第315回「LINEのやりとりの中でストレスを覚えるあの機能について」
前回のコラムでは、SNSが辛くなったら離れてみることを推奨しました。
TwitterやFacebookの世界から距離を置いたところで、実生活に支障はないからという理由を付け加えましたが、私たちにとっては、一つだけ除外視できないSNSが存在しますね。
それは、他でもないLINEです。
言うまでもなく、スマホ(多くのガラケー)ユーザーにとっては必須でもあるコミュニケーションツールですよね。
今年の7月に発表されたADDIX(本社・東京)の調査データを例にとっても、LINEの利用率は、20代では94%、30代で73.9%、40代で50.6%であり、10月に発表された株式会社ジャストシステムの調査結果では、50代の利用率が67.9%という結果が出ています。
参照
・20代の94%が「LINE」を利用、30代ではFacebook、40代はTwitterがトップに
・SNSの利用率、「LINE」が伸びる–ジャストシステム調査
今日では合コンや街コンといった出逢いの場から、職場の人間同士の連絡ツールまで、LINEのやりとりが当たり前な社会になっていますね。
そこで嫌だから逃げようとすると、それはそれでストレスが増加することになるかもしれません。
私が今回注目したのは、LINEの登場による新しいストレッサー(ストレスの原因)の登場という点です。
それは、スタンプ機能による人間関係のこじれについてです。
これから先はLINEを利用したことがない方にとっては、イメージしにくいような話かもしれませんが、スタンプとは、メール時代に用意されていた絵文字機能がよりリアルで高性能になったものと置き換えていただくと、いくらか想像しやすいかもしれません。
LINEのスタンプ機能は日に日に進化していますよね。
つい一年くらい前は、動くスタンプが登場しただけでも画期的だと思っていましたが、最近では音声付きスタンプが登場するなど、よりキャラクターの特徴を忠実に再現できるようになりました。
今ではスタンプの種類は膨大な量で、中には「毒舌キャラ」や「ツンデレ」と言う類いの物で、最初から相手をイラッとさせる効果を期待しているようなスタンプも数多く存在しています。
使い道によっては、やりとりが盛り上がったり、文字では言いにくいものの、スタンプを媒介して気持ちを伝えられる便利さがありますよね。
相手がスタンプキャラを熟知していたり、ジョークが通用するような人柄であったり、そんなタイミングであれば、文字以上の効果を発揮することもあるでしょう。
私の場合、くたびれている時に、相手から萌え系のアニメキャラクターの「お疲れ~」というスタンプが送られてくると、まるで本当にそのキャラクターが自分に対して発信してくれたような錯覚を覚えてほっこりすることもあります。
一方で、LINEで自分から相手を誘った時に、理由を述べずに「無理」とか「断る」とか「NO」とかの否定系のスタンプが返ってくると、一瞬ドキッとした経験もあります。
いや、グサッと表現した方が適切かも知れません。
「そこは言葉で説明してよ!」という時に最初にスタンプを打たれると、「なんでだよ」というショックが大きかったりします。
その後すぐに理由を説明してもらえるので、引きずることはありませんが、そのくらい初動の衝撃が大きいことがありました。
先日、電車内で10代の高校生だと思われる二人の女子がLINEについてトークを交わしているのが耳に入りました。
全部は聴き取れませんでしたが、印象的だったのは、LINEのスタンプでイラッとしたことがあるという話題でした。
どうやら、そこには居合わせていなかった第三者とLINEを交わしていたところ、相手が不快にさせるようなスタンプを送ってよこしたことが要因のようです。
どんなやりとりだったのかは分かりませんが、彼女は「文字で言えばいいのに、いきなりスタンプを貼ってよこしたからイラついた」と眉間にしわを寄せながらこぼしていました。
その話を隣で聴いていたもう一人の女子も、「あるある」「わかる」と言ったリアクションを取っていました。
30代の私が感じていたスタンプの違和感だけではなかったことがうかがえた瞬間でした。
私自身も友人とLINEのやりとりをしていて、送られてきたスタンプにイラッとしたことは一度や二度ではありません。
確か私が何かの意見を言った時に、ツッコミとしてスタンプで「そんなわけないだろ!」みたいなセリフが送られてきたのですが、その絶妙なタイミングとキャラの表情が神経を逆なでさせたのです。
後になって友人に、「あの時、あのスタンプでイラついたから、止めるように」と指摘をしたところ、当の本人はすっかり忘れていたようで、「えっ?何か傷つけるようなことした?」と、驚かれたものです。
本人は悪意を持って使っているわけではなくて、単に流れの中で一番シチュエーションに合ったようなスタンプを放っただけだったのでした。
このように、スタンプの登場により、感情表現のバリュエーションが増えた反面、時と場合によっては、受け手に冷たい印象や不快感を与えてしまうので、注意しなければなりません。
恋愛面になると、スタンプ一つの意味を深読みしすぎて悩みすぎてしまうようなことも少なくはありません。
あのキャラクターとあのセリフは一体何を言いたかったのか。
スタンプだけ送ってくるのは、自分に興味があるのか、ないのか。
次から次へと憶測が頭を駆け巡るのです。
しかし、実際にはそこまで深い意味を考えてスタンプを使っている人間は少ないものです。
大抵は、やりとりを一区切りにしたい時にスタンプを使ったり、文字で返すほどの内容ではないと判断した時に、手軽なスタンプに頼っていたからという感じです。
スタンプを使う側は完結のために使っているのに、受け取る側は思いのほかいつまでも真剣に意味を考え続けているというのは滑稽な話かもしれませんが、事実よくあるあるなのです。
このように、もしも、みなさんが誰かとLINEをやりとりを交わしている中で、スタンプで嫌な気分になったり、意思疎通が上手く行っていないように感じたら、目には目をで不愉快スタンプで応戦するのではなくて、直接相手に自分の気持ちを伝えることをオススメします。
前述したように、スタンプを使う側の思惑と受け手の解釈は一致しないことが往々にして生じています。
いくらLINEが便利でスタンプが視覚的に使えるからと言っても、自分の気持ちはしっかりと伝わらないものだし、誤解を与えてしまうことが少なくはないのです。
本当は嫌な気持ちなのに、関係がこじれることを恐れて我慢していると、どんどんストレスは溜まって、二人の溝は深まっていきます。
相手にも自分が不快に感じている重大性が全く伝わりませんし、不信感や怒りの感情が募っていって、後々修復が難しくなるような展開にもつながってくる危険性があるのです。
スタンプや文字のやりとりで、あの人との関係が崩れてしまわないためにも傷が浅いうちに言うことはしっかりと伝えましょう。
これからも続々と新しいスタンプが登場して、使用率も増えて行くことでしょう。
LINEが辛くなったから完全に止めるということはまず難しいでしょうが、LINEのやりとりで相手との関係に亀裂が走りそうなくらい嫌な目に遭ったり、不快に感じていたら、黙って一歩引くのではなくて、まずは自分の気持ちをはっきりと表現して改善を図ることをオススメします。
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