第210回「待っていれば、そのうち理想の相手と巡り合って付き合えるだろう-その1-」
今回のコラムタイトルは、まさに私自身が10代後半から20代前半で想像していた願望、妄想です。
私は男性なので、男性目線での観点になりますが、正直なところ、この時期には異性と接する機会さえあれば、自然に彼女ができるという根拠のない自信がありました。
ドラマや先輩のエピソードから過度な期待を持っていたのかもしれません。
傍から見ればかなり痛い奴ですが、もちろん周囲の人間には口にはしていません。
いくら私でも結果が出ていないのに宣言するのは法螺を吹いているようで、羞恥心はあったのです。
その当時は、自分自身の妄想の世界を生きていて、恋に恋をしていた状態といった表現が的確かもしれません。
大学時代の妄想ルートを辿ると、
大学に入れば自動的に付き合える。
↓No
サークルに入ればすぐに彼女ができる。
↓No
合コンに参加すれば簡単に付き合える。
↓No
他大学の学園祭に行けばすぐに恋人候補に巡り会える。
↓No
バイトを始めれば複数の女性から告白される。
↓No
思い通りにならない現実に気付く
場面場面で自分にとって都合の良い妄想を描いていましたが、どの過程でも具現化することはありませんでした。
こうやって改めて眺めてみると分かるように、全部受け身で短絡的なイメージだったのです。
私がなぜ今回このような虚しい妄想体験を吐露したかというと、私のように相手からアプローチしてもらうことを期待していて、自分からリスクを負って行動する人間が減っているのではないかと感じているからです。
恋愛に消極的な草食系人間、絶食系人間というカテゴリーが際立っていることもありますが、私の周囲の人間も含めてそう感じています。
私の友人のY君は、交際しているカップルや既婚者のノロケ話を聴く度に、
「あ~俺のこと好きになってくれる良い子いないかな~」
と、他力本願の本音を漏らしています。
「自分は三次元の女性には一切興味がないし、結婚する気は毛頭ない」
と、独自の恋愛観を真顔で語るラブライバー のS君もそうです。
「好きになった相手から告白してもらえたら、なんて楽なんだろう」とぼやかれた相談者様も少なくはありません。
実際の恋愛というものは、待っているだけでは決して願望が実現することはないものです。
そもそも好きになった相手からアプローチしてくることはそうあるものではありません。
当たり前すぎることですが、その根底から目を背けてしまい、都合の良い妄想の世界に入り浸る限り、いつまで経っても絵に描いた餅を追い続ける人生で終わってしまうのです。
独りよがりの想いが先走って、感情がコントロールできなくなってしまい、暴走エンドを迎えてしまうのは、「自分が好きになった相手だから期待に応えてくれるに違いない」という妄想が膨張して弾けてしまうからなのです。
そう言うと、
「でも、イケメンやカワイイ子ならば、自分からアクションを起こさなくても相手の方から好意を寄せられるじゃないか!」
と反論したくなる人もいるでしょう。
確かに、特筆してモテる要素があれば、向こうから言い寄られる人生もあるでしょう。
でも、彼らは天性の容姿に甘んじて、ただ何もしないで生きているだけではなく、自分の魅力を深めるために努力を惜しまずに、内面に自信を持っていることが往々にして共通しているのです。
異性にモテるような人間は、表面では見えないところで、人一倍苦労を重ねているものです。
それに、モテる人間は積極的なので、臆することなく気に入った異性に好意をアピールしています。
傍から見れば受け身のように見えても、当事者は何もしていないわけではなくて、やることはしっかりやっているのです。
決して焦っておらず、がっついていない余裕があるからこそ生まれる関係なのです。
まるで私がモテる人間側であるように感じるかもしれませんが、冒頭で体験談をお披露目したように、私も受け身の考えで、全く恋愛とは縁のない人生を放浪していた身です。
成功している先人を羨ましがりながら、進歩もなければ発展もない生き方に気付くのに長い年月を要したものです。
待っていても恋愛のチャンスはやってこないと認めること、他人は思い通りにならない事実を受け止めることは苦痛が伴いましたが、そのおかげで人生が転換するわけです。
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