第113回「失恋の苦しみの正体を知る」
失恋の苦しみの正体を知るために、25万部超えのベストセラー『考えない練習』の筆者である東大卒僧侶の小池龍之介氏の言葉を紹介します。
「この人を失いたくなくてたまらない」「別れたくないよー」と苦しむ渇愛の情は、相手を通じて、これまで自分がどれだけ快感を得てきたかということと密接に結び付いていると思われます。
この快感というのは、ドーパミンの脳内発射と言い換えても良いでしょう。
小池龍之介著 『ブッダにならう 苦しまない練習』 P78冒頭より引用
小池氏は、東大時代、学生結婚をしたもののまもなく離婚されたそうです。
大好きだった人が忘れられない、寝ても覚めてもあの人との良い思い出が走馬灯のように蘇って、苦しくて仕方がない。
小池氏が指摘するように、この時の脳内は、ドーパミン(麻薬)の禁断症状に陥っている状況とのこと。
氏は、別れの辛さかから、逃れられそうにない時は、麻薬依存症患者を隔離病棟にしばし監禁するように、相手を思い出すデータに一切触れないようにすることが役立つと言っています。
実際に、失恋後に相手との接点が少なければ少ないほど、思い出は美化されたとしても、気持ちの切り替えはしやすいものです。
日々の生活の積み重ねで脳内がアップデートされて行き、気持ちが整理されるのが人間の本質なのです。
人間の細胞は3~4ヶ月で総入換えされるような仕組みになっているとも言われていますが、毎日を必死に生きているだけで、着実に前に進んでいるのです。
氏は、
別れ際にお互いにとって一番良い道は、感情の乱れを取り除いて、相手への優しい気持ちをもつことしかない。
結果的に、自分のこことが温かくなるからである。
反対に、「我」が出ると、別れても相手に何か言いたくて仕方がない衝動に駆られるけど、良い行動ではない。
次の出会いに悪い余波をおよばしかねないからである。
とも述べています。
別れ際に相手を尊重して、感謝の念を持つという業を容易く実践できる人は多くないでしょう。
拒絶されたショックから、相手にうらみ、つらみ、これまで溜まっていた不満を吐露したり、別れを受け止められなくて、すがってしまう人間の方が大多数だと思うからです。
そこをグっと堪えて、相手に「ありがとう」の気持ちを伝えられた時、相手の心にはインパクトが残ります。
「申し訳ない」という気持ちから、「付き合ってよかったな」へのシフトとなる可能性もあるからです。
そして、その先には、温かい出会いが待っているものです。
既に別れてしまった後で、後の祭りだからどうすることもできないと嘆いている方や、それでも過去の恋人や大好きだった相手とやり直したいと切望されている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな最中だとしても、「自分はあの時とは違う。成長したのだ」と自信を持てるくらいになってから久しぶりに連絡を取ってみることや、過去に断捨離をして新しい出会いを模索することで、運命が好転して行きます。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません