第159回「思い込みから動機付けへ」

2015年12月1日上手くいかない人生


自分はこういう人間だから、こういう結果になるのに、違いない。
 

何らかのアクションを試みようとする前に自制心が作動して、ブレーキをかけてしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

 
今の自分のレベルでは上手くいくはずがない。

過去の失敗経験が蘇り、今回も同じ目に遭うに違いない。

これまで成功体験が一度もなかったから、また失敗に終わるだろう。

そして自己保身に留まり、何も起きないまま日常が過ぎてしまう。

索漠とした人生に、「このままで良いのだろうか」という自問自答を繰り返すだけの変化のない日々。


でも、もし行動を起こしてみたら、本当に自分の想像通りの結果になるのだろうか。

もしかしたら、自分は想像の世界で勝手に物事を悪く膨らませているだけで、現実とはずいぶんかけ離れているのではないだろうか。

その好奇心から、すべては変わり始めます。

私はこれまでのコラムの中で幾度なくこの点について述べてきました。

そして、今回お話するのは、動機付けの大切さです。

動機付けというのは、みなさんご存じの「モチベーション」というあのワードに変換されることが多いです。

私は、動機付けこそが、自分が望む人生を実現させるためにも肝心要になってくると思うのです。

 
私が第88回コラム「恋人の携帯電話の中身をチェックしてしまった先には」を執筆した背景のお話をしたいと思います。

実はこのタイトルは、当時マイナビでコラムを連載していた際に、担当者の方からこのテーマで作成して欲しいという要望を受けて決めました。

自分の体験をもとに着手してきた従来のコラムとは異なり、今回は他者の体験をいくつか集めた上でなければ、構成できませんでした。

考えた末に、ちょうど学園祭シーズンだったこともあって、毎年20万人以上の来場数を集める慶應義塾大学三田キャンパスに足を運びました。

ここなら路上調査よりも自然に声をかけられて、答えてくれる方もいると見込んだからです。

学内には、10代後半から20代前半くらいの若者が多数来ていて、コラム題材にするための調査をするためにはもってこいの環境でした。

学園祭では、初めての者同士がノリで会話して、意気投合している姿も見られました。

それだけ恵まれていた条件でしたが、いざ自分が話しかけるとなると、相当勇気が要りました。

感覚で言うと、ナンパや街頭インタビューに近いものでした。

初対面の人間に、「携帯電話に関するアンケートに答えて欲しい」と声をかけるわけですが、私は単独一人で行動していたので、傍からみれば警戒心を持たれても何らおかしくはありません。

それでも、自分が動かなければコラムの執筆ができない事情があったので、「自分はマイナビ社から依頼されてここにやってきたんだ、話しかけることは恥ずかしことではない」と、何度も自己暗示をかけました。

そして、その時は訪れます。

思い切って20代前半だと思われる女性二人組に声をかけてみました。

こっちからすれば、やっとの思いで話しかけたわけですが、あからさまに「話しかけるなオーラ」を出された上に、それでも話続ける私にトドメの一発をぶつけられました。

「今忙しいので、答えられません(怒)」

  
初めての試みは、失敗に終わったわけです。

ナンパが不発に終わった後の心境は、このようなものなのだろうかと思いました。
 
しどろもどろになっていた自分は、恥ずかしい気持ちと情けない気持ちで目の前が真っ青になりそうになりましたが、ここで切り上げるわけにはいきません。

先ほどは勢いで話かけたわけですが、今度は話しかけても答えてくれそうな人間に焦点を当てながら、周りを見渡しました。

すると、学祭の案内役をしている何かのサークルユニフォームを着ている2人組が立っているのに気づき、今度こそはという思いで再び声をかけました。

先ほどの女性達とはうって変って好感触でした。

コラム作成のための質問にも一問一答丁寧に答えてくれました。

 
この小さな成功体験をきかっけに、俄然モチベーションが高まりました。

学園祭という限定的なシチュエーションで、完全に否定される経験と好意的に受け入れてくれた両極端な経験を短時間で味わったことで、これまでにはない視野が広がりました。

たった数人の人間が拒んだとしても、それが全てではない。

自分の話に耳を傾けてくれる人間はいる。

それが体験で分かったことが報酬でした。

 
今では、プライベードで経験した失敗体験をブログやコラムの題材に使えるという考えに転換しているため、チャレンジが楽しみになっています。

今日も過去と想像の世界から脱却できて、新しい一歩を踏み出された方々の声がメールで届いています。


たとえ一つが上手くいかなかったとしても、自分には他の持ち味がある。

これまで自分の個性を他者に認められたり、結果を出せた何かが必ず一つや二つあるはずです。

忌まわしい過去は、もう過ぎ去った過去です。

もう今更だなんてことはないんです。

もう一度、みなさんの「なりたい自分」を実現させるために行動を起こしてみませんか。

自分だけの動機付けをセッティングすれば、きっと大丈夫です。

2015年12月1日

Posted by TAKA