第374回「『35歳限界説』は本当か?草彅剛さんに学ぶ、失敗を魅力に変える生き方」

2026年9月6日


「35歳限界説」――転職や結婚など、35歳を境に一気に需要が減り、可能性が閉ざされてしまうという風潮が、まことしやかに語られていた時代がありました。

令和8年(2026年)現在、社会の価値観や市場構造は日々変化し、「35歳が限界」とは決して言えなくなってきています。

それでも、年齢を重ねることで自身の選択肢が狭まってしまうような焦燥感を抱く方は少なくないでしょう。

私自身も40代という年代に入り、年齢の壁や人生の転換期、そして「自分らしさ」について考える機会が一段と増えました。

今回ご紹介したいのは、タレントの草彅剛さんの生き方です。

彼はかつてのインタビューで、「35歳から自分らしさを認めて、生きやすくなった」と振り返っています。

「ダメなところがあるほうが、人間は面白い」

「素の自分を出すことに抵抗はないし、それを怖いと感じることもないですね。この年齢になると、そういう部分を出さないとつまらないなぁって思う自分もいます。結局、人間ってダメなところが面白かったり、魅力的に輝いたりするわけで。そこをカッコつけてうまくやろうとか、もう考えなくてもいいのかなって。そのほうが僕自身もラクだしね(笑)」

草彅さんが憧れるのは「年齢を重ねるたびチャーミングになる大人」

そこに近づくためにもどんどん素を出していきたい、と彼は笑って語ります。

「でもね、そんな風に考えられるようになったのも最近の話。それこそ20代のころは他人にどう思われているのかすごく気になって。すべてをスマートにカッコ良くやりたいと思っていたしね。でもそれがしだいに苦しくなり・・・。そんな僕が変わり始めたのが、“うまくいかない”出来事が続いた35歳のころなんですよ」 (草彅剛さんインタビュー『GINGER』より)

カッコつけなくなったら、生きるのが劇的にラクになった。

草彅さんにとって、その大きな分岐点がまさに「35歳」だったのです。

どん底の「全裸事件」がもたらしたターニングポイント

草彅さんにとっての「うまくいかなくなった出来事」とは何だったのでしょうか。

インタビュー中では明言されていませんでしたが、2009年に発生したあの「公園での全裸事件」が、人生の最大のターニングポイントだったのではないかと私は推測しています。

35歳の誕生日を迎える3ヶ月ほど前、泥酔状態で公然わいせつ罪として現行犯逮捕されるというショッキングな事件。

真面目なイメージが強かった草彅さんだけに世間の反響は凄まじく、当時の地上デジタル放送推進のCMキャラクターに起用していた故・鳩山邦夫氏から「最低の人間としか思えない」と痛烈な批判を浴びる事態にまで発展しました(後に発言は撤回されています)。

しかし、その窮地を救ったのは他でもない「ファンの力」でした。

事務所には擁護や復帰を願う声が殺到し、事件から約1ヶ月後には奇跡的な早さで芸能界復帰を果たします。

まさに裸一貫の覚悟で再起を図った草彅さん。
その胸中にあった苦しみや葛藤は計り知れません。

しかし、この逆境と失敗が、結果として彼の人間としての幅を大きく広げたのは間違いありません。

それまでの「真面目で良い人」というパブリックイメージに、『新幹線大爆破』『ミッドナイトスワン』などのドラマで見せたような「人間の業や悪の部分」を内包したキャラクターが加わり、役者としての凄みが増していったのです。

失敗を愛せる強さ。「自然体」という最高の魅力

かくいう私が、草彅剛さんという人間を本当に好きになったのも、実はあの事件がきっかけでした。

アイドルという枠組みの中で、全裸になって「裸になって何が悪い」と叫んでしまう。

その姿に、どうしようもないほどの「愛すべき人間らしさ」を感じたのです。

もちろん嫌悪感を覚えた方もいたでしょう。

しかし、カッコ悪くて泥臭い彼を知ったことで、遠い世界の住人だったスターに、一気に親近感を抱くようになりました。

私たちは皆、期待される自分に向かって日々努力しています。

それ自体は素晴らしいことですが、固執しすぎると「本当の自分」を見失い、うまくいかないことが重なれば身も心も縮こまってしまいます。

しかし草彅さんは、失敗を失敗のまま終わらせず、人生の浮き沈みに身を任せることを覚えました。

遠回りをしながら、弱い自分を認めることで、人間としての深みを獲得していったのです。

以前、映画『ムタフカズ』の舞台挨拶上映に参加した際、ずっとお会いしたかった草彅さんを初めて生で拝見する機会に恵まれました。

そこにあったのは、「自然体」という言葉が最も似合う、無理をしない大人の姿でした。

現在の彼はYouTuberとしても道を切り拓いていますが、料理の失敗動画が逆に「親近感が湧く」と大きな反響を呼んでいます。

これもまた、カッコつけない素の自分を武器にしている証拠でしょう。

35歳を超えても、40代になっても、人は成長し続けることができる。

どんな失敗も逆境も、自分の弱さを認めさえすれば「生きやすさ」というプラスに変えていける。草彅剛さんの軽やかな背中は、私たちにそんな温かい真実を教えてくれます。


参照:裸だったら何が悪い

草なぎ剛の料理失敗動画が話題 YouTubeが発掘する新たな魅力

私たちは、なりたい自分や期待される自分に向かって努力している。それ自体は素晴らしいことだけれど、そこに固執しすぎると、どこに本当の自分がいるかわからなくなってしまう。うまくいかないことが重なれば、身も心も縮こまってしまうものだ。だが、草なぎはその失敗続きの時期を、失敗のまま終わらせないためにも、人生の浮き沈みに身を任せることを覚えた。さらに、遠回りをしながら学んでいくことで味わえる人生の楽しみも知ったという。

草なぎ剛のシンプルな生き方 雑誌『GINGER』インタビューから感じたこと

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投稿者プロフィール

たか
たか
たかさん(公認心理師 )

恋愛や人間関係で悩み、自分を見失っている方に向けた心理コラムを22年間執筆・発信。

メールや通話による1対1の心理カウンセリングは20年以上継続し、累計5,000件以上の相談実績を持つ。

大手ニュースメディア(マイナビニュース等)でのコラム掲載実績多数。

筆者自身、20代から30代前半にかけて「10回連続で片思い失恋を経験する」という壮絶な挫折を経験。
必死なアプローチによる空回りや過度な執着、自尊心の崩壊を自ら乗り越えてきた。

心理学の専門知識(公認心理師・精神保健福祉士などの国家資格)と、実体験に基づく独自のカウンセリング手法を融合。

「相手軸」の執着や過剰適応から抜け出し、ありのままの「自分軸」を取り戻すための具体的なアプローチを提案している。

相手の心理が分からない、過去の未練や執着から抜け出せないと悩む方々へ寄り添い、心の整理と自己受容をサポートする「心の伴走者」として活動中。

【保有資格】

公認心理師(心理職唯一の国家資格)
精神保健福祉士(国家資格)
国家資格キャリアコンサルタント(国家資格)
伴走型支援士
心理相談員
両立支援コーディネーター
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定 II種・III種