第282回「他人に振り回されて上手くいかないのはメサイアコンプレックスが原因だった」
他人に振り回されてへとへとになったとき読む本―今までの関係をシャッフルするヒント
私がカウンセリング・相談活動を継続する上で何より工夫しているのは距離感です。
信頼関係を築くことを第一に取り組んでいますが、良好な関係を崩さないためにも、相談者様との距離というものは常に意識しています。
原則、自分からは連絡をしません。
必要な時に声をかけてもらって、自分のタイミングが合えば実施するというスタンスです。
双方の利益に合致した時のみ提供しているので、共依存の関係というものは存在しません。
そしてカウンセングという形で十人十色の様々な心の声を聴かせていただくわけですが、1時間の時もあれば、2時間という長時間にわたることもあります。
いずれにせよ、私は辞めたいと思ったことは今まで一度もありません。
そこにはこの距離感が大きく影響しています。
私のできる範囲で行えていて、この活動自体が苦ではないからです。
ところが、恋愛関係に目を向けると、これまで私自身、好きな相手に何度も尽くしても上手くいかないという経験を重ねてきました。
相手の喜ぶことを提供しているつもりが、どこか心の中で満たされない気持ちに縛られていたり、相手の身勝手さに怒りさえ覚えることもありました。
人を救い、人を助けることで自分の気持ちを納得させ、
「人を助ける自分」でしか自分の価値はないと感じて、自分を捨てて過剰に人の世話をして尽くすることを、
メサイアコンプレックスと言います。
愛されたいという願望を、尽くしすぎることで紛らわしているという心理です。
他人に振り回されてへとへとになったとき読む本―今までの関係をシャッフルするヒントのP81より
まさに当時の私の心境を見透かされたような指摘でした。
自分が救われたいために、相手に尽くし続けるとどうなるのか。
答えは簡単で、相手との関係が破たんします。
自分の心に無理が生じてパンクしますし、相手もその思いが重いと受け取られて、息苦しくなるからです。
私が行っているカウンセリングという行為も、一種の人助けではあります。
しかしながら心理的苦痛が生じないわけとして、
「私を愛して欲しい」「私が尽くしている」という私欲を一切感じていないからです。
相手の幸せのために何ができるかという視点が中心になっています。
結果として相談者様から感謝の言葉をいただけたり、後日談として幸せになれたという話を聴くと、
自分のことのように嬉しくなるのは、私自身が幸せになるために相手を利用しているという考えではないからです。
メサイアコンプレックスを克服するためには、相手に尽くして自分を満たそうとするその振る舞いから、
まずは自分の心を満たしてから相手の喜びを配り続けると言う、方向性の違いが要になってくるのです。
過去と他人は変えられないのは分かっていても、夢中になると自然の摂理に逆らうように、膨大なエネルギーを費やしてしまうものです。
本当は自分と未来を変えることの方が数百倍も数千倍もスムーズに事が運ぶものなのです。
他人に振り回されて疲れ果てていたら、メサイアコンプレックスの存在を意識してみてください。
その気づきさえあれば。いつだって立ち直れます。
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