第148回「尽くしすぎると上手くいかなくなる」
私は好きになった相手や気を許した人間には、おのずと貢献的に振る舞う傾向があります。
苦しんでいる時、悩んでいる時には、傍に寄り添っていたい。
孤独に震えている時は、話を聴いてあげたい。
学生時代からずっとこのスタンスで対人関係を構築してきました。
こういうスタンスを続けてきた私だからこそ振り返って言えるのですが、
尽くし型の人間は、他人と関係性を築く上で、上手くいかずに苦しむことが多い。
ということです。
おそらく今コラムをご覧の方の中にも、
「自分も尽くしたがるタイプかもしれない」
と自覚している方がいらっしゃると思われます。
特に20代前半までがそうでしたが、
相手の役に立ちたい。
相手に必要とされたい。
そういう思いを持って、大切な人間と接していると、次のような結果が待っていました。
1.相手が離れていく。
2.自分から離れていく。
1については、特に恋愛のパターンがそうだったのですが、いわゆる「いい人」止まりで終わってしまい、男性として見てもらえずに、メールが返ってこなくて自然消滅するようなケースです。
場合によっては、相手が必要とする時だけ自分のもとに寄ってくるような、切なすぎるお決まりのパターンもありました。
2については、相手が心を開いてくれない、もしくは相手の求める水準が高くなってきて、だんだん尽くし続けるのが息苦しくなってきて、自分から去っていくパターンです。
脈なしだと悟って身を引くケースや、交際中の彼女が「もっと自分に尽くしてほしい」という欲求が強くなってきて、一緒にいるのが楽よりも苦の比重が高くなって、破局を迎える流れです。
恋愛にせよ、友人関係にせよ、一方通行止まりでは良好な関係は築けずに、対等であって、お互いを尊重できる間柄でないと長続きできないことを身を持って知りました。
恋愛に苦しんでいる相談者様の話をうかがっていると、かつての私のように、相手のペースに合わせすぎたり、相手の欲求を叶えようと背伸びしすぎることで、関係がギクシャクして悩んでいる方が少なくはありません。
相手に尽くすことが自分の幸せだと思えることは大変素晴らしいです。
一方で、自分を抑えて相手に合わせたり、相手が望んでいないのに、必要とされるために近づきすぎると、無理が生じて破綻してしまう恐れがあります。
相手に都合よく利用されてしまう危険性も含んでいるわけです。
だったら自分はどうすればこれから苦しまなくなるの!?それが分からないから悩んでいるのに!!
こう思われた方もいらっしゃるでしょう。
私は自分がそうであるからこそ、尽くすことを無理にやめる必要はないと思っています。
相手の幸せを誰よりも強く願って、力になってあげたいという奉仕と慈愛の精神は素晴らしいのです。
混沌としたこのご時世だからこそ、あなたのような優しさが大切になってくるのです。
ただ、そのスタンスがしんどくなった時、そこには必ず自分に無理をしている何かがあるはずです。
自己犠牲というはスタンスは、お互いを傷つけあってしまう諸刃の危険性が含まれています。
自分を大切にできない人間は、相手を尊重することはできないでしょう。
もしかしたら、相手に嫌われたり、避けられたくないために、無理して尽くしているだなんてことはないでしょうか。
あるいは自己満足や、相手を操作したい、孤独から解放されるための尽し行為からは、期待にそぐわぬ結果が伴います。
時には、相手の望む関係や、今後の展望を見据えた上で、あえて尽くさないことからも新しい関係が始まるかもしれません。
尽くし続ける一方通行よりも、お互いの意思をしっかりと伝え合える関係から良き未来が待っています。
また、尽くすのではなくて、笑顔作り、幸せ作りなんて言う風に意識的に接してみると、関係にも変化が生じるかもしれません。
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