第321回「クリスマスの夜に孤独を噛みしめた女性が幸せをつかむまで」

実体験・人間考察コラムクリスマス,2015

 

また、今年のクリスマスはシングルベルでしたよ~(涙)。

クリスマスイブは大学の同級生達3人と過ごしてました。

明石家サンタにチャンネルを回して、不幸の電話をかけ続けていたら、あっという間に朝になっていました。

25日のクリスマスは一人寂しく自宅で飲んだくれてました。

独り身は寂しすぎですよ~~~(><)。


年の瀬に、感情を剥き出しにしてそう語ったのは、当時会社の同僚だった20代後半の千代ちゃん(仮名)です。

3ヶ月前に彼氏と喧嘩別れしてから、全く恋愛に縁のない日々を過ごしていたようです。

彼女とは会社の帰り道が同じだったのもあって、プライベートトークを話題にすることもしばしばあるのですが、話しているといつの間にか恋愛トークが中心になるのが特徴でもありました。

大抵は彼女からの

ねぇ~聴いてくださいよ~どう思いますか?

という感じで、顛末を聴かされる側に回るのです。


千代ちゃんの恋愛に共通しているのは、

自分は不幸な恋愛を繰り返している」ということでした。

どういうことかと言うと、元彼の浮気はもちろんのこと、肉体関係を結んだ後、数週間後に音信不通になってしまったという辛い過去を重ねてきたと語るのです。

内容は決して笑える話ではありませんが、それも悲愴感に満ちた話し方ではなくて、まるで芸人のコントのようにノリノリで話すので、前々不幸のようには感じられないのです。


彼女はこう語るように、自分でも要因に気がついていました。


好きになる男性のタイプがいつも共通しているんですよね~。

いわゆる俺様男子なんです。

自分に自信があって、俺についてこい!ってタイプです。

私をぐんぐん引っ張ってくれる男性に惹かれてしまうんです。

でも、結局捨てられちゃんですよね。


彼女は誰とでもすぐに打ち解けられる気さくさに加えて、若手女優の武田玲奈さんのようなかわいさを兼ね備えているので、言い寄ってくる男性もかなりいたようです。

ですが、告白してくれた男性と付き合った経験は過去に一度だけ、それも1週間で別れてしまったと言うのです。


いや~私には申し分ないくらい良い方だったんですよ~。

でも、私って、尽くしてくれる男性は好きになれないみたいなんです。

私にはもったいないと言うか。

その時になって初めて表情から笑顔が消えました。

自らの過去の様々な恋愛を振り返りながら、私の知らないもう一つの自分を思い出していたのでしょう。

やや気まずい雰囲気が漂いましたが、彼女は最後にこう残して、帰宅の途につく電車に乗車しました。

人を好きになるってどんな感じなんでしょうかね?

忘れちゃいました。


彼女のはにかんだ笑顔が私の脳裏に濃く刻まれました。


彼女がこれまでどんな人生を送ってきたのか、想像の域に過ぎません。

私は彼女が話してくれた一部の恋愛トーク以外に過去にまつわる話を耳にしたことはなかったからです。

そんな彼女がその後どのような恋路を辿ることになったのかをお話して、今回のコラムを終わりたいと思います。

千代ちゃんは2年前に結婚して、今では一児の母です。

30歳を前にして、彼女が悩み続けていた不幸の恋愛の連鎖から抜け出せたのです。

お相手の男性は、3歳年下の元同僚です。

彼は後輩として会社に入社してきたようで、彼女は全く恋愛対象として見ていなかったようですが、あることをきっかけに意識するようになったそうです。

それは、ふとした会話でした。

笑顔がトレードマークの彼女でしたが、仕事でミスを犯したことから自分を責めて一人休憩室で落ち込んでいたようです。

ちょうどその日は他の職員の姿がなかったようです。

誰の目にも留まらない唯一素の自分でいられる空間で、つかのまの休息に浸っていました。


そこに登場したのは、後に旦那となる彼です。

すかさずこう言葉を掛けたようです。

今日の千代さん、元気なさそうですよ。

自分で良かったら話を聴きますよ?

彼女は、社内では弱みを見せないように振る舞っていましたが、図星だったわけです。

そして、後輩からのまさかの発言に驚きを隠せなかったようです。

ですが、そこで本音を漏らすのにためらいがあった彼女は、作り笑顔でこう述べたそうです。


いや、何でもないよ~、心配掛けてごめんね~。

自分のことで彼を巻き込んではいけない。

迷惑をかけられないという思いからとっさに出た言葉でした。

そうやって彼女はいつも気丈に振る舞って、自分を守り続けて来たのでしょう。


しかし、彼はこのままでは退きませんでした。

初めて見せるような真剣な眼差しでこう返したそうです。

自分の前では強がらないでくださいよ。

力になりたいんです。


この言葉に彼女の心は動いたようです。

そして、この出来事を境に二人の運命が転換したのです。

それからとんとん拍子に関係が深まっていったのでした。

今までの交際経験が嘘のように進んだのです。


元々彼は彼女のことを好意を持っていたようで、彼女の態度の変化は機敏に感じ取っていたようです。

彼はいつも懇切丁寧に指導してくれる彼女に対して、恩を返したいという思いが常にあったそうです。

そのため、彼は彼女の力になりたいという一心で声を掛けたのでした。

人によっては下心からの行動を思われる方もいるかもしれませんが、彼にとっては真心、つまり愛からの行為だったのでしょう。

彼女は彼と付き合い始めたことで、初めての感情を覚えたようです。

それは、彼女が経験をしたことがなかった安らぎという感覚です。

それまでの男性達とは違って、恋い焦がれるような思いはなかったようですが、彼女が他の何よりも楽でいられる関係でした。

彼に出逢っていなかったら、このままずっと幸せな恋愛に縁がなかったのかもしれません。


そう語る彼女は心から幸せそうな笑顔でした。

幸せはそう遠くない身近な世界にあるんですよ。


不幸体質から卒業した彼女からは、そう感じられずにはいられませんでした。

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Posted by TAKA