第194回「人生を変えるために風俗の疑似恋愛を求めた結果は」その1

実体験・人間考察コラム

※今回のストーリーは前編・後編の2作に分けています。

風俗に抵抗を持っていた主人公があることをきっかけに扉を叩くことになり、どのように心境が変化して行ったのか、あるいはその世界で目にした風俗嬢の一面に視点をあてて描写しています。

実話をもとにしており、内容的には性描写を意図的に控えめにしておりますが、18歳以上の方の閲覧を推奨します。
 

風俗行ったら人生変わったwww』という作品があります。


2011年に、インターネットの電子掲示板である2ちゃんねるへの書き込みがされ注目を集めたラブストーリー(恋愛小説)。

2012年に小学館から書籍化された。2013年に映画化。




    



主人公の遼太郎は、何事もすぐあきらめてしまう性格の29歳童貞。

そんな自分を変えようと人生初のデリバリー嬢を呼んでみるが、緊張のあまり過呼吸を起こしてしまう。

やってきたデリバリー嬢の「かよ」に優しく介抱されて一目惚れする遼太郎。

かよは、元カレに騙されて借金返済のためデリバリー嬢として働いている。

遼太郎は、SNSで知り合った友人「晋作」の力を借りて、彼女を救い出すため駆け回る。


(Wikiペディアより引用)


映画版はヒロインのかよ役に、世界でもっとも美しい顔100人に選出された佐々木希が起用されたことからも話題になりました。

主人公が初めて行った風俗店で心優しい風俗嬢に恋したことから、彼女の人生を救おうと奮闘する姿を描いた作品です。

今回話すのも、リアルで「人生を変えるために風俗に行く」という目的を持ったある男性の実話です。


25歳の誕生日を迎えた勇樹君はある一つの決断をくだそうとしていました。

そう、それは人生初の風俗の世界に身を投じようとしたことです。

勇樹君はこの年を迎えるまで全くの風俗未経験者でした。

大学時代にサークルの先輩や同級生から、


「学生のうちに、風俗だけは絶対に経験しておくんだ。人生のプラスになるから」


と耳にタコができるほど勧められてきましたが、通うことはありませんでした。その理由は後述します。



では、なぜ勇樹君が今回風俗に初挑戦しようとしているのかをお話しましょう。


それは、「自分を認めてもらうため」「男としての自信を取り戻すため」でした。


そしてそこには、性欲という三大要素の一つが絡んでいたことも否めません。

むしろそもそものモチベーションがそこから生じていると言っても過言ではありません。

勇樹君は、交際していた彼女から「気持ちが冷めた」という理由から別れを突き付けられてからの1年間は、新しい出逢いに恵まれることもなく、彼女と過ごした甘美な時間が忘れられずに、悶々とした日々を過ごしていました。

