第69回「女性不信、男性不信から恋愛に対して臆病になっていたら」

2015年12月2日失恋した心に贈る


もう恋なんてしばらくしたくない!


告白して振られてしまった時、

大好きで付き合っていた恋人から別れを切り出された時、

信じていた人に裏切られてしまった時……

心の底には深い悲しみと虚脱感が広まって、それまでが嘘だったかのように陰鬱な感情に覆われてしません。

大好きだった人に突き放された後に残るのは、ともすると相手への激しい憎悪や、呼吸困難になるくらいの激しい虚無感かもしれません。

「可愛さ余って憎さ百倍」

という諺がありますが、相手のことを想えば想うほど、裏切られたという不信感から、とめどない激情に胸が支配されてしまうかもしれません。

あの日々は何だったの。自分だけに見せてくれたあの顔は幻だったの。

悲しいのは、これほど相手のことを強く想って、大切にしてきたつもりでも、相手は別れを切り出したその日から別の未来に向けて歩め始めているのです。


もしかしたら、立ち直れない自分をよそに、相手にはもう他に好きな人が出来ていて、順風満帆な毎日を過ごしているのかもしれません。

あまりにもの衝撃の大きさから、あの人を好きだった頃の「人を信じる気持ち」をすっかり見失ってしまっているかもしれません。


本当に辛かったのですね。

本当に相手のことが大好きだったのですね。

あなたが大好きだった人と、どんな過程があって、それからどれだけの時間が流れたかはわかりません。

でも、このコラムをご覧になっているということは、

「それでもまた恋をしたい。人を信じたい」

という熱い思いが胸の中に芽生えているのに気付いているからではないでしょうか。

そんな自分を認めてしまうと、また誰かに恋をして、想いが叶わなかった時や別れを迎えた時の苦しみがひとしおになってしまう。

傷つくことを恐れるあまり、自分の内なる心に見て見ぬ振りをしているのかもしれませんね。


一人取り残されてしまったように感じていらっしゃるみなさんが、それでもこのコラムを読んでくださっているということは、まだご自身の心の中に「誰かを信じる心」があるからなんです。

そして、誰かを信じることの尊さや温かさを他でもないあなた自身が経験から理解しているはず。

このご時世、日々の生活に必死で、他者に優しさを配る余裕もなく、「自分さえよければいい」という自分本位の考えが蔓延している中、あなたがあの人を信じて、仲を築いてきた事実は、後にも先にも消えることはないのです。

たとえ相手に恋人が出来たとしても、あなたと心が通っていたあの瞬間は決して幻ではないのです。


私も、好きになった人にも何度も振られて、失恋を繰り返してきた人間で、その度に「もう恋愛なんてこりごりだ」と自暴自棄になってきました。

それでも、また時が流れた後に、新しい出逢いに胸を躍らせて、気がつけば恋をしているのは、「誰かを信じて一途に想う気持ちの素晴らしさ」を学んでいたからでしょう。


大丈夫です。

今だってあなたの存在感や価値は変わっていません。

やり場のないモヤモヤとしたその感情は一時的な霧です。

ひねくれてしまっても、自分らしさを見失っていても、あなたはあなたのままでいいんです。

2015年12月2日

Posted by TAKA