第308回「焦れば焦るほど上手くいかなくなる、急いては事を仕損じる」

2015年11月30日上手くいかない人生ちょっと待った


※東京都早稲田にある夏目漱石生誕記念碑

 

冒頭は、車を運転したことがある方に向けての話になります。

一度赤信号に引っかかると、行く先々で赤信号が連続するという経験があるのではないでしょうか。

目的地に向かって急いでいる時ほど、スパイラルのように赤信号が立て続くと、焦りと苛立ちを覚えることはないでしょうか。

速度を上げることで、黄色信号のタイミングで滑り込みセーフのように切り抜けて進めても、その先の信号が赤になり、停止せざるを得なくなるのです。

こういう状況の時に、焦りに身を任せて、急げば急ぐほど、思うように進まなくて、更にイライラが募ってしまう悪循環から抜けられなくなってしまうものです。

最悪の場合は衝突事故を発生させてしまい、取り返しがつかなくなってしまう危険性もなきにしもあらずです。

車つながりの話で言うと、追い越し行為も共通しているところがあります。

一刻も早く到着したいがために、焦りやイライラに従って追い越しを続けたとしても、到着時に要する所要時間は、追い越しをしなかった車とわずかしか変わらないという実験結果がありました。


■ テーマ
約100kmの区間を走る間に、A車とB車がそれぞれどれだけの車を追い越したか(あるいは追い越されたか)、そして最終的な目的地への到着時間(所要時間)にどれほどの差があったのか。

■ 条件
A車:時速60キロで走行。できるだけ多くの車を追い越す。
B車:時速50キロ以下で走行。(原付含む)絶対に追い越しはしない。

A車が追い越した車の数は83台。B車はもちろん0台。

■ 所要時間
A:2時間19分
B:2時間29分

■ 結論
装着時間差はわずか10分。
10キロあたり1分も違いません。

むしろ頻繁に追い越すことにより、疲労感や事故の危険性が大きくなり、さらに燃料の消費量、タイヤ、ギヤ、ブレーキの消耗等のデメリットが強まるばかりという実験結果です。

追い越しもしないし、法定速度を守りながら運転を続けているある有名人の話です。

サッカーのガンバ大阪の遠藤保仁選手が運転する車はメルセデスベンツで、軽く時速100キロくらいは出せるほどの性能を持つ車なのですが、当の本人は30~40キロしか出さないほどの超マイペースの運転だそうです。

おかげで後ろには渋滞が発生してしまうらしいのですが、一度も遅刻はしたことがないようです。

なぜ遠藤選手がそこまでしてスロー運転に徹底しているのかと言うと、

「急いで走っても、結局信号に捕まって同じになるから。だったら初めから急がない」

という持論を持っているようです。

あの本田圭佑選手も尊敬している人柄だけあって、自分というものをしっかり持っている様子がうかがえます。

さて、なぜ今回運転にまつわるエピソードを冒頭から話したかと言いますと、人生というものも共通しているところがあるからです。


なんとかして告白に成功したい。
なんとかして早く就職したい。

チャンスが掴めずに、欲求不満の思いが強くなりすぎると、我を失って冷静な判断力が欠けてしまい、どんどん焦りとイライラに支配されるようになってしまうものです。

その結果としては、成就するどころか、空回りしてしまうことの方が多いのです。

仮に叶ったとしても、

想像していたような相手ではなかった。

とか、

入社したら劣悪な労働条件下のブラック企業だった。

という予想外の展開から、

「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまう未来も珍しくはありません。


本当に、焦れば焦るほど事は上手く行かなくなるのです。

頭で理解していても、いざ自分のこととなると、コントロールすることが非常に難しいものです。


今、動かないと、取り返しがつかなくなってしまう。

とか、

早く焦りから解放されたい。

という思いが強くなって抑えきれなくなるからです。

年齢とか世間体とか周りの声とかが影響して、本当は動きたくないのに翻弄されている自分に気づいているのかもしれません。

そのような停滞期、混乱期にさしかかっている時に、抗うようにあがくことで、いっそう自分を苦しめてしまうのです。

私が経験上から言えること、他の相談者様の話を集約して分かったことですが、待つこと、動かないという選択は負けではありません。

焦って急いで結果だけを求めようとすればするほど、奈落の底に転落していってしまう危険があるのです。

なぜなら、そこには自分らしさというものが存在していないから。

今まで感情の赴くまま行動を続けていた分、このタイミングで一度止まってみることで、運命が好転換し始めるものなのです。

そうやってギクシャクしていた関係が一転した体験談も耳にしてきました。

進んだら止まる、止まったら進むの繰り返しは、まるで成果が見られないようですが、着実に目的地に近づいています。

躍起になって他人を追い抜こうとしなくも、マイペースで前進出来るのです。

こうは言っても、そう簡単に気持ちは切り替えられないし、自分だけが置いてきぼりにされているような孤独感や焦燥感に苦しんでいるお気持ちは痛いほど想像できます。

そんな時に究極の選択「ちょっと待った」タイムです。

不安で、焦って、どうしようもない衝動に駆られた時こそ、ちょっと止まってみて、強制的に目線を別の方向に向けてみてください。

運動をしたり、誰かにおしゃべりするような行動が効果的です。

ちょっと待てるという行動に移せた時、明らかに心の余裕が生まれています。

そうやって休むとき、止まる時はしっかりと止まりながら、自分なりの歩行速度で進んで行ってくださいね。

2015年11月30日

Posted by TAKA