第35回「本気で死を選ぼうとしたその先には-片思いから壊れていく心」その6
TAKA氏のことは忘れません。 ありがとう、そしてさようなら。
想いのたけをぶちまけた後、全ての終焉を迎えるメッセージがありました。
彼女からそのメールが届いたのは、翌朝の9時頃。
私の長文に合わせるかのように、2通に渡って送られてきました。
私はそのメールを何度も読み返し、心の中に芽生える虚しさと失望感は筆舌に尽くし難いものでした。
苦しみから解放されたいが故の行動が、結果として更なる苦痛を生み、取り返しのつかない暴動を引き起こしてしまった。
今の自分には正常な思考力は消えうせてしまっていました。
たった数通のメールで、今までの彼女とのあの思い出全てがピリオドを打とうとしていたのです。
今まではいったいなんだったの。二人の関係はこんなものだったのか。
こんな終わり方はいやだよ・・・・・・。
どうしようもない衝動が落ち着いた今、そこに残った虚無感から生まれるものは何もなかったのです。
それと同時に、恥もプライドも必要ない、どうしてもこんなことで彼女と関係を終わらせたくないという念に襲われたのです。
次の瞬間には、彼女と今まさに亀裂が入ったしまった間柄を何とか復活させようと必死になっている自分がいました。
その想いは、皮肉にも”メール”に託すほかなかったのです。
それから半年の月日が流れました。
あの日のまま、心の時計は錆びついていました。
彼女とはあれから一度も会う事も、電話することもなく、二人の関係は完全に疎遠になっていました。
あの時、あの瞬間から、私は常に自責の念に駆られていました。
一人になって彼女を想う時間で毎日を支配され、いかに自分が身勝手で、傍若無人な言動を取ってきたのか、今更になって冷静に気づいたのです。
当時、彼女は私の最後のメールに対して次のように述べていました。
私はまたいつかお互い笑って会える日がやってくると思う。
その日が来るまで、お互い成長して、前を向いて歩いていく必要があるんじゃないかな。
寂しさでどうしようもなくなった時、いつもこの保存メールを目にしては、自身を鼓舞してきたのです。
いつかまた会える。また彼女と会える日が来るんだ。
自分自身がもっと強くなって魅力的になれればまた新しい未来を築くことが出来るんだ。
この半年の暗闇の中で唯一私を救ってくれたのは紛れもないその言葉でした。
そして私はいつかまた訪れるであろう彼女との再会に向けて、あの日までの自分とは変わった強い自分になるために、本を読んだり筋肉を鍛えたり、ファッションに力を入れたり、自己鍛錬に尽力していたのです。
しかし、そんなかすかな希望は一瞬にして絶望へと塗り替えられてしまったのです。
私は彼女と距離を置いてから一日たりとも彼女を忘れる時はありませんでしたし、「今日で離れて○○日目」というカウントも欠かさずにしていました。
あと一ヶ月我慢すれば、彼女と会えるかもしれない。
なんの保証もない猶予期間に身を置いていた自分は、彼女から唯一連絡を取ることが出来た携帯電話を毎晩毎日のように見つめながら、その一瞬を待ちわびていました。
しかし、半年も経った今、彼女から送られてくるかもしれないメールに待ち疲れた自分は、6ヶ月というキリのいい境目をきっかけに、思い切ってメールを送ることにしたのです。
自分で言うのもなんだけれど、この半年で自分はかなり変わった。
あの日のように余裕が無かった自分とはもう違う。
いまの自分なら彼女と連絡取るのに相応しい人間になっただろう。
緊張の中でこれまでの自分を振り返ることで、一歩踏み出す勇気を見出そうとしていたのです。
散々考え倦んだ結果、シンプルに「久しぶり!最近どう?」メールを送ることにしました。
そして意を決して送信しました。
動いていた時計が鼓動する予感がしました。
想像以上に早く返信がありました。
そこにはたった一行こう刻まれていました。
送信先が見つかりませんでした。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません