第262回「人は自分の気分次第で壊せるものをそれぞれ持っている」

2015年11月30日実体験・人間考察コラム

 

人は自分の気分次第で壊せるものをそれぞれ持ってる。

おもちゃだったり、ペットだったり、

恋人だったり、家庭だったり 国だったりする。

お前はそれが人よりデカい。

それだけだ。

壊したくなったらその前にここに来な。

まずあたしの命をくれてやる。

幽☆遊☆白書―完全版 (14) (ジャンプ・コミックス) 

漫画『幽遊白書』に登場する幻海という女性のキャラクターが、弟子であり物語の主人公である幽助に戒めの言葉として放った一言です。

既に物語の終盤で、師匠である幻海の実力を遥かに超えた弟子に対して、警鐘を鳴らしたこのメッセージは、私自身の胸にも常に深く刻まれています。

第260回「信じる者は救われない?人間不信がはびこる世の中だからこそ」では、人を裏切らないことの大切さを説きましたが、実行するとなるとそう簡単に行かなくなることを体験から知っているからです。

いざという場面になると、自分が一番可愛い、自分さえよければそれでいいという私欲が顔を出して、判断を鈍らせるからです。

私の短い人生の中でも、この当たり前のことほど維持し続けることの難しさを痛感してきました。

ここで以前もお話したことがある、私のやらかし体験を例にしたいと思います。

20代前半の頃です。

 

当時付き合ってきた年上の彼女と倦怠期に差し掛かっていた時期に、平成生まれの年下の女性と出逢ったのです。

彼女とは対照的に快活で若々しいその女性にすっかり心を奪われた私は、長年付き合ってきた彼女を突き放して、自分の快楽のために一方的に別れを告げたのです。


この選択が全ての過ちでした。


そして新しい女性と付き合って、絶好調の気分でしたが、
そうやって自分勝手な振る舞いで手に入れた幸せは、あまりにも早く崩れ落ちました。

付き合い始めると、新鮮さから一転して、違和感を覚えるようになったのです。

ことあるごとに元カノと比較してしまって、その態度はしっかりと彼女に伝わっていたのでした。

彼女は一切態度に表さなかったので、自分の元から離れていくはずがないという過信がありました。


そんな自惚れていた私の目が覚めたのは、交際開始から一ヶ月が経ってからでした。

メールの返信が滞るようになり、私は初めて焦りを覚えたのですが、時既に遅しでした。


不安と焦りから彼女に理由を追求したところ、

元カノと比べられてから気持ちがみるみる冷めたので、逢いたくない

という別れ言葉をかけられました。

 そして彼女は私のもとから離れて行き、二度と関係は元には戻りませんでした。


その後、年上の元カノは新しい男性と結婚をして、私は一人だけ取り残されました。

元カノとは、結婚報告を最後に連絡が途絶えました。

私が浮かれていたことで、その傍若無人ぶりから二人の女性を失い、元カノと積み上げてきた長年の信頼もいとも簡単に崩れ落ちたのです。

まさに因果応報でした。
 

自分のことを信頼してくれて、いつも傍にいてくれる人間がいると、

その有りがたさや貴重さを見失ってしまい、都合の良い風に振り回したり、

利用するような行為に及んでしまうこともあるかもしれません。


意図的に行っているのか、はたや無意識的な行為なのかは問題ではありません。

その振る舞いによって、相手は顔では笑っているようでも、人知れず心で泣いているのです。

上手くいっているように見えるときこそ、目の前の人間をなおさら大切にする必要があるのです。

大切な人を自ら手放さないためにも、究極的な選択は「ちょっと待った!」です。

一時の感情で重大な決断を下さないことです。

後になって無くした存在の大きさに気づいても、取り返しがつかなくなってしまうものだから。

2015年11月30日

Posted by TAKA