第18回「ずっと、ずっと、忘れられない人」

2015年12月3日失恋した心に贈る


いつもと同じ平凡で変化のない毎日。

そんなある日、私の心を虹色に変えてくれたあのスマイルにめぐり合えた。
  
忘れかけていた何かが胸の中に蘇る。

この感動、この新鮮な想い。自分はこの人と出逢うために、これまでやって来れたんだ。

恋愛のもたらす力は他の何よりも大きいもので、そんな喜びを思い出させてくれた あの人に感謝の気持ちで胸がいっぱいだったあの頃の自分。
 
こんな自分だけど、また本気で人を好きになれたんだ。

幾多の逆境を乗り越え、ようやく出逢えた運命の人。

この恋だけは離したくない、ずっとずっと一緒にいたい……。

それからしばしの時間が流れ、あの頃と環境も、心境も大きく変わってしまった。

ずっと傍に、心の中に絶えずいたあの人が、今はもういない……。

絶対に考えたくなかった「別れ」という結末。

あの人と出逢う前の不甲斐なかった自分に戻ってしまい、残ったのは絶望と喪失感。
 
今までの生活が嘘であったかのように気力がなくなって、何もかもが上手く行かなくなって自分という存在がとことん小さくなって行く苦痛の日々。

あの人の存在って自分にとってこんなに大きかっただなんて、 今さら気付いたってもう遅いよ……

失ってみて初めて気付く、存在の大きさ。
 
後悔、自己嫌悪、自己卑下、自信喪失。

あんなに大切な人を追い詰めてしまった自分が許せない。

悲しみのどん底に沈んでいる自分に、人々はみな口を揃えて語り掛けてくる。
 
「大丈夫!時が流れれば、心の傷も癒えて絶対もっといい人に巡り会えるって」

分かっている、結局それしか方法はないのは、自分でも承知の上なんだ。

それでもやっぱり、今の世界を受け入れたくない矛盾した自分がいる。

大切なあの人が去っていた現実を。

  
気がつけばどれだけの時間が流れたのだろう。

いつもと変わらぬ日常を過ごしていて、あれから少し変わった事と言えば、 前より笑顔を見せる回数が多くなった。

今ならもうありのままの自分を受け入れられる。

失恋を乗り越えて、ちょっぴり成長したって自分でも認められるほど元気が戻って来た私。

でも、何かが違う。心のモヤモヤがまだ胸を支配しているこの感覚……。
  
そう、自分でも気付いているんだ。

幾ら時間が流れて環境が変わっても、ずっと大好きだったあの人との思い出がふとした瞬間脳裏を駆け巡り、同時に胸の奥から切なさが込み上げてくる。

これだけ時間が経ったのに、もう会ってないから気持ちが冷めたはずなのに、あの笑顔が私の中から消えてないでずっとずっと淡い映像で放映され続けている。
  
 
確かに、自分はあの頃から比べると大分変わった。新しい人生を歩み始めている。

でも、心の中にいるあの人の虚像はいつまで経ってもあの頃のままなんだよ。

もうとっくの昔の出来事なのに。

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ずっと、ずっと忘れられない人。ずっとずっと大好きな人。

現在、過去を乗り越えられずに、どれだけ引きずっていても、苦しい思いを重ねてきても、明日は必ず訪れます。

もう永遠にあの人以上の人には出逢えないと思っていてもいいんです。

大切なのは今、そしてこれから。

過去があってのあなたなのです。

ずっとずっと、忘れられなくてもいいんです。

そんなあなたを丸ごと受け入れてくれる人がいるのだから。
 
言葉に出さなくても、みんな分かってるのだから。

少なくとも、あの時、ああしてなかったら、あなたの周りにいる、あなたをいつも支えてくれる大切な人間とも出逢えなかったかもしれません。  

全ての物事には意味がある。

思い通りにならない事こそ、生きるという意味なのではないでしょうか。

さぁ、また明日がやってきます。

トンネルの出口の向こうで、いつもあなたの手を引っ張ってくれるあの人が呼んでいます。
 
日ごろの感謝の気持ちを込めて、思い切ってメールやLINEでメッセージを送ってみませんか。
 
「いつもありがとう、これからもよろしく」

2015年12月3日

Posted by TAKA