第88回「恋人の携帯電話の中身をチェックしてしまった先には」 

2015年12月2日実体験・人間考察コラム


最近の出来事です。

喫茶店で隣の席に座っている無言でうつむいているカップルの姿が目に入りました。

互いが携帯電話の画面を凝視しながら、巧みな指捌きが印象的でした。

各々の世界に没頭している二人を見て、「このカップルは上手くいっているのかな~」なんて想像を巡らせてしまいました。
  
 
ここで質問ですが、みなさんは恋人の携帯電話をこっそりのぞいたり、チェックした経験はありますか。

スマホが普及している今日では、ロック機能を設定している方々が多いので、セキュリティ面から不可能かもしれませんが、ふと待ち受けのプッシュ通知画面が目に入ると、俄然気になることはありませんでしょうか。

ロックが標準化されていない数年前のガラケー時代はこうした行為が話題になっていました。

今回のテーマは、2011年にマイナビ社でコラムを掲載していた当時に、担当者から依頼されたことがきっかけでした。

私自身、付き合っていた頃に彼女の携帯電話をこっそりチェックしたり、覗き見した経験がないので、実体験をもとに描けませんでした。

このままではコラムにならないので、今回は実際に街に出て数名の女性に調査してきました。

季節は11月の下旬で、東京にある慶應義塾大学三田キャンパスで開催されていた学園祭の会場を選びました。

お祭りムードのキャンパスならば、街頭よりも自然に答えてくれる女性がいるというねらいからです。

10代後半から20代前半までの女性6名に訊ねてみたところ、意外な共通点が分かりました。

全員が「見たことがない」という回答だったのです。

ちなみに協力してくださった対象はみな女子大生です。

回答者の友人も含めて聴きましたが、皆無でした。


「付き合っている頃には、お互いいつでも携帯を自由にチェックできるようにしていた」

「そもそも覗いてみたいと思ったことがない」


こちら側が想定していたのとは異なった回答を述べる女子大生もいました。

次に、「もしも好奇心や一時の感情で、恋人の携帯を覗いてみたとしたら、何を得られるかと思いますか?」

という私の質問に対して、全員が共通してこう答えました。

「何か大切なものが壊れてしまうのではないか。だから出来ないし、したいとも思わない」
 
モニターの女性が連続して「覗き見の経験がない」と即答したことで、、そこで調査は終了しました。

彼女達の言う“大切なもの”とは信頼関係のことであることはすぐに分かりました。

開けてはいけないパンドラの箱ではないですが、携帯の覗き見は、一線を越えてしまう行為ですよね。

彼女たちは、触れてはいけないテリトリーに足を踏み入れてしまったとしたら、二度と元の関係には戻れないと想像してくださったのだと思います。


恋人は、いつも自分と一緒にいるのに携帯電話ばかりいじっている。

相手のプライベートは一切話してくれない。というか隠しているようである。

付き合っている恋人だからこそ、相手の隅々まで知りたい、スマホのセキュリティが障害になっているからこそ、何とかしてその先にあるLINEとメールの内容と相手が知りたい。

あるいは浮気疑惑の確信を得るためにチェックをしてしまうケースもあるのかもしれません。

相手への想いの強さから、抑えきれない不安感から、自分が知らない携帯電話の世界に矛先が伸びるのでしょう。
    
 
私は携帯電話をこっそり覗き見してしまう間柄で、その後上手くいったケースを聴いたことがありません。

はたしてメールや着信履歴をチェックされたことで、それから安穏とした日々を過ごせるのでしょうか。

もしもその行為が相手にバレてしまったり、相手の浮気を知ったことで詰った際に、修羅場は欠かせないでしょう。

相手に対する不信感や不満感が募ってしまい、携帯電話の世界までも掌握しないとたまらないくらいの情動に駆られてしまったら、その先に二人の笑顔は訪れないことを忘れてはなりません。

2015年12月2日

Posted by TAKA