第216回「片思い失恋から忘れられないのはツァイガルニク効果の影響!?」

2015年12月1日失恋した心に贈る


一度本気になった片思い失恋というものは、短期と長期かかわりなくて、引きずり続けてしまうものです。

その影響は、時として、失恋後に出逢った新しいパートナーとの交際が始まった後にまで余波が及ぶこともあります。

いつものように私の実体験を例に上げれば、片思い失恋後に出逢った女性と交際した後も、どうしても前の女性が忘れられずに、しんどくなって別れを告げたことがありました。

告白を3回試みて敗れた女性の直後に知り合った方なのですが、一緒にいても前の女性と比較してしまって、自分の中で好きだという確信を持てなかったのです。

目の前には自分のことを好きになってくれる有難い女性がいるのに、どうして過去の女性のことが忘れられないのか、それどころか離れれば離れるほど気になってしまうのか、自分でも何かが何だか分からずにいました。

実はこのような心理状態の場合は、「ツァイガルニク効果」であったのだと振り返りました。

聴きなれない言葉でしょうが、心理学者ブルーマ・ツァイガルニク氏によって提唱された心理学効果、心理学用語のこことです。

ツァイガルニク効果とは、人間は達成できなかった物事や中断している物事に対し、より強い記憶や印象を持つという心理学的な現象のことです。


つまり、上手くいったことよりも、上手いかなかったことの方がよく覚えているということです。

「彼女が出来た」という成功体験よりも、決して実らなかった過去の失恋体験の方が美しく見れるのは、まさにこのような心理現象であると言えます。

人は、完全に手の内が分かったり、自分のことを明らかに好いてくれている人よりも、好きなのかどうかイマイチつかみどころがない謎の部分を持っている相手に興味を惹かれるという話を以前もしましたが、まさにこの現象もツァイガルニク効果です。

マーケティングの観点から言うと、「未完の部分を消費者に提供することで、関心を増幅させて、継続的に利益を発生できる」というものです。

よくある話だと、TV番組を見ていて、良いところで、「続きはCMの後」とか、「続きはまた来週」という場面に遭遇したことはないでしょうか。

ドラマ内でも、謎の部分や伏線を残すことで、次話へと誘発させているのです。

まさに、その時点で完結させずに、関心を次につなげている手法の典型です。

ツァイガルニク効果はこのように、使い方によっては相手の関心を引き寄せることが出来るメリットがありますが、いざ自分がかかってしまうと、誤った選択を取ってしまうリスクもはらんでいるのです。

いつまでも過ぎ去った出来事から抜けきれずに、拘泥してしまう負のスパイラルにはまってしまうと、どんどん自信を失ってしまい、目の前に訪れているチャンスをみすみす逃してしまう罠に引っかかってしまうのです。

相手との未完の関係がしこりとなって残っていると(未練が強いと)、

もしあの人と付き合っていたらあんなことやこんなことが出来た。

あの人と付き合っていた方が絶対幸せになっていたはずだ。

という、幻想の世界で誤った判断を下してしまい、大切な今と未来に目を向けられなくなってしまう危険性があるのです。

もちろん、再告白をモチベーションにして、明日への希望に転換出来るならば良いのです。

けれども、叶わなかった過去の失恋によって、自分を責めたり、新しい行動に億劫になってしまい、自分の可能性を閉ざしてしまうことの方が往々にして多いものです。

過去を穿り出して、失敗体験の連続が枷になってしまっているのは、まさにツァイガルニク効果の餌食になってしまっているからかもしれません。

心の原理を把握して、決して自分に根本的な要因があったわけではないし、過去の失恋はもう終わったことだという新しい視点を持てた時こそがターニングポイントです。

さて、前半の部分で、私は当時過去の片思い失恋にこだわっていて、自分を好きになってくれた女性にみすみす別れを告げてしまったところまでお話しましたね。

それから一ヶ月後ですが、その彼女と復縁を果たすことが出来ました。

彼女がそっと自分を待っていてくれたのです。

独りになってみて、過去に受け入れてもらえなかった女性よりも、こんな身勝手な自分を受け入れてくれる彼女との未来を選んだのです。

二年以上の交際が続いて、紆余曲折合ってお互い別々の道を進むことになりましたが、8年経った今でも、あの時代を思い出すことがあります。

「彼女と結婚していたら今頃どうなっていたんだろう」と思いを馳せてしまうのは、まさに賞味期限がないツァイガルニク効果にかかっている後遺症なのかしれません(笑)

私の場合は、もう完全に終わったものだという自覚があるからこそ、そういう妄想を楽しめているところもあります。

甘美な過去、完成されたなかった関係は、完全に忘れることは出来ないものです。

過去の恋愛に区切りをつけられない状態ですと、いつまでも引きずってしまいがちですが、一度冷静な眼を持って、今の感情を見つめ直してみることで、過去との決別は可能です。

2015年12月1日

Posted by TAKA