第185回「人生はやり直せるかを実践した結果-その5-」

実体験・人間考察コラム

※前回はこちら


サークル入部の帰り道に立ち寄ったカフェテリアのテーブルで、ふと学生証を取り出して眺めてみると、そこには在学証明が刻まれている私の名前と写真が写っていました。

もうあの頃の学生ではないんだ。

自分を取り戻そうとしていたまさにその時。

時を同じくして、隣のテーブルに座っている学生グループの会話が筒抜けに聞こえてきました。

男子学生A:「就活そろそろ意識してる?」
男子学生B:「まだ3年になったばかりだけど、やっぱり気にしてないって言えば嘘になるよ」

男子学生C:「やっぱりそうだよね」
男子学生A:「50社落ちるのが当たり前って言うよね」
男子学生B:「でも、俺らが根性出せば絶対何とかなるって!W大生の力を見せてやろうぜ」

男子学生C:「そうだな。そういえばこの前簿記の2級を受けたって言ってたけど、どうだった?」
男子学生B:「おかげで受かってたよ」
男子学生A:「おめでとう!8888」
男子学生C:「さすがだな!じゃあこのままの勢いで1級も受けるんかい!?」

男子学生B:「もちろん。今年中には取りたいね。さすがに本気を出さないとだけど」
男子学生A:「1級は難しいらしいからね。俺も司法書士頑張ろうっと」

  

恐らく大学3年生だと思われる学生たちの他愛のない会話でした。

でも、彼らの言葉は、私が過ごしてきた大学生活4年間の価値観を覆すくらいの衝撃でした。
  
時間にするとたった1分程度の会話だったでしょうが、彼らの愛学心、向学心、友愛心がダイレクトに伝わってきたのです。

私は瞬時に気づきました。

まさに自分が求めていた三要素だったのです。

先ほどまでサークルの部室の前に立っていた自分が嘘のように、胸の鼓動を感じました。

この感覚は高校生活以来の高ぶりでした。


私は彼らのような人間に巡り合うためにここにやってきたんだ。

過去に執着するためにではなく、新しい人生を築くためにこの大学に入学したのだと。

たとえサークルという絶対的な選択肢を放棄したとしても、この環境にはそれ以上の新しい出逢いが待っている予感がしたのです。
 

大学という環境に溢れているチャンスをどれだけつかむことができるか。

アンテナを張って、自分らしさを活かせる居場所や人間をキャッチすること。

あの4年間で溜まっていた欲求を、解き放つ時が訪れたのです。

ここで自分がどれだけ通用するのかを試したい。

サークルこそが私のターニングポイントとなるべくリスタートラインだと妄信していましたが、この場で目が覚めたのでした。

まだ時間はある。

むしろ始まったばかりでした。

続く

Posted by TAKA