第209回「恋愛運のせいにして報われない恋に執着しないでください」
世の中のカップルや既婚者が全て順風満帆ならば、殺人、DV、虐待、浮気、不倫といった二文字を知る由もないでしょう。
男女間のもつれや愛憎劇は、もはや私が語るまでもなく日常的に繰り広げられています。
私はかつての仕事で、DV被害や離婚裁判で、家庭崩壊の危機に陥っている家族の声を多数聴いてきましたが、今日では決して他人事とは言えないくらい件数が増えています。
交際しているからと言って、必ずしもお互いが幸せな関係性を築けているとは限らないのです。
厚生労働省の「平成26年人口動態総覧」によると、最新の年間離婚件数は22万2千件で、婚姻した3組に1組、時間にすると約2分おきに1組が離婚しているという驚愕の数字が男女の一つの現実を物語っています。
さて、今宵も恋愛に悩む一人の女性の生声をもとに、展開していきます。
私ってなんて男運がないんだろう・・・ 。
そうため息ながらにぼやいたのは、20代後半の友人であるKちゃんです。
Kちゃんは自分が好きになった男性には浮気をされてしまったり、体の関係だけを求められていて、彼に大切にされている実感を覚えたことは一度もないというのでした。
彼女は好きになった人間には全力で応えようとする愛情深い“尽くしすぎてしまう”女性です。
彼氏がお願いすれば、例え自分の予定があったとしても、彼の要求を優先している日常です。
歴代の彼氏達は、例外なくそんな彼女を都合の良い存在として扱っているのでした。
痛切な恋愛経験を積み重ねたKちゃんが挙句に発したのが、冒頭の「自分には男運がない」といった運命を祟るつぶやきです。
実は、Kちゃんのように、自分がどれだけ相手を好きになっても報われなかったり、たとえ付き合えたとしても、心を通わせられている実感が湧かずに欲求不満を抱えながら恋人と向き合っている異性は少なくはないのです。
自分はなんて恋愛運がないんだろう。
どうしても、いつも同じことの繰り返しなんだろう。
どうしたら改善できるのか分からないけれども、恋愛の神様に見放されているとしか言えない。
そこで、恋愛のパワースポットに足を運び、苦しい時の神頼みを行ったり、占いや宗教に没頭する人間模様もたくさん目にしてきました。
しかし、一時の気休めになっても根本が解決することなく、また我慢を重ねる恋愛が待っているのです。
恋愛運が悪いからパートナーと幸せな関係を構築できないのでしょうか。
これまでの経緯をご覧くださったみなさんなら薄々気づかれているかもしれませんが、Kちゃんのように哀しい恋を繰り返してしまうのは、恋愛運の良し悪しが要因になっているのではないのです。
運のせいではなくて、全ては自分が招いた結末だと言えるのです。
極端な言い方をすれば、自分を大切にしてくれない人間を自ら選んで、そこから抜けきれずに労力を費やしているのは因果応報なのです。
相手の悪いところには目を背けるものの、いずれ我慢の限界を迎えて破局を迎えるわけなのです。
仮になんとか結婚にこぎつけたとしても、相手の振る舞いからこれまで以上に我慢を重ねるようになり、ますます関係に溝が深まり、泣く泣く離婚と言う選択を取らざるを得なくなってしまい、心身ともにボロボロになってしまう結末も珍しくはないのです。
このサイクルに気づいて、新しい生き方を選ばない限り、幸せな恋愛を掴むことは出来ないのです。
Kちゃんがもし、方向転換して自分のことを愛してくれる男性を選んだとすれば、遅かれ早かれ、思考の歪みが変化してくるであろうことは想像できます。
けれども渦中の人間からすれば、物事をシンプルにとらえられずに、そういう客観的な視点を持てないものです。
友達に相談して、「そんな相手はやめておけ」と忠告されても、認めることが出来ずに孤独感が増す一方かもしれません。
もう少しだけ自分が我慢すれば相手が変わってくれるはずだ。
自分に魅力がないから相手が浮気してしまったんだ。
ここまできて自分が身を引いたら、これまでの苦労が水の泡だし、もう恋愛のチャンスなんて見えなくなってしまう。
失うことの恐怖や独りになってしまうリスクが脳裏によぎって、一歩踏み出すという選択を選べずにいるのです。
第192回「諦める勇気、執着を手放して開運上昇」 でも述べましたが、ことが恋愛になると、
「もう少しだけ頑張れば相手が変わってくれる」
とか、
「ここまで来て諦めたら不幸になる」
と言う考えは、全て人生を損にしてしまう危険性をはらんでいるのです。
何度も口にしているように、人の気持ちというものは、自分の努力や情熱だけではどうすることも出来ないものですし、自分がどれだけ尽くしたり、投資したとしても、相手が好意的に受け取ってくれるとは限らないのです。
自分を認めて尊重して愛してくれない相手を想い続けて変化を求めても、時間と労力の無駄になってしまうのです。
たった一度の人生だからこそ本気で相手を愛したいという決意は分かりますが、人生は二度と取り戻せないからこそ、自分に合わない人間に対して全力を尽くし続けることほどもったいない生き方はないのです。
ここまで来たら身を引けないという窮地に立たされているような気分にいたとしても、心のどこかではもう限界であるというSOSのサインを痛感しているはず。
そこまで来たら失うものはこれ以上ないのです。
ここらが潮時であることに気付いている心の耳に従ってみてください。
もう一度だけデートに誘ってみる、最後に告白をしてみる、相手に本音をぶつけてみる。
これでだめなら次に切り替えるという覚悟のもと、一石投じたあなたのもとにこそ新しい道が拓かれるのです。
世の中は慈愛と出逢いに満ちています。
今は、いや今まではその人だけしか見えていないかもしれませんが、世界を見渡せば、あなたを愛してくれて、あなたとの将来を真剣に考えて信頼できる人間がいるのです。
もしかしたら、自分が気づいていないだけで、身近にそういう人間がいるかもしれません。
そんな人はいない?
そんなはずはありません。
本気で人を愛せるあなたのもとにはそういう出逢いも近づいてくるはずです。
10回や20回の失敗にめげずに、どうか光を求め続けて扉を開いてください。
一途で愛情深いあなたには、暗闇の過去よりも明るい未来が似合っていますから。
自分を必要としてくれて、大切にしてくれる人間との縁を温めること。
そこから人生は変わってきます。
投稿者プロフィール

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恋愛がうまく行かずに、明日を見失っている方に向けてのコラムを20年間発信してまいりました。メールと通話を使った直接対話サービスも10年以上続けております。累計の相談実績は約5000件。
マイナビニュースでも拙コラムの一部を掲載しております。
筆者自身が20代から30代前半まで10回連続片思い失恋を経験したこともあります。
男女の心理が分からない、片思い止まりでどこからどう変われば良いのかさまよわれている方に向けて、拙コラムがお役に立てれば幸いです。
関連取得資格
公認心理師
精神保健福祉士
国家資格キャリアコンサルタント
伴走型支援士
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定II種III種
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