第39回「大学入学後、変わり果てて行く友人を追って」その1
4編にわたり、私の親友N君の5年に及ぶ大学生活を凝縮し描いた「大学に居場所をなくしたある青年の話」は、これから大学を目指す高校生、そして今現在N君とは環境こそ違えど同じように大学で孤独を痛感している現役大学生に向けて、
「後悔のない選択を」
「人生やり直せる」
「自分は独りじゃない」
という私なりの3つのメッセージを込めて発信しました。
そして今回は、N君とは世界観は違えど大学に入学後頓挫してしまうY君の実体験です。
今回登場するY君も、前回の主人公N君と同じように高校時代の友人でした。
Y君とは7年以上も会うことも連絡を交わすこともできない現状です。
これまでに私は一カ月に一回は必ず彼に電話をかけてきたのですが、たった一度さえも電話に出てくれることはありませんでした。
着信拒否にされていた時期もありますが、現在は解禁されています。
電話こそ繋がるものの、数秒で留守電が応答するという完全拒絶の態勢です。
彼が大学を卒業してから自宅に4回ほど訪問しましたが、23歳の時に奇跡的に一度会えたきりです。
彼の地元で、Y君、N君と、私の3人で再会を誓って別れたのが最後。
あの日を境に、彼とは一切連絡が取れなくなりました(詳しいエピソードは後述します)。
一体彼の身に何が起こってこのような状態になってしまったのか。
彼は現在社会人として働いているのか。
それとも家に引き籠ったまま今も自分の殻に閉じこもっているのか。
全ては憶測でしか彼の生き様を想像することでしか私には出来ませんが、彼と連絡が途絶える前にさかのぼると、彼の”今”に結びつくようなヒントが見えてくるような気がします。
自分の殻に閉じこもってしまうY君の軌跡を、彼の全盛期にさかのぼって語っていきます。
話は高校時代に戻ります。
私から見た当時のY君の人柄と輝きぶりをまとめて行きます。
まずは、学力面からです。
-日本史の面白さに目覚め、クラス19位から1位への躍進-
高校3年時の彼は優秀で、中間、期末テストにおける成績は総合的にもクラスで常に1位を維持していました。
まずは、学力面からです。
-日本史の面白さに目覚め、クラス19位から1位への躍進-
高校3年時の彼は優秀で、中間、期末テストにおける成績は総合的にもクラスで常に1位を維持していました。
1年生の2学期までの成績は正反対で、クラスで真中くらいのいたって平均的な学力でした。
理数科目が大の苦手だったのです。
2年生になって文系理系コースが分かれ、文系クラスに進んだ彼は頭角を現して、2年時は常にトップ3に入っていました。
「どうして1年生の前半は勉強に興味がなくて後半からは劇的に努力するようになったか」
という私の問いに対して、彼は丁寧に解説してくれました。
「どうして1年生の前半は勉強に興味がなくて後半からは劇的に努力するようになったか」
という私の問いに対して、彼は丁寧に解説してくれました。
「もともと数学が苦手だったのがあって、他の勉強もやる気が起きなかった。けれど、1年の冬に、たまたまオヤジと二人で行った歴史博物館で、中世の刀とか鎧とか実物を目の当たりにして感動してさ、それをきっかけに今まで無関心だった日本史に興味を持ったんだ。日本史が面白くなったから、今まで目を向けなかった他の教科も1学期の3倍くらいやってみたら結果として成績が上がってた」
教科書では味わえない感動体験が、彼の中に眠っていた知的好奇心を呼び起したみたいです。
好きこそものの上手なれ、そこから世界が開けるのでした。
日本史の成績においては、毎回1位をキープしていました。
そんな彼は当時、将来的には日本史の先生か博物館の学芸員になりたいと意気揚々と語っていた高3の冬を今でも覚えています。
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