第301回「言葉の真意を汲み取ろうとすると不安が広がるからこそ」
※鳥取県境港水木しげるロードにて
日本人は本音と建前を使い分けていて、本当の気持ちを見分けることが難しいです。
数年前にアメリカ人の友人が私にこうささやきました。
日本に来て1年が経っていなかった時期に、日本人達との様々な交流の中からそう感じたそうです。
まさに彼からすれば異文化コミュニケーションだったのでしょう。
その言葉を聴いた私はふとこう思いました。
その感覚は外国人だけではなくて、日本人からしても同じように感じることが多いと。
私のもとには、
「相手の人が何を考えているのか知りたい」
とか、
「相手がこんなことを言っていたのだけれども、どう思いますか?」
と言った、心理的解釈を求める質問が頻繁に寄せられます。
その度に私は相談者の方が凝縮してくださったお相手の情報や発言を鑑みながら、
自分なりの仮説や経験に基づくアドバイスを送りますが、お相手の方の深層心理まで読み取ることは不可能です。
人の気持ちというものは、どれだけ心理学の研さんを積んでも断定は出来ません。
表面的な言葉から相手の真意をくみ取ろうとしても、言葉の裏の裏を推測しても、勘違いに終わってしまうことも生じます。
相手の本音というものは、その答えを求めようとすればするほど闇の中にさまよっていくような感覚に陥るものです。
例えば、好きになった女性もしくは男性と、初めてのデートが終わった晩に、LINEやメールの返事で、このような一文が送られてくるとします。
今日は楽しかったよ!また時間が作れたら遊びに行こうな!
今日はとても楽しかったです☆彡また機会があったら会おうね!
この文面を読んで、脈ありと感じるか、脈なしと感じるかは、お相手との関係やデートの実体験によることでしょう。
お相手が明らかに不機嫌そうにしていたならば、痛恨の一撃としてもう次はないと感じられるかもしれませんし、
相手が楽しそうにして次回のデートにも応じてくれるような雰囲気であったならば、イケると思う方もいるでしょう。
ここで気をつけなければならない点は、文面だけで相手の本音を判断しようとすることです。
二人で密接なデートを送った後なのに、あまりにも文面がそっけなさすぎるとか、
「また機会があったら・・・・・・」という決まり文句は、完全に脈なしパターンの典型的だという知識から答えを導こうとすると、関係に亀裂が走ってしまう危険性があるのです。
☆とか!などの記号一つ一つから意図を考察しようとしても、実際は全く深い意味がない場合がほとんどです。
でも、好きになると無意味なことだとしても、特別なように思えて考えすぎてしまうものなのですよね。
一般的には、上記のような短文の解釈としては、「恋愛対象としてあなたを見ていません」と、
意思表示をしていることが多いとは言われていますが、目の前のお相手がそうであるとは断言できないものです。
確かに日本人はストレートに言いたいことを伝えずに、遠回しな表現や悟らせるような文言で伝えてくる方が多いと言われますが、
だからと言って邪推したり、先入観で判断してしまったら、みすみすチャンスを踏みにじってしまうものです。
相手が素っ気ないからもう次はないと見切りをつけるのは自由です。
それでも、可能性の芽が残っているのならば、自分がどうしたいのか、これからどうなりたいのかという目線こそ大切にしていただきたいものです。
本音と建前が時と人間によって違うのはお互い様でもあります。
人を傷つけたり、不快な思いにさせないために、あえて遠回しな言い方をしてしまうのは誰だってあるからです。
結局のところ、人の気持ちは誰にも分りません。
当事者だって自分が本当に何を考えているのかを見失ってしまうこともあるくらいですから。
それくらい心というのは複雑だし、常に移り変わるものなのです。
だからこそ、一喜一憂して自己完結して落ち込むようなスパイラルから脱却して、
「自分がどうしたいのか」
というアイメッセージこそが確かな関係作りに必要不可欠になってくるのです。
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