第248回「恋人ができれば孤独から逃れられるという誤信」
恋人ができれば今抱えている孤独が解消されるのでしょうか。
好きではないないけど、寂しいから付き合う。
一人でいたくないから行きずりの男性と体の関係を持つ。
という若者の姿を多々目にしています。
それで上手くいくような関係もありますが、
恋愛をすれば相手が自分を変えてくれる。
寂しさをなくしてくれる。
大抵は、このような過度な期待を持っていると、理想と現実のギャップから苦しい思いを重ねることになる可能性が高いものです。
もちろん、恋人がいる生活というものは素晴らしいものです。
自分を必要としてくれて、愛情を与えてくれて、自分を支えてくれるパートナーの存在というものはかけがえのないものです。
ですが、どれだけ素敵な恋人が傍にいても、孤独が消えてなくなることはないのです。
人は遅かれ早かれいつかは死にますが、最後の場面においても独りなのです。
逆説的な見方で、
自分の人生が上手くいっていないのは、恋人がいないせいだ。
という見方を持っている方もいらっしゃるかもしれません。
7年前に秋葉原で7人が殺害された通り魔事件はご存知ですよね。
死刑判決が下った加藤智大被告は犯行前にこう残しました。
彼女がいない。それが全ての元凶
彼女さえいればこんなに惨めに生きてなくていいのに
彼女がいない、ただこの一点で人生崩壊
彼は心の底で常に孤独を抱えていました。
彼はインターネットのチャットに居場所を求めて依存するようになりましたが、最終的には住民からも見放されて、行き場を見失った彼はあのような究極的な行動に移ってしまいました。
孤独が耐え切れなくなって相手に依存する関係が生まれると、そこからは悲劇的な展開が待っています。
身も心も傷つけられてしまい、ますます孤独が募ることになるのです。
他人は孤独を埋め合わせてはくれないのです。
他人は自分の思い通りにはなりませんし、期待通りには生きてはくれません。
自分を救ってあげられるのも、癒してあげられるのも、他人ではなくて自分なのです。
私のコラムやブログをご覧になって救われたと言ってくださる方がいらっしゃいますが、実は私が救っているのでなくて、他でもない自分の想像力によって自分を回復しているのです。
孤独と上手く付き合っていく上では自分を愛するという行いが欠かせません。
自分を愛せる人間は、他人も大切にできるのですから。
他人を愛せる人間は、相手からも大切にされます。
どうぞありのままの自分をご自愛ください。
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