第233回「ケンカするほど仲が良いのか悪いのか」

2015年12月1日上手くいかない恋愛関係



「ケンカするほど仲が良い」という有名な言葉が存在しますが、みなさんは交際している恋人や伴侶とケンカすることはあるでしょうか。

ケンカするほど仲が良いという根拠を、ある心理学者が研究したようです。

以下はソースからの引用になります。


ワシントン大学の心理学者ジョン・ゴットマン氏が『BUSINESS INSIDER』に語った内容によれば、仲がいい夫婦ほどケンカをしているというのです。つまり、ケンカするほど仲がいいというのは正しいということ。

(省略)

仲のいい夫婦では、意見が違ったり、気に入らないことがあると、すぐにケンカを始めるといいます。

そして、ケンカはそのときだけで、ケンカの内容が別のものにすり替わることもないのだとか。

ですが、仲のよくない夫婦では、ケンカはすぐに起こりません。コップに水が溜まるように、徐々に鬱憤が溜まっていき、あるとき大爆発を起こしてケンカになるといいます。

そのときはすでに遅し、一つの問題だけではなく、様々な問題が積み重なってのケンカですから、なかなか終結することもなく、時間がたっていることもあり、素直に謝ることもできません。

結果、ケンカが終わることもなく、それもまたストレスになるという悪循環に陥っていくのです。

メンジョイ「心理学者が指摘!「ケンカするほど仲がいい」はやはり本当だった」より


相手に気に入られるため、見捨てられないために、我慢に我慢を重ねて堪えきれずに爆発してしまうよりも、その都度自分の意思を相手に伝えて、すり合わせていく関係は、お互いにとって大切です。

私は、「何のためにケンカをするのか」という点が、「良い」か「悪い」かの判断基準になると考えています。

関係がこじれてしまう場合は、大抵どちらかのエゴが肥大化しているものですから。

少し前の昔話になりますが、私がかつて交際をしていた年下女性との間で、しょっちゅうケンカを繰り返していました。

私としては相手を打ち負かせようという気はなくて、相手を説得していさめよう、改心させようという思いからぶつかっていたつもりではありました。

相手を変えようという努力が徒労に終わり、裏目に出てしまうわけですが・・・・・・。

現実的には日に日にエスカレートして行ったのです。

最初の段階では一日に一回くらいの頻度でした。

例えば、「電話をかけても折り返してくれなくて寂しかった」という彼女の訴えが発端であるようなかわいいレベルでしたが、別れ際には30分に1回はケンカを繰り返すくらいの激しい修羅場を繰り広げていました。

今から思えばネタ話になるのですが、ある時、彼女と夕飯をスーパーに買出しに行く途中に、彼女が好きなサーティーワンアイスクリームのお店がありました。

彼女はとっさに満面の笑みで、「食べたい♪」と子猫のような潤んだ瞳で懇願してきましたが、本来の目的は食料の調達だったので、私は「帰り道にまたよろう」と遮りました。

彼女は不機嫌になるとまず無言になるのですが、この時もしぶしぶ了解したかのようで終始むっつりしながら買い物をしていました。

そして、彼女の怒りに油を注ぐような出来事がすぐに待っていました。

用を済ませたその帰りに例のサーティーワンの入り口に到着するやいなや、ウキウキしている彼女をあざわらうかのように、目の前で店のシャッターが下りたのです。

示し合わせたかのように、ちょうど閉店の時間だったというバッドタイミングでした。

期待をしていた彼女が激オコモードに切り替わったのは言うまでもありません。

挙句の果てに私にぶつけた一言が以下の通りです。

「閉まるのがわかってて、わざと買い物を遅らせたんでしょ!!(超激怒)」


さすがに、かわいさを通り越して呆れてしまいましたが、彼女は冗談も通じないくらい本気で不機嫌になっていました。

相手が年下というのもあって、私は彼女がケンカモードに切り替わる度に、

「もっとおおらかになろうよ」

「いじけるのは良くないよ」

という具合に諭しキャラに徹してきましたが、ついに限界が訪れます。


破局に至った最後のデートの舞台は、よりにもよってかの有名な、夢の世界であるディズニーシーでした。

来客者の誰もが幸せ気分を満喫している中、彼女は般若の表情で私を詰り、当の私はストレスで腸を痛めて、30分に1回はトイレに駆け込むという始末でした。

あの時ほどディズニーシーのトイレが天国で、いつまでも浸っていたいと切に感じた瞬間はありません。

いったい夢の世界でどんなケンカ劇を繰り広げたのかは詳しくは触れませんが、私達の場合は、ケンカが絶えなかったことで、どんどん関係に亀裂が生じて、破綻へとつながって行きました。

後々になって振り返ってみると、なぜあそこまでケンカをしていたのかと言えば、相性が悪かったという点に尽きるのですが、お互いに、

「自分を分かって欲しい。自分の言い分を優先して欲しい」

という思いが交錯していたからでした。

上記の記事の中で、心理学者ジョン・ゴットマン氏は、

「正しくケンカをするコツは、相手の話を聞き相手を受け入れること、改善点を一緒に探すこと、自分ばかり主張せず妥協することなどです。」

と論じています。

ケンカするほど仲が良いとは言いますが、ジョン・ゴットマン氏の指摘するように、相手を受け入れて妥協をすることをお互いに実践していれば、そもそもケンカにまで進展しないのではないかとは感じました。

しかしながら、私の経験を通しても、共感できる部分は大いにありました。

このように、傍から見れば笑劇的な私のケンカ劇場ですが、お互い本音でぶつかり合って良かったと感じられる点が今でもあります。

それは、未練が残らなかったという点です。

別れた直後は、自分を反省してまたやり直したいという衝動にも駆られましたが、すぐにクールダウンをしました(それでも違った意味で数ヶ月は引きずりましたが)。

別れて数年経った今でも、あれはあれで良かったと振り返れるのは、出すものを全て出し切った上での結末だったからでしょう。

もしもそのまま彼女と結婚していたら、ストレスで舞っていたことは間違いありません。

だから、もしもみなさんが今付き合っている彼氏・彼女に対して、我慢しすぎている何かがあるのだとしたら、限界が訪れて取り返しがつかなくなる前に、嫌われることを恐れずにぜひ本音でぶつかってみることをオススメしたいです。

それがどういう展開になっても、後悔や未練が少しでも残らないための唯一の行動だと思うからです。

最後に、私個人の話から、日本全体に目を向けて締めくくりたいと思います。

現代社会では、ケンカの絶えない夫婦が少なくはありません。

その要因はあえてここでは触れませんが、そのケンカの代償として、どちらかのパートナーが精神疾患を発症したり、致命傷になって殺人事件になってしまうことも珍しくはありません。

そして、その光景が面前DVという形で子ども達の前で繰り返されると、その後の成長に多大なる悪影響を及ぼすのです。

そういう家庭で育ち、後遺症のように自分を傷つけて、生きる希望を失っている子ども達やその親を何人見てきたことでしょうか。

夫婦間による子ども達の面前DVは、頻度や内容に関わらず、通報されれば、「心理的虐待」という扱いになり、司法・行政の処分、指導対象になるのです。

ケンカするほど家庭が崩壊してしまうリスクを踏まえて、「相手の話を聞き相手を受け入れること、改善点を一緒に探すこと、自分ばかり主張せず妥協すること」というゴッドマンの氏の唱える基本原則を忘れないようにしたいものです。

2015年12月1日

Posted by TAKA