第76回「外見のコンプレックスが恋愛を阻む原因になっていたら」その1

2015年12月1日実体験・人間考察コラム

「どうせ、こんな顔じゃモテないから諦めるしかないんだ」

私が中学生だった頃に、毎日のように心の中で唱えていたツイートです。

私にお悩みを寄せてくださる方の中にも、容姿を要因とする悲痛な叫びを吐露してくださるケースが目立ちます。

「私は子どもの頃から外見に自信がないために、男性に好かれずに恋愛には縁がない人生を送ってきました」


「僕が恋人いない歴=年齢なのは、いわゆるイケメンとはかけ離れたオタク系ですし(外見・趣味ともに)、ようやく出逢えた女性に勇気を出して話しかけても、相手にすらされないんです」  

昔から抱えている外見のコンプレックスによって、恋愛や人生に絶望しているのです。

 
一方では、芸能人の恋愛報道を耳にしたり、街中で幸せそうなカップルを目にする度に、「恋人ができたらどんなに幸せだろうか」と思いを馳せるようです。

決して他人ごとではないと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。


今回は、長年外見のコンプレックスに悩み続けていた私の実体験を包み隠さずお話しします。
 

「外見よりも内面を磨いて自信をつけよう」という観点ではなくて、「外見が変わることで、内面にも自信が湧く」という視点から描きます。
私にも自覚しているコンプレックスはたくさんあります。
特に強く思い浮かぶのは、
 
「笑顔が苦手なこと」です。

笑顔が素敵な異性っていうのはいつの時代も人気がありますよね。

 
なぜ私が笑顔が苦手になったかというと、そのきっかけは小学校時代に遡ります。

このコンプレックスが芽生えたきっかけは今でも鮮明に覚えていて、私にとって大きな出来事は以下の3つでした。

1回目は、小学5年生の時に、友達と何かの話題の中で、あまりにも滑稽だったので思いっきり笑ったら、真顔でこう返されました。


「TAKA氏の笑顔ほど気持ち悪いものはこの世に存在しないよ」
 

相手からすれば単なる冗談だっだかもしれませんが、
仲が良かった友人だけに衝撃は大きかったのです。

2回目は時が流れて、19歳の大学2年生の夏に、接客のアルバイトを始めて間もないころに、緊張でガチガチな私をみた上司が

「TAKA氏、お前の表情は変化がなくて怖いぞ。それじゃお客さんも寄ってこないよ。デビルマンみたいだぞ」

と苦笑いの表情で忠告されましたことです(その時の上司は悔しいくらい爽やかな笑顔で、今でも脳裏に焼き付いています)。

3回目は、同時期にアルバイト先の女性の同僚と何かの話をしていた拍子に、思わず我を忘れて思いっきり笑ってしまったら、


「TAKA氏君の笑顔って汚いね」


と、冷静な表情で痛恨の一撃を喰らわせられたことです。
 
小学時代の体験がフラッシュバックしましたが、女性からの指摘は深くえぐられました。
相手からすれば悪意で陥れようとした発言ではなく、むしろ素直に感じたことや忠告のメッセージだったのかもしれませんが、私自身も長い間、「自分の笑顔はおかしい」と自覚していたため、堪えたのです。


実際のところ、私は小学校低学年の頃から、笑うと顔中しわくちゃになって、年相応の顔のつくりと言えたものではなかったです。

「老け顔」だねと同級生からは愚弄されることは一度や二度ではありませんでした。
 
極めつけだったのは、中2の夏の出来事です。

自宅に訪問した宅急便のスタッフから、

「ご主人様、こちらの荷物を奥様にお渡しください」
 
と真顔で言われたのです。


笑顔が苦手なもう一つの理由として、生まれつきの顔の造りが起因していました。
 
それは、歯並びの悪さです。
 
八重歯と乱ぐい歯が混ざった「叢生」と呼ばれる歯の並びに加えて、笑うと唇がピエロのような不気味な形になるのでした。

たった一回大きく笑うだけで、まるで負のオーケストラの融合のように自他共に認める“デビルスマイル”が誕生するのです。
  
鏡で自分の顔を目視するのが嫌で嫌で、トイレで用を足した後も、必然的に鏡から目を逸らして手洗いだけ済ませて足早に立ち去っていました。

その結果、小・中学時代の卒業アルバムや記念写真を見直してみても、共通して無表情な自分が写っていたわけです。

デビルスマイルに加えて、他にも長い間悩んでいた顔の悩みがありました。


生まれながらにして右眉の上に、直径4cmくらいの大きなコブ(腫瘍)があったのです。

いつも他人と接する時には、コブが人目に触れるのが怖くて、ヘアスタイルはゲゲゲの鬼太郎のように(実際にそう言われていました)顔のほとんどを髪で覆いつくしていました。
 
さらに根っからのくせ毛だったので、長髪かつうねりっぱなしという最凶のヘアスタイルが完成していました。

中学1年の春に、国語の授業で、「目の上のたんこぶ」という諺をはじめて習いましたが、まるで自分のために作られた言葉のようでたまりませんでした。


比喩ではなくて、その言葉の通りに実際に目の上にコブがあって、長い間煩悩してきたからです。

中1の秋に一つのコブ事件が発生しました。

初めて訪れた床屋の担当者には事前に、「コブが見えないように、絶対に前髪は長く残しておいてくださいよ」と念を押して頼んだのに、仕上がりの確認で鏡を渡されて見た自分のニューヘアーに戦慄を覚えました。

前髪が一刀両断されていて、
コブが丸見えになっていたのです。

担当者は、

「なかなかお客様のようなケースはなくて、調整が難しくて切ってしまいました。でも他の人から見ても気になりませんよ」
 
こう開き直って説明しましたが、髪はすぐには戻せません。

落ち込む猶予は残されていませんでした。
 
すぐに翌日からの学校生活で、バレないための応急処置に切り替わったのです。

結局、コブが隠れる長さに伸びるまでの約2カ月間を、毎日コブの部分にバンドエイドを貼ってごまかしていました。
 
傷ができたと言い訳を説明する度に心の傷が広がっているようでした。

外見のコンプレックスは留まることがなく、一重まぶた、面長の顔、細目であるために、外部からは目つきが悪いと批判されることが少なくはなかったのです。
 
「鬱陶しい髪形」「デビルスマイル」「一重まぶた」「馬面」といった複合的な顔に関するコンプレックスを抱えていて、どうしても外見には自信が持てませんでした。

身長は18歳の時点で、180センチを超えており、スタイルも細身だったため、よくクラスメイトの女子から、


「TAKA氏君って顔から下はスーパーモデル並みだね」

男子からは、
 
「身長は高くて羨ましいよ。俺に5センチくらい分けてくれよ」
 
と言われましたが、素直に褒め言葉とは受け取れずに、虚無感と自己卑下感情が増して行くだけでした。

そんな事情から、10代は恋愛に対しても積極的になれずに、好きな人ができても実りがない生活を過ごしていました。

高1になってはじめて勇気を出して好きな人に告白した結果も、
 
「友達としてはいいんだけれども、異性としては見れない」

という返事で、こうなってしまったのも、この顔が全ての要因のように思えてなりませんでした。

こんな不細工な顔で恋愛なんてできるはずがないんだ。

当時の私の信念でした。

 

すっかり内面にも自信を失っていて、歪んだ価値観が形成されたのです。

傍から見れば、「そんな小さなことに必死になって悩んでいたのか」と感じられたかもしれませんが、当時の自分からすれば死活問題で、些少な悩みだとはどうしても割り切れませんでした。

2015年12月1日

Posted by TAKA