第85話「どれだけ頑張っても想いが届かない背景には」 

2015年12月2日上手くいかない片思い


どれだけ相手を想っても報われることがないんです。
メールをしても返事が返ってきません。嫌われてしまったのでしょうか。


片思い止まりでいつも終わってしまう男性の方は、共通してこのような嘆きを訴えてくることが多いです。
 
私は彼らに対して、「もっと他に良い女性がいますよ」とか「縁がなかったのですよ」というキーワードは極力使わないようにしています。
   
私はどうしても好きになった女性を諦められない苦しみを実体験からもよくわかっていますし、自分の恋路に判断を下すのは私ではないと思っているからです。

このコラムをご覧になっている方の中にも、好きになった異性に相手にされずに、行き詰まりを感じていらっしゃる方がおられるかもしれません。

ですが、片思いは自分の努力だけではどうすることもできないこともあるのです。

これからお話することは、私の実体験を基にするので、主に男性向けの話になってしまう部分がありますが、「頑張っても思いが通じない背景には何があるのか」を語っていきます。

もちろん今回のテーマが全ての片思いに共通しているわけではないので、一つの可能性として受けていただければと願います。


つい先日のことです。

私は都内にある母校(大学)の学園祭に出かけました。
 
秋は全国的に学園祭のシーズンです。

私は久しぶりに思い出の校舎がある学内に踏み入りました。

毎年来場者数が10万人を超える大規模な催しだけあって、キャンパス内は平日とは見違えるほどの人・人・人でした。

来客層は圧倒的に10代後半から20代前半までの若い学生が多く、異様なほどの盛り上がりを見せる中、私は偶然にも唯一空いていたベンチに腰をおろして、辺りを見まわしました。
  
まず目の前に飛び込んできたのは、サークル主体の模擬店の看板を持った男子学生の姿。

「焼きそば350円」という手作りの看板を持ちながら、大声で「焼きそばいかがでしょうかぁ?」
 
と、人ごみの中、何度も何度も自分の存在感を示すために、張り切って宣伝していました。

ですが、自分から客を待っていてもなかなかやってこない様子。
 
彼は自分から勧誘に行くことを決意したようで、動き始めました。

彼が積極的に話しかけている相手は若い女性ばかりでした。
 
制服を着た女子高生や、友達同士で来ていると思われる女子大生に近寄っていて、猛アピールをしていました。

あまりにも声に張りがあるので、会話内容まではっきりと聴こえてきたのですが、彼は本来の目的である焼きそば売りではなく、女子大生や女子高生とのおしゃべりに興じていました。


気がつけば互いに携帯電話を取り出して、赤外線で個人情報を交換しているではありませんか。

 「模擬店の勧誘を建前に、なんともおいしい思いをしているなぁ」なんて感心しながら別の方向に目をやると、ベンチに腰をおろして何をするでもなくおしゃべりをしている女子大生2人組の姿が留まりました。

どこにも移動する気配がないところを見ると、誰かと待ち合わせをしているのでしょうか。

19歳くらいで、お化粧もファッションもバッチリ決め込んでいて、20代後半の私の目から見ても可愛い女性でした。
  
そんな推測を巡らせている矢先でした。

彼女達が座っているベンチを取り囲む男性の姿が目に飛び込んできました。

彼女達と年齢が同じくらいに見える二人組です。

何を話しているのかまでは耳には入ってきませんが、3分ほど会話を交わした後に、さきほどの焼きそば売りの男子と同じように、4人は自分が使っている携帯電話を取りだして、各々の連絡先を交換しているようでした。


彼らは携帯をしまうと、満面の笑みで、目的を果たしたかのように彼女らに手を振って人ごみへ紛れていきました。

残された女子達の顔色を観察してみましたが、彼女たちは何事もなかったかのようにまた二人での会話に戻っていました。

二人にとっては慣れた光景だったのでしょうか。

ほどなくして、新しい男子二人組が現れて、同じように彼女達と会話を交わした後、番号交換をしています。


その後もたった10分間の間で、次から次へと新しい男子達が彼女たちの前に現れ、連絡先の交換していきました。

彼女達は合計8人くらいの男子たちと連絡先を交換していました。

傍に行って耳を傾けてみたら、

「さっきの彼が一番かっこよかったしイイ感じだったね」
「でしょー、あたしもそう思った」

なんて男子品評会のような感想が耳に入りました。

その光景が特別なものではないことに間もなく気がつくことになります。

キャンパス内のほとんどのベンチや階段に座っている女子達の傍には、携帯を握った今風の男子や店の看板を持った男子たちが群がっていました。

アプローチされている女子の顔を窺っても、まんざらでもない表情です。

客観的に見ても、彼らや彼女達が出逢いを求めてこの場にいる人間である様子が伝わってきました。

都内でも路上ナンパをしている姿をなかなか見かけなくなっていた今日この頃ですが、この日のキャンパスでは行き交う男女達がごく自然に声を掛け合っているのです。


こうして目の前の現象を眺めていると、虎視眈々とチャンスをうかがいながら果敢にアプローチしている肉食系男子達の実態が分かりました。

恐らくその晩には、今日知り合った多くの男性陣から彼女達に連絡が届くことでしょう。

一方で、冒頭のように、勇気を出してメールを送ってもそっけない振る舞いに苦しみ続ける男性の姿が思い浮かびます。

自分が「イイな」と思った女性には、必ずといって良いほど他にもアプローチしている男性がいたり、良い感じになっている相手がいるものです。

そんな競合相手が多数いる中で、相手に自分を特別な存在として認めてもらうためにはどうすれば良いのでしょうか。

努力も大切ですが、頑張ってもどうにもならないことってありますよね。
 
実際は、恋愛候補になるよりも、「この人は違うな」という判断を下され、恋愛対象からふるい落とされてしまう確率の方が高いのかもしれません。

他にもアプローチしている人間が控えている可能性もある中、状況によっては諦めざるを得ないことの方が圧倒的に多いでしょう。

選ばれる側は、なんて不利な立場なんだといじけたくなる気持ちも分かりますが、哀しいかな世の中の常なのですよね。

気持ちに踏ん切りがついて、また「この人だ」と思える相手ができたら、諦めずに挑戦し続けて欲しいのです。


今回が上手くいかなくても、次回も同じ結果になるとは限りません。
 
あなたには、一人の異性を想い続けられるその一途さがあるのですから。

2015年12月2日

Posted by TAKA