第313回「あなたの一声を待っている人はすぐ近くにいる」
私が大学4年次に所属していた近現代文学ゼミでの経験です。
1977年に『僕って何』で芥川賞を受賞した作家三田誠広さんの作品を題材に発表することになりました。
通常の流れならば、関連資料を集めて、
自分なりの解釈と結論をまとめてレジュメを作成して、
担当教授とゼミ生の前で説明するというものなのですが、
調べてみるうちに一つの試みを思いつきました。
それは、
他でもない作者である三田さんに、作品の解釈やテーマについて直接インタビューをしてみるという行動でした。
そのようなやり方を実践したゼミ生はいなかったので、
好奇心に駆られてダメ元でアプローチしたのです。
私が三田さんにコンタクトを取った方法はシンプルです。
三田さんが運営するウェブサイトからメールを送ったのです。
そもそも返事が返ってくるのかドキドキしながら待っていましたが、
数日後に三田さんから丁寧な長文が返ってきました。
おかげで、私の考察では読み取れない深いテーマを知ることができました。
作者本人から作品の構成について説明していただけたというのは、大きな収穫でした。
この時に印象に強く残ったのは、私の解釈を伝えたときの三田さんのリアクションです。
そのような捉え方をされたのですね。嬉しいです。
文学作品の解釈というものは、絶対的な正解が存在せずに、
様々な捉え方があるというのが特徴でもあります。
だからこそ、十人十色の見解を集めることで、
広い角度から作品を咀嚼する楽しみがあるのです。
私がなぜこのエピソードを取り上げたのかというと、
物書きという立場や、芸術の世界で活躍をされている方は、
共通して、読み手に意図的なメッセージを込めているということ、
想像以上に読者からの反応を注目していることを伝えたかったからです。
私は資格試験対策ブログの中で、ニュースで取り上げられたり、
第一線で活躍されている方の著作の紹介を行っているのですが、
その記事をご覧になった本人からお礼の言葉をいただけたことが何回かありました。
また、三田さんと同じような形で私が4年前にある作者に感想を添えたメールを送ったことがありました。
本人からは喜びの言葉に加えて、
私のどの作品が一番気に入りましたか?
という逆質問が返ってきて、想定外の展開に驚いたことがありました。
ツイッターの例で言うと、ある著名人に関するツイートを発信してみたら、
希に本人からリツイートが返ってくるという現象も、まさに本人がリサーチしている証です。
私自身も10年以上文章を発信してきましたが、
読者の方のリアクションというものはとても大きなモチベーションにつながります。
コラム全部読みました。
あのコラムを読んで好きな人と上手くいきました。
TAKA氏さんの影響で、社会福祉士を目指すことにしました。
具体的かつ気持ちのこもったメッセージが届くと、
「生きててよかった」とか「そこまで読んでくださったのか」
と感動を覚えて、明日への糧にさせていただいています。
大げさではなくて、本当に読者の方に救われて今日の自分がいるのです。
単なる自己満足であれば、日記という形に留めていて、ブログ媒体を選択しません。
明確に伝えたいメッセージがあるので、ネットを舞台に発信し続けているのです。
これは作家だけではなくて、ブログやツイッターなどを通して、
自己表現を行っている方々には全て共通しているでしょう。
共感はもちろんのこと、違う解釈の仕方も含めて反応を楽しみにしているはずです。
もしも、もっと知りたい方やお近づきになりたい方がいたら、
その人に自分なりの感想や意見を添えて連絡を取ってみてください。
オフ会やセミナーなどリアルな場で接触を試みるのも効果的です。
あなたの温かい一言を待っている人、必要とする発信者がすぐ近くにいるはずです。
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