街頭や電車の中でみかけるかわいい女性を目にしては、脳内で妄想を繰り広げていました。


そもそも勇樹君は風俗という選択肢については拒絶的でした。

その理由の一つは、性病への嫌悪感です。

不特定多数の男性を相手としている風俗業界に足を踏み込むということは、性病のリスクがまとわりつくことが、躊躇する理由の一つでした。


二つ目の理由は、「金で女性からサービスを受ける」という根本的な部分です。

勇樹君にとっては、性的な関係というものは、心と心のふれあいの末に生まれるものだと信じて生きてきた24年間でした。

そしてそういう世界で働く女性に対して、「普通ではない女性達の集まり」という偏見の目を持っていました。

自分とは全く別次元の住民という固定観念があったのです。


これらの先入観が、やがて勇樹君の心を激しく揺さぶることになります。


以上のように、風俗という非日常的な世界に対して、否定的だった勇樹君が足を踏み込む背景には、 孤独と喪失感、性欲が、絶えず心の深淵に渦巻いていたのです。


俺を俺と認めて欲しい。
女性のぬくもりが欲しい。
かわいい女性に性欲を満たして欲しい。



それらのニーズを満たすのは風俗しかない。


25歳の誕生日を迎えたある晩秋、勇樹君の中で保ち続けてきた常識が瓦解したのです。

四捨五入すれば30歳という一つの区切り目が勇樹君を駆り立てました。


風俗に行って人生を変えたい。


勇樹君は意を決して、事前にリサーチした風俗店へと向かいました。

ネットを駆使して、店の掲示板スレッドや口コミサイトを閲覧した結果、評判の良かったその店に決めたのです。

在籍嬢の情報は、公式ページで確認済みでした。

30人ほどの在籍嬢の中から第一印象で強く惹かれたのが「レイ」という源氏名の女性です。

年齢は20歳で、勇樹君よりも5歳年下でした。

既に社会人である勇樹君にとって、20歳の女性とふれあう機会など、一日のサイクルの中では皆無でした。

かわいくて若くて、決して出逢うことがない上玉な女性との肌の蜜月。

それゆえに性病のリスクを負っても、その遊幻郷に赴く価値があったのです。

写真の第一印象から心が惹かれたのもあって、その店の指名ランキングが1位の嬢でした。

写真の目線にはモザイク処理がされていましたが、ネット上で指名したことがあるという体験談を見ても、ルックス、サービスともに◎のようなので、期待で胸が膨らんでいました。

もはやつい先日24歳まで抱いていた拒絶感は微塵もありませんでした。


レイの出勤日は、基本平日の12時から18時まででした。

勇樹君の職場は平日休みがあるシフトだったため、ネットでリサーチした翌日には早速足を延ばしていました。

12時ジャストに到着して、胸の高ぶりを抑えられないまま門をくぐると、感無量の表情を浮かべた大学生くらいの若い男性と入れ違いになりました。

11時から営業開始だったため、早々にサービスを受けて、いかに満足だったのかが一瞬で伝わりました。


近未来の自分を投影させながら、ドアの先に進むと、黒服の店員が待ち構えていました。

黒服の傍には、モザイクがかかっていないリアルな在籍嬢の写真が一列しており、お目当てのレイの物もそこにありました。


超かわいい!!


例えるならば、皆藤愛子アナウンサーのような可憐で清楚な女の子でした。

ボルテージは最高潮になった勇樹君は、ためらわずにレイを指名しました。

幸い、開店と同時に来店したのもあって、待ち時間がほとんどなく通されました。

薄暗い個室に案内されると、事前に選んだドリンクが運ばれてきて、その時を待ちました。


緊張と期待で喉がからからだった勇樹君が一気に飲み干したのと同時に、いよいよ実物のレイが入室してきました。


「はじめまして、レイです♪」


実物は、写真よりも可愛くて、思わず「なんでこんな子がこの世界に存在しているんだ!?」というくらいのビックインパクトでした。

こうなるとドキドキが止まりません。

肌の質感から見ても、ホームページにあった年齢と同じくらいで、詐称ではないことがわかりました。

勇樹君が思描いていたような「かわいい女子」が目の前に現れ、これから先濃厚なサービスが展開されると思うと、夢見心地のような気分でいっぱいでした。


レイとは軽い自己紹介もかねて、働いている仕事のこととか、休日の過ごし方などをお互いに話合いました。

話せば話すほど、勇樹君が描いていたような風俗嬢のイメージが払拭されていきました。

たとえ営業トークだとしても、彼女の言動からしてどこにでもいるような普通の女の子だったからです。

勇樹君には、どうして彼女のような純粋に見える女子がここでこうして働いているのかがますます分からなくなりました。


この疑念がこの先勇樹君を更なる苦悶に陥らせることになるとは、思いもしませんでした。


そうして話を10分ほど交わした後でしょうか、ついに均衡を破る瞬間が訪れました。


「お兄さんの上に乗って良いでしょうか?」


待ちに待ち望んだ瞬間です。

思わず生唾を飲み込んだ勇樹君を、レイは悪戯かつ艶やかな表情で包み込みました。

そう、このために、この瞬間を得るために勇樹君はここに辿りついたのです。

肌と肌とが密着して、その時を迎えようとしていました。

そして、この後、勇樹君が描いていた通りのかわいい子との性的関係が実現されることになります。


事が終わった後、勇樹君の胸に芽生えていたのは、“ある違和感”でした。

やがてその答えを模索するために、風俗通いに翻弄されることとなるのです。


後編へ続く

Posted by TAKA