第368回「その一言が恋愛を遠ざけている主因だとしたら」
外見が良く、異性からも言い寄られるのに、どうして恋愛に縁がないのだろうか。
当事者が自分のことをそのように悩んでいるかどうかはさておき、いわゆるイケメン、かわいいor美人と評される人生を送っているのに、いざ恋愛関係になると上手くいかないことを悩んでいる方は少なくはないようです。
黙っていても異性がアプローチしてくるし、選ぶ側の立場だから楽だというご指摘があるかもしれませんが、当事者は選ぶ立場どころか、最終的に見放される側に立たされているからこそ真剣に原因解明を悩み続けるのです。
相手が離れる理由を告げないからこそ自問自答を繰り返すわけですが、どれだけ分析しても正しい答えは見えてこないままです。
タイミングが悪いから、理想が高いから?
そうではなくて、何気なく発した一言が相手の心を凍てつかし、恋愛対象外とみなされているとしたら、改めて自らの癖について見直した方が良いのかもしれません。
冒頭に上げた悩みを抱えていたのは私ではなくて、私が30歳の時に友人から紹介してもらった正美さん31歳です。
当時正美さんも恋人募集中で、私もフリーな状況だったので、その事情を知った友人が会社の同僚である正美さんと私をマッチングしようと図ってくれたのです。
事前に聴いていた正美さんは、とにかく容姿端麗で、芸能人に例えると乃木坂46の白石麻衣さんのような美貌を兼ね備えているので、男性から言い寄られることも相当あったようです。
ところが、かれこれ数年間恋人がいないということで、付き合っても長続きしないという特徴があったようです。
友人は私に紹介する以前に数人他の男性にも正美さんを紹介をしてきたようですが、初対面ではその美貌からノリノリだった男性が、決まって2回目か3回目のデートを終えると、「自分には合わない」と見切りをつけていると言うのです。
友人はどこが合わなかったのかを尋ねるわけですが、誰一人として理由を述べなかったようなので、友人も正美さんも「どこがいけなかったのだろうか」という謎が残されたままでいたというのです。
そういう経緯から私と正美さんが初対面を果たすことになりました。
和風居酒屋で私と友人と正美さんの三人で会いましたが、第一印象は聴いていた通りに「美人」というインパクトの強さでした。
接客業をしているだけあって、愛想もよくて、いくらでも彼氏がいそうな雰囲気ではありました。
お互いの趣味や恋愛観と言った話を交わしましたが、正美さんが恋愛に求めるものは「自分のことを好きになってくれる男性」というシンプルなものでした。
そこまで恋愛に求める理想が高くないのならば、なぜこれまで恋愛に縁がなかったのだろうか疑問が拭えませんでした。
その疑問が一気に晴れたのが次の瞬間の回答でした。
「これだけは相手にやめてほしい」条件について確認をしたところ、正美さんはこのようなエピソードを話しました。
正美さんの高校時代の同級生が新婚生活1年目で、その奥様はご主人が風呂から上がる度にビールをそっと用意して食卓の上に用意しておく習慣があるらしく、それに対して正美さんは以下のような私見を述べていました。
「自分は全く彼女の心境と行動が理解できないし、わざわざ相手のためにビールを買って、それもタイミングを見計らって置いておくなんて面倒なことは絶対にできない」
あまりにもサラリと口にしたため、私と紹介してくれた友人は返す言葉がありませんでした。
たったこれだけのやり取りでしたが、私の中で一気に正美さんに対しての好奇心が消え失せてしまいました。
いや、正美さんの言っていることは当然のことだよ。
結婚生活は毎日のことだから、その同級生のような細やかな気配りをしていたら神経がもたないし、綺麗事ではない。
または、
今はそう言っていても、結婚生活をスタートすれば変わる可能性もあるから、見切るのが早すぎる。
そうご指摘したくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の中では力を合わせあって生活を送って行けるイメージが全く描けなかったのが致命的でした。
正美さんは何気なく思ったことを正直に口にしただけかもしれませんが、結婚生活をイメージする上ではあまりにもマイナスの発言でした。
「絶対」という究極的なキーワードを加えたことで、「結婚しても自分のことが第一で、夫を大切にしてくれる可能性は少ないだろう」と、脳内変換されてしまったのです。
どれだけ容姿が魅力的でも、外見さえ良ければ万事OKとは思えませんでした。
むしろ第一印象がプラスだったからこそ、そのギャップが大きかったのです。
正美さんと会うのは最初で最後となりました。
口癖というのは一朝一夕で身につくものではなくて、毎日の蓄積です。
自分では息を吐くように自然に発した発言が、相手の心を惹かせるのではなくて、ドン引きさせてしまうかもしれません。
以前、「付き合う気がないならば会わないでほしい」と、知り合った女性が口にしていたことで、プレッシャーを受けて会わなくなったというエピソードを紹介したことがありますが、言葉の効力は絶大です。
自分が恋愛に求める理想を口にすることで、「この人だ!」とビビビと惹かれ合う異性が見つかれば良いですが、何度も何度も異性が離れて行くことが繰り返されるならば、口癖を見直してみることが転機になるかもしれません。
特に、「絶対にしたくない」とか「絶対に彼氏が欲しい」などの余裕がない言動は相手の心を引かせてしまうようなリスクもあるので、タイミングには要注意です。
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