第26回「失敗、孤独、絶望、明けない夜の毎日に疲れたあなたに」

上手くいかない人生


人生って思い通りにならないことの連続ですよね。

 
恋愛、進路、仕事や人間関係、生きていく上で苦しいこと、辛い体験は常に隣り合わせです。
 
人生というものは、時に精神を大きく疲弊させ、答えの見えない闇の世界へと誘います。

相手の気持ちも分からない。
自分がどうすればよいかわからない。

自分は一体いつになったらこの苦しみから解放されるのだろうか。

絶望とかすかな希望との間で揺れ動く人生に疲れ果ててしまう方もいるでしょう。
 

私はいつも後になって思うんです。
 
自分の苦しみでいっぱいいっぱいになってい時期って、意識が内的世界に閉じ篭っていて、外の世界に目を向ける余裕がないことを。

誰が悪いんでもない。

自分が不甲斐ないからうまくいかないんだ。
 
こんな風に思い詰めて、自分をどんどん嫌いになっていませんか。
 
もし思い当たる節があったら、ぜひこの機会に“他人”について考えてみませんか。


私の元バイトの同僚で、当時30歳の独身女性がいました。

その女性はとても思いやりがあって、9歳も歳が離れていた年下の私をいつも可愛がってくれました。
 
明るい笑顔を持つ彼女に疲れた私の心はいつも解き解されていたのです。


そんな彼女が一ヶ月以上休職する時期がありました。

その理由は明かされませんでしたが、復帰後の彼女が自ら解説してくれました。
 
その女性は、普段の姿からは想像できないような辛い環境に置かれていました。
 
長年、妹との価値観の違いから頻繁に起きていた喧嘩と、祖父を介護する日々のストレスで、ついにダウンしてしまい、家の中で失神したのです。
 
気がついた時には病院のベットの上で横たわっていたそうです。
 
医師からは、過度な精神的ストレスが要因で、4つ以上の病気を併発して、じわじわと身を蝕んでいるという酷な現実を突きつけられました。

 
しばらくは安静に過ごして、なんとか退院することが出来たのですが、今度は妹がストレスで倒れてしまいました。
 
さらに追い討ちをかけるかのように不幸は重なって、最愛の家族の一人である彼女のおじいちゃんが病気で急死してしまいました。
  
妹は軽症だったので、すぐに回復することが出来ましたが、前より増して仲違いになってしまったのです。
 
姉である彼女は、自分の安らげる居場所を失ったようです。
 
私と職場で会う度に、
 
「どこか安心して休める場所を知ってたら教えて」

と、掠れた声で呟きかけてきました。
 
 
私は、彼女が抱える心からの悲鳴に対して、話を聞いてあげることしか出来ず、計らったり、気の利いた言葉をかけてあげられませんでした。
 
彼女の心の傷は想像以上に深いもので、自分でもどう接すればいいか分からなかったのが本音だったのです。
 
 
それから彼女は職場を去り、新しい仕事に就いたのですが、情緒不安定からか数ヵ月後にリストラ勧告され、しかも営業の途中で接触事故に遭い片腕を骨折してしまいました。
 
それから、音沙汰が途絶えました。
 
彼女のことを意識しなくなるようになった半年後、思ってもみない嬉しい知らせが私の耳に舞い込んで来たのです。
 
彼女は結婚が決まり、東京で旦那さんと一緒に暮らすことになったのです。
 
バイトを去ってからの数ヶ月、その短期間で彼女に何があったのかはわかりません。
 
一つだけ確かなのは、辛く孤独な冬をようやく乗り越え、暖かい春が到来したという事です。

あれだけ立て続けで苦しい逆境を体験した彼女ですから、この先幸せになるのに違いありません。
 
私に与えてくれた優しい言葉や思いやりの数々は、記憶となって私の胸の中に残っています。

先が見えなくなって、どうしていいか分からなくなった時こそ、自分の世界から足を踏み出して、周りの人間に目を向けて見ませんか。


あなたの優しさや思いやりを必要としている人間が必ず傍にいるのです。


私は彼女の心の苦しみを受け止められた自信はありません。

でも、一人でも多くの人間に心を開けば、必ず自分を助けてくれる者もいることを実感しました。

人に傷付けられる時もあるかもしれませんが、人に癒されることも忘れてはなりません。
 
是非自分を必要とする新しい出逢いに向けて、外へ出て見ませんか。
 
その先には温かい何かが待っています。

 

Posted by TAKA