第101回「別れの危機に直面した時に-復縁成功談から-」
男女の交際は、互いの合意の上で開始するのに、別れという形は片方が一方的に突き付けてくれば、自分の気持ちはお構いなしに受け入れざるを得ない状態になってしまうのです。
独りになった後は決まって付き合えた時の喜びと、別れの虚しさについてしばしば考えていました。
これまでお付き合いをしていた女性と別れ危機に直面してきた経験が複数ありました。
十中八九そのまま「さよなら」につながってしまった結末が待っているわけですが、一度だけ、別れを切り出した相手側の方から、「やり直して欲しい」という申し出を受けたことがありました。
悩み相談の中で、「振られたけれども忘れられない、諦められない、どうすれば」という悶々とした思いを抱えている方が頻繁に相談されるため、今回は私の復縁実体験が一つの参考事例になればと思い書きました。
20代の大学生の彼女との別れの直前・直後の出来事です。
別れの気配っていうのは、大概は直感で分かるもので、大抵その通りになるものです。
勘が鋭く働くようになったのは、別れの2週間くらい前のことでした。
相手からの連絡が極端に少なくなって、電話をかけても出ない、こちら側が誘いをかけても返事がこない、やっと返ってきたと思ったら、「ゴメン、忙しい」などといったお決まりの言葉が待っていました。
付き合った当初とは明らかな態度の変化ぶりから、自分だけ独りよがりで連絡をしていても惨めに思えたため、
「最近気持ちが変わってしまったのかな。無理して付き合わなくても良いよ」
というようなメールを送ったところ、彼女からはその言葉を待っていたかのように、堰を切ってこう返ってきました。
「本当にごめん。これから社会人になってますます忙しくなるし、恋愛を優先して付き合っていける自信がないんだ。自分勝手でごめんね。でも、ずっと考えた答えなんだ」
彼女の態度の変わり様から、こうなる結末を予想していたので、至って冷静に受け止めた私は、
「分かった。今までありがとう。本当に幸せだった」
といった出だしの文章で、彼女との思い出を綴ったり、彼女の良いところ、今後の彼女の成長を応援しているところ、これから社会に出るにあたって、直した方が良いと思っていた相手の短所を指摘して、鼓舞するようなボリュームいっぱいのメールを送りました。
最後の場面がメールで終わってしまうのが儚くて虚しい気持ちになりましたし、かなりの長文を送ったので、重く受け入れられて、嫌われてしまうかもしれないリスクがありましたが、本当にラストになると覚悟していたので、感謝の気持ちだけを伝えて一切連絡を絶つつもりでした。
彼女からは、返信が返ってこなかったのですが、3日後の夜に彼女から電話がかかってきました。
普段自分から電話をかけてこない彼女からの着信なので、ただごとではないかなという予感はしました。
一呼吸おいてから出ると、単刀直入にこう言われました。
「また私とやり直して欲しい、離れてみて気付いたんだ。」
彼女は一度決めたことは曲げない性格だったので、その心の変わり様に一瞬驚きましたが、実は私の中では「まだ終わるわけはない」という予感があったため、自然に受け止められました。
心理学用語で「リアクタンス」という言葉があります。
外部からの働きかけに対して、反発や抵抗をするというような意味合いらしいのですが、彼女が別れを切り出した時に、私が否定せずに、受け入れて身を引いたことで、彼女の中に、「寂しい」「まさか完全にいなくなるとは思わなかった」という喪失感のような感情が芽生えたそうです。
別れ際の振る舞いから、復縁を望むように切り替わったと言っていました。
この体験から、ラストの場面は最も相手の印象に残りますから、相手に縋ったり、引き留めたりしない方が復縁のような新しい関係を再構築する上で効果的であると学びました。
もっとも、相手が自分の気持ちを確かめるために、わざと別れを切り出してきた時は、説得したり、本気で引き留めるほうが、相手も安心して仲が深まることもあるかもしれません。
ケースバイケースですが、もしも不本意ながらも最後の修羅場に対峙することになったら、別れの要因や相手の性格を考慮した上で、後悔のないように自分のやり方で締めくくるのが大切です。
その時は終わりを迎えたとしても、後になって相手の気持ちに変化が生じて復活する場合もあるのです。
残念ながら、私のこのケースは、復縁後に「雨降って地固まる」にならず、再び別れを迎えることになりましたが、復縁後の関係を構築する上で大切なことを、次回のコラムで紹介いたします。
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