第104回「恋人ができればコンプレックスが解消されるのか」その1

上手くいかない片思い


恋人いない歴=年齢であったり、周りの友達やクラスメイトには付き合っている人がたくさんいると、

「自分だけ一人ぼっちでなんて不幸な人生を送っているのだろうか」

と、深刻に悩んでしまう瞬間が訪れるものです。


特にクリスマスなどのカップルイベントが近付いてくると、虚しさや孤独感が募るものです。


「自分なんかに恋人ができるはずがない」「恋愛なんてこりごりだ!」


恋愛に絶望したとしても、周囲にいる幸せそうなカップルを目にしたり、恋愛系のテレビ番組を観ると、やっぱり羨望の気持ちが強くなるものです。


恋人さえできれば人生が変わるのに・・・。

恋人さえいれば、彼氏・彼女がいるあいつとも堂々と接することができるに・・・。

初体験さえ済ませば自分に自信が持てるのに・・・。


今が上手くいっていない方にとっては、恋人ができることで、今の人生が逆転して、バラ色で活き活きとした生活が確保されるビジョンが浮かぶでしょう。

ベストパートナーと巡り合って、愛を育むことが出来れば、幸せになれる場合もあり得ます。

しかし、恋人さえできれば孤独感から解放されたり、人生が劇的に変わるものなのかどうかを、一人の青年の実体験から考えるきっかけになればと思います。


これから話す内容は、私の高校時代の友人S君の実体験です。

彼女いない歴=年齢をなくすために、がむしゃらに出逢いを求め続けた顛末をお話します。


S君は当時18歳の高校3年生の彼女いない歴=年齢の男の子。

高校最後の夏休みの直前まで、彼女がいないことと、初体験が遅れていることに焦りを感じていました。

受験勉強にもっとも力を入れなければならない夏期でもあったのですが、S君にとっては、恋愛への憧憬と際限ない性欲から受験勉強に集中できていませんでした。

S君の周りには、男女含めて恋人がいる人間の割合の方が少なかったですし、クラスでな男女の仲がそこまで良くはありませんでした。

わずかながら恋人がいる者も、学外での出逢いから付き合っているようでした。

S君は誰にも打ち明けてはいませんでしたが、恋愛経験が皆無なことに絶えずコンプレックスを抱えていました。

そして、まだ性経験がないことにも焦りを覚え、貪欲な気持ちが常に胸を支配していたようです。


S君は、これまで片思いになって好きになった女子はいたものの、自信がないために、自分から告白できる勇気はないまま自己完結している片思いが続いていました。

クラスメイトで可愛くて気になる女子もいたのですが、

「もし俺があの子に話しかけたら、本人にも、それを見ている周りの同級生からも、俺があの子を好きなことがバレてしまうのではないか。伝わってしまったら、気まずくてやっていけない」

という先入観と畏怖の念から、気になる女子の後姿を遠目から眺める日々でした。


そんなS君も、高校2年時の修学旅行先で同じグループになれたのをきっかけに、人生初めての告白を計画した女子がいました。

ところが、その女子に彼氏がいることが判明したのです。

みるみる自信を失ってしまい、ドロップアウトしてしまうのでした。

S君は恋人が欲しくて仕方なかったのですが、自分の思うように行かない現実に苛立ちと焦りが募っていきました。

次第に出会い系サイトに傾注して行くようになります。

2000年頃は、出会い系サイトが流行り出す直前期だったので、今のように危険性がニュースで取りざたされてはいない時代でした。

S君のように、現実の世界で女子にアピールしづらい男性にとっては、携帯電話を使って、メールでやり取りできるコミュニケーションの形は抵抗がなかったようです。

複数の女子とやり取りをスタートすることができたS君ですが、なかなか会う展開までにこぎつけることは出来なかったようです。


S君が出会い系サイトを初めた高2の冬から、約6カ月後に一人の女子と逢えるまでに、合計50人くらいとメールのやり取りを交わしてきたそうです。

S君の根気強い努力もあって、高3の夏休み直前に、出会い系サイトで知り合った一つ年下の女子高生と、人生初めてのデートにこぎつけることが出来たのです。

続く

Posted by TAKA