第309回「現実逃避?否、こんな形の恋もある」
私が好きな女性の名前は絵里といいます。
彼女に片思いを始めてから2年が経とうとしていますが、ほかのどんな女性も比較にならないくらい心を惹かれています。
えっ?
絵里は何歳で何の職業に就いているかですって?
はい、答えましょう。
絵里は17歳の現役高校三年生です。
金髪が美しいロシア人とのクォーターなんです。
私はそんな愛らしい彼女のことをエリチカと呼んでいます。
……
えっ!?
エリチカの写真を見せてほしいですって?
分かりました。
きっとあなたも彼女にメロメロになってしまうかもしれませんが、ここまで興味を持っていただいたお礼に紹介しましょう。
自宅で撮影させもらったとっておきの一枚があるんです。
……
えっ?
かわいいでしょ、彼女は♫
……
まさかの展開にがっかりされた方もいれば、その世界に精通されている方は察知の通りだったでしょうね。
てっきり私の好きな人の話だと予想されていたかもしれませんが、これまでのエピソードは、私の師匠でもある友人、翔太の話です。
私と彼は、中学校以来の旧友でもあり、アニメとマンガの世界の師匠的存在でもある関係なのです。
前のやり取りで登場した絵里(エリチカ)というのは、一大ブームになったアニメ『ラブライブ』のメンバーの一人です。
彼は中学の頃から、アニメと漫画のいわゆる二次元の世界に傾注しており、彼の影響から私もその世界に足を踏み入れるようになったと言っても過言ではありません。
翔太は、今まで巡り合ってきた二次元の中でも最も心がときめいて、2年以上もファンを続けているのが絵里というキャラクターなのです。
アミューズメント施設等で獲得した絵里グッズは約50にもなり、その数は日に日に増えています。
音楽プレイヤーの中には、ラブライブの曲が数十曲収録されていて、スキマ時間にはラブライブのスマホアプリと交互で楽しんでいます。
休日にもなれば、作中で絵里が着用している練習着と同様のTシャツ(私が購入してプレゼントしました)を着こなしています。
30代の男ですが。
ここまで聴いて、その世界に免疫がない方にとっては、ドン引きされたり、いまいち彼の生活ぶりが想像できない状況かもしれませんね。
もしかしたら、この文字を読む前の段階で、興が失せてこのページからいなくなった方もいらっしゃるでしょう。
にもかかわらずここまで読んでくださっているということは、彼の生き方が気になったり、みなさん自身の何かにも響くものがあるからなのでしょうね。
では、続けさせていただきます。
傍から見れば、理解しがたくて、ともすれば引かれてしまうような熱中ぶりかもしれませんが、当の本人はまるで10代前半のように、童心に返って楽しんでいるのです。
そんな彼と一緒に過ごしていると、いつも間にか自分もラブライブの世界に引き込まれてしまったほどの影響力を持つ人間なのです。
さて、「翔太にリアルで付き合っている女性や好きな相手はいないのか」と疑問を感じたかたもいらっしゃるかもしれませんね。
今の彼は三次元、つまり現実世界の恋愛には興味がないようです。
同世代が続々と結婚して家庭を築いている中、彼はアニメの世界の18歳の美少女キャラを追い続けています。
実際のところ、彼がリアルな恋愛観や結婚についてどう考えているのか本音は分かりません。
以前、一度だけ恋愛トークを振った時に、
「俺は一生結婚しない」
と真顔で返されたことがあり、それ以降はタブーのように話さないようにしました。
ところで、彼のようにアニメの世界のキャラクターに愛を注ぎ、現実世界の異性から距離を置いているという生き方を選んでいる人間というのは翔太だけではありません。
リアルな対人関係で傷つくようになってから、二次元の世界に移住するようになった男女の話をいくつか聴いたことがあります。
美少女、美男子キャラになぜそこまで心を惹かれるのか。
ある男性は、ドキュメンタリー番組の中でこう口にしました。
「だって、アニメの世界のキャラクターは裏切らないから」
そう語る男性は中学時代に同級生から熾烈ないじめに遭ってから人間不信に陥っていましたが、高校時代に知り合ったあるアニメの主人公キャラに恋をしてから、生きる希望を与えてもらったと語っていました。
まさに彼女の存在は癒しであり、光でもあるのでしょう。
アニメの世界のキャラクターは自分を傷つけることなく、いつだって魅力的な存在のまま自分の前で輝き続けている。
一部の人間から現実逃避だと揶揄されようが、疑似恋愛だからと蔑んだ眼差しを向けられようが、彼らはその生き方を止めません。
なぜならば、彼はアニメとの出逢いによって、生きるハリを持って人生を楽しんでいるからです。
絵里に首ったけの翔太がこれからどんな恋路を辿ることになるのか、また新しい展開が訪れたらご紹介したいと思います。
投稿者プロフィール

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恋愛がうまく行かずに、明日を見失っている方に向けてのコラムを20年間発信してまいりました。メールと通話を使った直接対話サービスも10年以上続けております。累計の相談実績は約5000件。
マイナビニュースでも拙コラムの一部を掲載しております。
筆者自身が20代から30代前半まで10回連続片思い失恋を経験したこともあります。
男女の心理が分からない、片思い止まりでどこからどう変われば良いのかさまよわれている方に向けて、拙コラムがお役に立てれば幸いです。
関連取得資格
公認心理師
精神保健福祉士
国家資格キャリアコンサルタント
伴走型支援士
ストレスチェック実施者
メンタルヘルス・マネジメント検定II種III種
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