第82回「周りの目が気になって恋愛に積極的になれなかったら」
もしもあの人に話しかけているところを、傍にいる人間に見られていると考えたら、恥ずかしくて行動ができない。
クラスメイトや同僚に気になる存在がいるけれども、あの人に話しかけてしまったら、周りの人間に好意がバレて気まずくなってしまうリスクがあるから、目で追うことしかできないんだ。
今回のコラムは、気になる異性が身近にいるのだけれども、体裁が気になってしまい、行動にブレーキしている方に贈ります。
私の場合、頓に高校2年生の時期に冒頭のようなシミュレーションを立てては悶々と過ごしていました。
共学だったのですが、当時のクラスは、一部を除いて男女の仲がそれほど親しくなかったために、グループ授業以外で男女が一対一で会話している構図は存在していませんでした。
男子は男子同士、女子は女子同士の仲良しメンバーで集まって、行動を共にしている日々でした。
そんな環境の中でも、本能には逆らえずに、クラスの中に気になる異性が必ずいたもので、気がつけば、
「あの子と仲良くなりたい」なんて感情が自然に芽生えたわけですが、いざとなると周りのクラスメイトの反応が気になって、なかなか行動に移せないままでいました。
クラスの中で男子が女子に(それも一人だけに)話しかけるという行為が、習慣として確立していなかったためです。
一度だけそんな暗黙の重圧をはねのけて、チャレンジ精神から気になる異性に話しかけた事があったのですが、後になってその様子を観察していたクラスメイト数人から、
「ねぇ、TAKA氏君って○○(話しかけた子)が好きなの?」
と、ニヤニヤしながら単刀直入に声を掛けられたことがありました。
たった一度話しかけただけで、心の中身を見透かされてしまったようなその舌鋒鋭い指摘によって、話しかける勇気を失ってしまい、以後その子と接点をなくしてしまったのは言うまでもありません。
しかしながら大学に進学してから意識の変革が訪れました。
キャンパスを見渡すと、男女がごく当たり前のように、共に行動しているのです。
学科内でも、カップル同士で授業に参加している者もぼちぼちいて、あまりのもの世界の違いにカルチャーショックを受けました。
まさに井の中の蛙が大海を知って、慌てふためいている状態です。
そんな多感な時期に、経験が少ない私でしたが、常識スイッチが切り替わり、男女同じグループで行動している関係性なんて、なんら違和感のない光景に変わっていきました。
今置かれている環境の中で、あなたが好きな人や気になる異性に話しかけることで、第三者にからかわれたり、言葉がなくても自分に浴びせられる目線が心に突き刺さって、素直な気持ちに蓋をしてしまうことがあるかもしれません。
周りの人間は、嫉妬や羨望、ストレスのはけ口として、目立っているあなたに当たっていることもあるのです。
そんな輩に翻弄されてしまって、本来の自分を抑制して、“いい人”を演じていても、自分の人生を謳歌できません。
あなたの人生は他人に操作されて、振り回されるものではないはずです。
周りからのプレッシャーにダウンしてしまい、おどおどビクビクしながらあの人と接していると、最初は好意的に受け止めてくれていた態度も次第によそよそしくなっていきます。
まるで恋愛をしてはいけないような環境であるプレッシャーは、錯覚だと割り切ってください。
そして今の環境や人間関係がこの先永遠に続くわけではありません。
多くのカップルの出逢いの場が学校や職場であるケースが多いのです。
周りの人間は自分とあの人のことを常時マークしていることの方が異常なのです。
思い込みによって、貴重な出逢いの可能性が潰えてしまったら、後悔先に立たずですよね。
学校での自分、職場での自分、家庭での自分と、立場によって切り替えている多彩な顔の自分がいますよね。
そんな多面性を持つあなただからこそ、「かくある自分」という固定観念にとらわれずに、傍観者からのエゴイズムに錯乱されることなく、目の前のあの人と向き合えれば、笑福到来するでしょう。
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