第184回「人生はやり直せるかを実践した結果-その2-」

実体験・人間考察コラム

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高校卒業後の自分は、未知なる大学生活に対して期待でいっぱいでしたが、それから一通り大学を経験していた私は、18歳のあの頃とは違っていました。
 

決定的な違いは、未知が予知に変化していたことです。

10代だった自分は、大学に入学すれば、理想としていたものを自動的に用意してもらえるものだという妄想を膨らませていました。

大学に入れば、親友に恵まれて、サークルや合コンでたくさんの女性との出逢いが重なって、すぐに彼女ができる。

毎日がバラなものになるものだとばかり思い描いていました。

間もなくして、それは灰色の絵空事に過ぎないことを知ったわけです。

柄に合わないテニスサークルに入部して、新歓コンパで勢いで同級生女子に話しかけるものの、まったく相手にされず、

話術が上手い他の男子達が次々と私の願望を叶えて行った姿を横目で見てきたことから始まり、

最後まで心を開くことが出来なかった同級生達と、漫然とした4年間を過ごしている日々でした。

後悔と失敗の連続から、私は学習していたのです。

2回目の大学の学費は自分の貯金を切り崩して全額捻出しました。
 
それだけの額を投資するからには元以上の何かを掴みたい。

今回はあの頃とは違って、一日一日を有意義にしよう、自分の選んだ道を後悔したくないというモチベーションを維持したかったのです。

この日、私は事務局に入学後の書類を受け取るために、キャンパスに足を運んでいました。

入学形態は、特定の科目のみを履修するスタイルのため、入学関連書類を手にすれば、早速初回の講義から参加できるという流れでした。

事前情報なしで来ていたのですが、目の前に広がる光景を見て、大学の洗礼を浴びました。

そう、4月1日は大学の入学式だったのです。

キャンパス内に収まりきれないくらいの学生達が、新入生の行く手を待ち構えていました。

目的は、各々のサークルや部活に新人達を勧誘するためです。

瞬時に4年前がフラッシュバックします。

自分から大学のサークル説明会のトビラを開くために一歩を踏み出す勇気がなかった私は、

あわよくば勧誘員達から声をかけてもらうことを期待して、学内を何往復も動き回っていたのです。

そこから大誤算の道を辿ることになったのでした。

すぐに意識を戻すと、目の前には自分よりも1~2歳くらい若い学生達が次から次へと新入生をキャッチしていました。
 
私が事務室に向かう道中、一列に並ぶ彼らの傍を通りすぎても、一様に目線が注がれることはありませんでした。
 
少し寂しい気持ちに支配されましたが、すぐにサークル目的でやってきたのではないことを再認識して、目的を果たしました。

チャンスは後でもやってくる。その時は今ではない。

初々しいスーツを纏いながら、サークル部員達の巧みな話術に耳を傾ける新入生達との4年の歳月の差を意識しながら、

私は近い将来に期待を込めてその場を後にしました。


それから授業が開始するまでの数日間、2度目の大学生活では、覆轍を踏むまいと、新しい大学の特徴を慎重に研究していました。

まず、私の中でのリスタートは、サークルをやり直すことでした。

最初の大学生活の出だしで失敗した、あのサークル選択をずっと引きずっていたのです。

再起動はサークル選びから始まると妄信していました。

幸いにも、この大学は、日本一大学のサークル数が多いといわれているだけあって、

書店にサークルの紹介誌が発売されていました。
 

やり直すためには、多くのチャンスに恵まれているという確信がありました。

即購入し、運動系サークルの情報から文化系まで、何度も何度も反復して精読しました。

後悔はしない。

今度こそは、絶対に。


その3に続く

 

Posted by TAKA