第206回「尽くしすぎると上手くいかないとしても」

2015年12月1日上手くいかない恋愛関係


昨年末の忘年会で、31歳の友人達数人と酒を酌み交わした際に、その中のB君がこうつぶやいてきました。

最近、子持ちのシングルマザーに振られたばかりで、傷心中なんだわ。

あれだけ本気だったのに、他に好きな人ができたからってあっさり突き放されてさぁ、かなりショックだったよ。


こういう場で良く出る話題の一つである恋愛トークです。

どうやら最近まさに失恋を経験したばかりのようでした。

そして、間をおかずに次に出たB君の一言に一同が感嘆しました。


これで16人目だよ。

今回もまた縁がなかったわダウン


16もの交際人数の多さにインパクトを受けましたが、結婚に至ることなく破局を迎えてしまうのでした。

彼は中学生時代から出会いに積極的な方で、気になる異性には自分からどんどん声をかけに行くタイプでしたが、いざ交際することが出来ても、なかなか長続きしないようです。

彼はその要因を一言、「尽くしすぎるからかもしれない」とぼやいていました。

彼女の要望を全て受け入れてしまい、結果として彼女が安心しきって下に見るようになって、ぞんざいな扱いをされるようになると分析していました。

彼は自分がこれだけの恋愛を経験しても、上手くいかない理由は自分が男らしくないからだと自虐的な評価を下していましたが、私は何も言葉をかけられずに聴いていました。


そして、最近、20歳の女性の友人Eちゃんから、B君と同じようなぼやきを聴かされました。

交際人数は延べ10人。

自分から告白したことはなくて、いつも相手から告白されて付き合っている。

けれどもいつも決まって長続きせずに、相手に浮気されて別れている。

原因は「尽くしすぎてしまうから」だと分かっている。

わかってはいるけれども、なかなか気持ちを切り替えられない。


真剣にそうつぶやいていました。


ハタチで10人と付き合ったことがあるという経験は、今どきの恋愛事情としては際立っているという印象を受けましたが、彼女もB君と同じように、自分が相手のために尽くしすぎてしまうために、相手に見放されてしまうという末路を辿っているのでした。

B君もEちゃんもとても人情味があって、一緒にいて明るくなるような天真爛漫さを持っています。

それだけの恋愛のチャンスをつかんでも、上手くいかずに苦しみ続けているのです。

尽くしすぎると上手くいかなくなるというのは、男女にとっても共通のテーマであることを今回のケースで学ばせてもらえました。

恋愛経験の少ない人間から見ると、二けたもの異性と付き合ったことがある人間は自分とは別世界のようで、うらやましくもあるように思えてくるかもしれませんが、中には彼らのように、それだけの出会いがあっても、いつも同じ要因で破局してしまって、苦しみ続けている人間も存在するのです。


どちらかというと私も尽くすタイプなので、他人事ではなく、自分のこととして共感できる部分が多々ありました。

幸いなことに、B君もEちゃんも、それでもまた新しい出会いに向かって一歩踏み出そうとしています。

確かに今まで、哀しい結末を迎えることも多かったですが、恋愛している時の自分が活き活きしていた喜びを知っているからこそ、原動力につながるのでしょう。

20代でも30代でも、諦めない限り、いくらでもチャンスはやってくるでしょう。

いい人は人生を損していると言われていますが、彼らのように他者の幸せ作りに念頭に置いている人間が遅咲きでも開花できるに違いありません。

尽くしすぎずに、自分の立場も大切にできるアサーティブな関係作りを目指している彼らの後に私も伴走していきます。

2015年12月1日

Posted by TAKA