第312回「気になる異性に話しかける行為自体が難しくなっていても」
真面目で問題のない人間だと評価されていたような男女が、
あるきっかけによって、人の道から外れてしまうというニュースが相次いでいます。
フランスで起こった同時多発テロに絡んで、自爆死という最期を迎えた26歳の女性。
東京都江戸川区で起きた、高校3年生を自宅に誘い込んで絞殺した29歳無職の男性。
現役教職員による生徒への猥褻・盗撮行為。
出逢い系、SNSで知り合った異性に対して詐欺、性犯罪行為。
「何でこの人が?」と思われるような風貌や人柄であることが共通しています。
普段のそぶりでは底知れぬ悪意や強欲の持ち主であることまでは、見抜けないことが分かります。
見ず知らずの人間や他人をむやみに信じてはいけないという、警戒心が強まっています。
その煽りを実感するかのように、アミューズメント施設内に貼られていた警告文です。
ナンパ行為は迷惑なので禁止します。
破ったら退店してもらいます。
という文章です。
ナンパ禁止文は、一部でなくて、街角で多く目に留まるようになりました。
知らない人に声を掛けるという行為は、相手側だけではなくて、
店側にとっても被害を被る代表的な振る舞いだと認識されているのです。
このような社会的風潮から影響を受けるのが、真面目に出逢いを求めている人間でしょう。
犯罪目的ではなくて、純粋に異性に巡り合いたいという方にとってみれば、
相手に警戒心を常に抱かれていることが前提であることを意識してしまうと、
自分から一歩踏み出しづらくなってしまうからです。
声を掛ければ無視されたり、罵られるだけではなくて、
不審者扱いされて通報されてしまうリスクもあることをよく知っているからです。
ナンパ行為は、まさにその典型でもあるでしょう。
かくいう私は、この10年の間でストリートナンパというものを数回経験したことがあります。
目的としては、タイプの女性と知り合いたいというものと、
自分がどこまで通用するのか試してみたいという好奇心からでした。
その都度、初対面の相手と信頼関係を築く行為の難しさというものを痛感していました。
営業職のようなナンパにも共通するコミュニケーションスキルは備えていなかったので、全ては試行錯誤の修行の道でした。
幸いなことに叫ばれたり、無視はされたことはありませんでしたが、
明らかに猜疑心を持ちながら警戒されている様子が手に取るように伝わりました。
ある女性には、連絡先の交換を求めたら、
「知らない人には教えていけないというお約束になっているんです」
と、丁重に断られたものです。
当時私自身、ナンパ行為が初めてに近いのもあって、
しどろもどろになりながら一人相撲のような声掛けをしていたのが自分でも分かっていました。
相手の呼吸に合わせずに、自分のアピールをするのに必死になっていて、
それでは次につながらないことが納得できたのです。
収穫としては、見知らぬ他人から話しかけてもしっかりと耳を傾けてくれたことです。
立ち止まって話を聞いてくれただけでも成果がありました。
話は戻りますが、出逢いのチャンスをつかむためには、
警戒心を抱いている人間が当たり前な社会だとしても、
自分から声を掛けなければならないという条件は変わりません。
けれども、ところ構わずただ闇雲に話しかけても良縁にはつながりません。
時と場所によって、相手の反応や成果に明らかな違いがあるからです。
例えばストリートナンパと街コンなどの出逢いのイベントとでは、反応も雲泥の差がありました。
それもそのはず、出逢いを求めている男女の集まりが前提ですからね。
誰しもが警戒心を抱いているのはやむを得ないことですが、
人とのつながりや心温まるような出逢いを渇望している男女も潜在的に多数存在しています。
だからこそ、臆することなく声を掛け続けてください。
犯罪に巻き込むために近づこうとしているわけではないのですよね?
自信を持って堂々と声を掛ければ問題はありません。
相手が心を開いてくれるのには、一朝一夕では行かずに、それなりの時間がかかるかもしれません。
そして、その熱意は伝わる人には伝わります。
あなたが声を掛けてくれるのを待っている誰かがこの世界のどこかで生きています。
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