気持ちを一方的に伝えるようなリスクのある行動には移れません。

自分の気持ちを伝えられないもどかしさに加えて、返答がくるまでの精神的な不安定さととくと向き合うことになり、早く気持ちを伝えて楽になりたいという衝動に何度も襲われました。

社内恋愛は、仕事の自分と恋愛の自分を常に意識して、克己心を持たなければならないので、あれほどしんどい修業のような時間はそうないと思っています。

それに、自分の中では努めて冷静に対応しているつもりでしたが、社内恋愛の場合は、二人でやり取りをしている様子を他の社員に見られているわけです。

特に勘が良い女性職員がいたりして、ある時には「〇〇さんを好きになるのは諦めた方がいい」という謎の忠告をされたことがありました。

それも、理由が分かればまだ納得のしようがありましたが、答えは教えてもらえなかったので、気持ちの整理がしづらく、「自分の気持ちが悟られてしまった」という焦燥感に支配されて、会社での自分とどう折り合いをつけたら良いのか動揺することになりました。

こう書くと冷静になれますが、当時は会社に行くのも怖くなって、監視されているのではないかという強迫観念のような気持ちに支配された時期もありました。

そのうちに、相手の女性が元カレとよりを戻しそうだとか、友達の紹介で新しい男性に逢ったとか、不本意な情報が仲良しの社員から聴かされる場面が増えて(私の気持ちは伝えていません)、社内片思いの辛さをとくと味わっていました。

当事者同士のやり取りだけではなくて、そこに身近な第三者がかかわってくるというのが社内恋愛の良いところと悪いところですよね。

それからLINEでのやり取りは続くものの、プライベートで逢えるような一歩進んだ関係には発展できず、数か月も経つと、「なんとかなる」という根拠のない自信よりも、「もう無理かも」という先の見えない不安から自信喪失する気持ちの方が勝って行きました。

それでも、社内恋愛で暴走した後に待ち受けている職場への影響を忘れたことはなくて、いきなり告白するというような行動だけは最終手段として控えるようにしていましたが、お菓子の差し入れをしたり、仕事ぶりを労ったりするなどして、自分の好意はできるだけ小出しにし続けて、転機を信じ続けました。

その結果、二人で食事に行くことができましたが、最終的にそれ以上の関係に進展させることはできませんでした。その後も何度か誘ってみたものの、煮え切らない返事で実現に至らなかったのです。

ついには相手が異動することが決まった最終日に、手紙に気持ちを添えて、長かった社内片思いにけじめをつけたのです。

お察しのように、見事に成功とはいかずに、片思いが報われることはありませんでした。

今振り返っても、しんどい思いの方が圧倒的に多く、仕事にも影響していて相当メンタルが不安定になっていた時期もありました。

結果的には成就しませんでしたが、やれることは出し尽くしたという思いは残っています。

それから数年後、その女性がどうなったと言いますと、彼氏とよりを戻して、結婚し、最近お子さんを授かったというとんとん拍子の情報を元同僚から聴きました。

どれだけ頑張っても、努力だけではどうにもならない社内恋愛の限界としんどさというものだけはよくわかります。

本来ならば、ハッピーエンドで締めくくれば、みなさんの恋路にとってプラスになって弾みになれたのにと思いますが、私は思い通りにならない社内片思いを何度も経験しているからこそ、みなさんのそのつらさややるせなさだけは痛いほど共感できます。

やれるだけやっても相手の気持ちを自分に向けることはできませんでしたが、何もやらずにただ黙って諦めていたら、ずっと後悔が残っていたと思います。

人生のうちに、そう本気で頑張れるようなお相手というものはそう何度も巡り合えるものではありません。

「できれば避けたかった」という気持ちと、「近くで逢えて嬉しい」という相反する気持ちがジェットコースターに乗っているような感覚で押し寄せてくる社内や学校での出逢い。

みなさんの勇姿を想像しながら、私のこの体験談をご覧になって、何か少しでも現状打開の糸口につながれればという思いで締めくくります。

今進んでいる道、そして選んできた道、あなた様は間違っていません。

Posted by TAKA