第94回「脈がない相手を好きになって諦められなくなったら」
日々片思いに悩む相談者様の話をお聴きしていて、客観的に見てもその恋が報われる可能性ほとんど低いと思われるケースが少なくはありません。
一度告白したものの断られてしまってから音信不通になったり、アプローチしていても好意的な反応が全く見られないような状況で、一体これからどうすれば相手と上手くいくのかを私に訊ねてこられます。
そして、脈なしだと思われる片思いに悩んでいる方がその後その相手と成就できたパターンは皆無でした。
上手く行く時は、とんとん拍子で上手くいきますし、上手く行かない時は、どれだけ努力しても手ごたえがないものです。
生まれてから20年以上恋人がいなかった男性が、出逢って数か月で両想いで交際できたケースもあれば、1年以上同じ人間を追いかけても、決して相手の心が変わることがなかった関係もあるのです。
はじめは脈ありだと思っていたのに、実際アプローチしてみたら脈なしだったけど諦められないという方もいらっしゃいます。
一つの事例をお話します。
T君は、大学4年生。
同じ学科のCさんと忘年会ではじめてプライベートの話を交わすことに成功しました。
場のノリで、自然にお互いの連絡先を交換することができました。
T君は前々から授業で見かけるCちゃんが気になっていたので、この飲み会は千載一遇のチャンスでした。
しかも、この日は恋の神様が味方をしてくれて、Cちゃんの方もT君に興味を持ってくれたようで、個人的な質問をたくさん投げかけてくれました。
「T君はかっこいいから、モテそうですね」
「私彼氏がずっといないんです」
「T君と話しているとすごく楽しいです」
他にも複数の男子がいる中での発言です。
「これは脈ありじゃないか。うまくいけるのかもしれない」と俄然テンションがMAXになったT君は、忘年会の後、Cちゃんに積極的にメールを送ったのは言うまでもありません。
ところが、いざ二人でのやり取りを開始すると、想定外の展開が待っていました。
Cちゃんの反応はあの忘年会の時とは打って変わって、素っ気ないものでした。
Cちゃんのことを知りたくて、疑問形のメールを送っても、返ってくるのは2行ほどの短文だったのです。
しかも彼女からT君にメールが送られてくることは一度もありませんでした。
T君は忘年会の時の好感触だった彼女の態度とメールの反応とのギャップに苦しみました。
彼女は自分のことを気に入ってくれたのではないのか。
T君は苦悶の末に、確信を得るために勝負に出ました。
思い切って二人でのデートに誘いましたが、彼女からは、
「その日は別の予定があるの。また今度誘ってね♪」
こんな具合でかわされてしまうのです。
いみじくもT君はそれ以来一度もCちゃんとのデートにこぎつけることができなくて、相手からのメールも来ないまま自然消滅してしまいました。
T君はどうしてあんなに最初の会合でノリがよかったCちゃんが心変わりしてしまったのだか腑に落ちないままモヤモヤが残りました。
T君のケースは、いわゆる脈なしだと判定されてしまうケースです。
T君は忘年会の時のCちゃんの愛想の良さが常に頭から離れられず、モチベーション維持していたようですが、現実は暖簾に腕押し状態でした。
もしかしたらCちゃんは飲みの場ではT君に対して場の勢いも手伝ってノリで話しかけただけだったのかもしれません。
T君にとっては脈ありだと勘違いされることとなりましたが、いざ二人でやり取りを開始してシラフになってからは、それ以上の関係に進展しないように一線を引いて接していたのかもしれません。
このように、こちらが相手に興味を持っても反応がよろしくない場合、どれだけ相手を想っても、恋愛対象として捉えてもらえないパターンは珍しくはないものです。
こちらからすれば、「あれだけ一緒に会ってくれたり、リアクションも良かったのだから、相手も自分のことを好意を持っているのではないか」という期待が芽生えてしまうものですが、相手は割り切って接している場合が多いものです。
恋愛は相手の気持ちがあってなんぼナンボなのですよね。
自分の片思いに限界を感じたり、活路が見出せなくなったら、自分の恋路を第三者に客観的に判断してもらい、違った面から現状と恋路を見つめ直すことも新しい発見に繋がるのです。
諦める必要はありませんが、進路を見失って、自分一人だけで暗中模索するのが辛くなったら、信頼できる人間を見つけてアドバイスを求めてみてください。
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