第384回「あれもこれもほしがるなよ」

今回のコラムタイトルですが、相田みつをさんの有名な詩でもあります。

なぜ今回、このような文字を主題にしたかと言いますと、若者の恋愛相談をうかがっている中で、心の中でそう感じる瞬間がしばしばあるからです。

私がこのサイトで行っているカウンセリング活動とは異なる場面で接した経験からになります。

ある日、20代前半女性の悩みをうかがっていると、「なかなか運命の出逢いに巡り会えない」とぼやいています。

女性率が高い職場で働いているので、身近なところでの縁がないそうで、マッチングアプリ中心で出逢いを探しているようなのですが、何人、何十人とやり取りしても理想の男性とマッチングできないと言うのです。

実際に、アプローチされる数は多いようで、リアルでも面会する機会もしばしばあるようなのですが、お相手は本気なようでも、自分は一切気持ちが乗らなずに、2回目以降は自分から切ってしまっているそうです。

彼女いわく、遊びの恋愛ではなくて、結婚を見据えたご縁を求めていました。

では、そんな彼女が恋愛に求める要件は何なのかと言うと、細かい条件を次々と口にしてきました。

第一に、「外見」第二に「社会的地位」。

具体的に言うと、正社員で年収600万円以上が絶対条件であること。

他の要件は、結婚前提であること、お相手の家庭に嫁ぐのではなくて、自分を第一に家庭を築いてほしいから、長男は避けたい。

自分ひとりの時間を大切にしたいから寝室は別で、自由に動くことを拘束しない。料理が上手い人・・・・・・言い出したらキリがないくらい満面の笑みでつらつらと重ねていました。

「あれもこれもほしがるんじゃないよ」

そこまで聴いて、つい、本音を漏らしていました。

相手からしてもらうことばかりで、「それでは自分は何を相手にしてあげられるのか」と尋ねると、言葉に詰まっていました。

どうやら他の人間からもこのような話をするとそう突っ込まれるようで、自分が相手にしてあげられることは思い浮かばずに、してもらうことばかり考えてしまうそうなのです。

ですが現実的にそのようなご縁とつながることはなく、「なんで自分は恋愛が上手く行かないのか」と嘆いている彼女が目の前にいるのです。

恋愛は独りよがりではなくて、相互で関係性を構築して行かなければならないことは頭ではわかっているものの、自ら努力をして魅力的な相手と釣り合う努力よりも、自動的にそのようなご縁が到来することを望んでおり、理想と現実に苦しんでいました。

彼女については、そもそもなぜ結婚をしたいと思うのかの動機についても、楽をしたい、相手に養ってもらいたいという思いがひしひしと伝わってきたので、「そんな都合がよい男性は存在しないよ」ということは強調しました。

例にもよって、仲の良い知人等からも同じ言葉は告げられているようで、頭ではわかっているようですが、譲れないれないの条件があるとの一点張りでした。

そんな彼女は、「自分を愛してもらいたい」という欲求が強く、自分の生き方に自信を持てずに、暗中模索している日々でもありました。

この苦しみから解放されるために、結婚をして家庭を持てば楽になれると信じて止まないようですが、現実はそう思いどおりにはいかないことはわかっているでしょう。

彼女が条件重視ではなくて、心から「この人だ」という男性が現れたら、また今までとは違う変化が生まれるかも知れません。

あれもこれもほしがらずに、一人の人間と心から向き合えるようになれるのか、これからも見守って行きたいと思います。

投稿者プロフィール

TAKA
TAKA
恋愛がうまく行かずに、明日を見失っている方に向けてのコラムを20年間発信してまいりました。メールと通話を使った直接対話サービスも10年以上続けております。累計の相談実績は約5000件。
マイナビニュースでも拙コラムの一部を掲載しております。

筆者自身が20代から30代前半まで10回連続片思い失恋を経験したこともあります。

男女の心理が分からない、片思い止まりでどこからどう変われば良いのかさまよわれている方に向けて、拙コラムがお役に立てれば幸いです。


関連取得資格

公認心理師
精神保健福祉士
国家資格キャリアコンサルタント
伴走型支援士
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定II種III種