第36回「本気で死を選ぼうとしたその先には-片思いから壊れていく心」その7

2015年12月3日実体験・人間考察コラム

蘇るあの瞬間の虚脱感。

いつかまた会える日がくる。もっと強くなりたい。

その先にはまたあの日の関係に戻れた二人がいるから。

その思いだけで今日まで生きてきました。

私はディスプレイを見つめながら奮い立つ全身に歯止めをかけられず、直接電話をせずにはいられませんでした。
  
  
きっと新しいアドレスを知らせるにも気まずくて送れなかっただけに違いない。

何か理由があるはずだ。

 
取り乱そうとする自分を必死に激励しながら、それでも事実を確かめるため、電話をかけていました。

幸いなことに、電話番号は当時のまま繋がり、彼女はすぐに出ました。

しかし、これもまた描いていた一つの現実のように彼女は誰がかけてきたかわからないようでした。

私のデータは消されていたようなのです。

 
私の声を聞いて、すぐに思い出したようでしたが、この半年間全てを否定されるような一言を告げられました。

正直TAKA氏のこと忘れかけていた。

    
私の中の全てが崩壊しました。
 
この半年間一度たりとも彼女のことを忘れた瞬間はない。

未来をアシストしてくれたのは他でもない彼女じゃないか。
 
一体自分のしてきた事はなんだったのか。

あの日の思い出の曲を聴いていても、印象的なフレーズが流れては当時をフラッシュバックして、悲劇のヒーローに浸っていた自分もいました。

インターネットの相談サイトに想いを投稿しては、「大丈夫だよ」と自分を肯定してもらい、なんとか自我を見失わずにいた自分がいました。

しかし現実は理想とは全く違った。

もはや全てを悟った自分は電話を早めに切り、彼女とのこれまでの唯一の思い出である写真、手紙やメール、録音メモを消去して深い眠りにつきました。

今を生きる彼女。
過去をさまよい続ける自分。

空っぽで虚しい人生の渦中にもがいていることを認めざるを得ませんでした。

私は奈落の底へと沈んでいったのです。

この一件を境に、私の中から「情熱」とか「夢」とか「希望」「愛」という言葉はどこかに消え去っていました。

人との接触を拒み、孤独に打ちひしがれる日々でした。

彼女と出会ってから10ヶ月が経ち、季節は冬へと移り変わっていました。

私の心にも永遠の冬が到来し、完全に自分らしさを失っていくのです。

 
「TAKA氏~、忘年会のシーズンだから、また例のメンバーで集まろうよ!」
「お前最近のり悪いな」
「顔暗いよ。何かつらいことあったん?」

    

多くの知己が私の心のドアをノックしてきましたが、何人たりも受け付けない冷めた自分がいました。
 
今の荒んだ自分では今を生きているみんなに会わせる顔がなかったのです

世の中で勝ち組になれる男性は、女遊びができるくらい器用な男。

私は呪縛にとらわれていました。

自己卑下の自己暗示を常に自分にかけていくうちに、悪魔のようなもう一人の自分が出現するのをただ黙って受け入れていきました。

結局浮気をするような男性が女にとって魅力的なんだ。

不器用で駆け引きが出来ないような駄目人間は恋愛する資格すらない。

こんな想いにさせたのは誰だ、あいつのせいじゃないか!

俺はこんなにも彼女のことを想っていたのがアホみたいじゃないか!
    

時間さえあれば自分で自分を苛めて、かと思えばそんな自分を苦しめる矛先を彼女に設定し、病んだ心はブレーキが壊れて止められず、負の感情の連鎖が続く中愛憎へと変わっていったのです。 

「思」に角が生えて「鬼」になっていたのです。
    

2015年12月3日

Posted by TAKA