第185回「人生はやり直せるかを実践した結果<2回目の大学生活>-その6-」

2015年12月4日実体験・人間考察コラム

※前回はこちら


心が変われば、態度が変わる。
態度が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。


かのマザーテレサが残した名言です。

過去から未来へ。

そして、そこから仕切り直しが始まりました。

すいません!自分はこの4月に入学したばかりなのですが、大学の居心地はどうでしょうか?

  
見渡す限り10代後半の学生達に埋め尽くされている教室の中、私は思い切って前の席に座っている女学生に声をかけてみました。

自分の運命を変えるための小さな一歩でした。

授業開始の15分前に到着した私は、大学で初めての知り合いを作ろうと試みたのです。
  

初めての授業では、私は必ず最後部座席に座りました。

教室全体を俯瞰して、どんな学生達が過ごしているのかを見渡すのです。

一人で座っている学生やグループで談笑してる学生、仮眠をしている学生など十人十色でした。

彼らのほとんどは私よりも若く見えました(学部生なので当たり前ですが)。

ある程度観察を終えた私は、人は見た目が9割と言うように、自分の直感で、「この人なら話しかけても応じてくれるのではないか」という相手を選びました。
  

その女学生は後ろを振り向いてくれて、こう返しました。

女学生「まだ2年生なので、まだそんなに大学に慣れてはいませんが、楽しいですよ」

私と歳の差が4つほど離れている彼女は、警戒心をむき出しにしたような硬い表情で、

当たり障りのない応答をしました。

そして私の問いに答え終わると、瞬時に姿勢を元に戻しました。

「これ以上話しかけるな」という暗黙の意思表示がその背中からにじみ出ていました。

私は、そこから踏み込めないそのオーラに飲み込まれました。

その後も、めげずに授業開始直前になって隣の席に座った学生に声をかけましたが、4往復くらいで会話が途切れました。
  
やっぱり大学の講義で友人を求めるのには無理があるのかもしれない。

私は二人連続で「話しかけないで」オーラを突き付けられたことで、(実際はそうではなかったかもしれませんが)、意気阻喪していました。


そして次の講義からは、誰に話しかけることもなく単独で講義を受けることになりました。

講義で友人を作ることを断念した私は、室内に座る人間観察に興じました。

見渡すと、携帯をいじる学生、就活本を読む学生、ひたすら眠り続ける学生など、様々です。

決して講義が退屈だったわけではありません。

むしろシラバスからピンポイントで選んだのもあって、有意義な内容でした。

現場に沿った教育学の内容は、将来教育にかかわる仕事に就きたいという気持ちを加速させました。

後に語りますが、この講義との出逢いのおかげで、数か月後に新しいチャンスを掴めたのです。


私は新しい学び舎に過ごす学生達一人一人の姿が興味津々でした。

22歳になった私は、年齢的には下になる後輩の生き様を垣間見ようと目を配っていました。

ちょうどこの日の講義が終盤にさしかかった頃です。
  
前の席に座っている女学生が就活本を畳んだ後に、漢検2級の問題集をバックから取り出して、おもむろに解き始めました。

どうやら就活に臨むにあたっての履歴書に載せられる資格として、常用漢字をマスターできる漢検2級を目指しているようでした。

ちょうどその姿は、自分が漢検2級を受検した大学3年の時期と重なりました。

同時に、最初の大学で果たせなかった未練の一つである、漢検への執着を再認識させられました。


私はおよそ一か月後に、漢検準1級試験を控えていました。

本来ならば大学4年次最後のチャンスである2月試験で決着をつける算段でしたが、目論見は外れました。

挑戦の結果は、「合格まであと1点」という目を背けたくなるような現実でした。

大学生活にこれだけは頑張ったという形を残したかっただけに、悔しさと無念さが晴れることはありませんでした。

それから3か月が経ち、新天地に慣れつつあった私は、前の大学から引きずり続けている漢検試験との真の決別を果たすために、地力を固めていました。


大学への通学時間は片道3時間弱でした。

往復の電車内や、講義開始前に必ず立ち寄る大学図書館内で、ひたらすら漢検準1級の反復学習を重ねていました。

捲土重来に向けて、その時を今か今かと待っていました。


4月から5月にかけては、私が想像していたような大学生活の幕開けではありませんでしたが、虚無感や欲求不満感というものはありませんでした。

私の中では、「チャンスは夏に訪れる」という予感が絶えず胸に芽生えていたからです。

根拠はありませんでした。

ただ、キャンパス内に溢れる学生達を見るたびに、いつか自分が求めているような出逢いに巡り合うのではないかという希望が私を支えていたのです。


そして、あっという間に6月に入り、世間がドイツワールドカップで盛り上がる中、私は3度目の正直をかけて、漢検準1級にリベンジ挑戦しました。

続く


2015年12月4日

Posted by TAKA