第158回「上には上があるけれど」
世の中上には上があるものです。
私はまだ30年ほどしか生きていませんが、幾度となく自分よりも能力が上だと感じる人間と出逢ってきました。
私が小学校時代に通っていたそろばん塾でのエピソードです。
確かに、その人はクラスでも成績優秀でしたが、私なりに努力を重ねた結果達成できた3級でした。
自分よりも遥かに早いスピードで、自分が届かなかった上の級に合格している姿を見て、
上には上があることを目の当たりにしました。
中学3年には、さらに無力感を痛感する出来事がありました。
漢検3級試験を団体受検したのですが、無勉でも受かるだろうと高をくくって受検した私以外の全員が合格したのです。
その中には他でもない小学校時代に自分よりも遅く入塾して珠算2級合格を果たしたあの同級生もいました。
井の中の蛙だった私は、自分よりも実力が上である彼らに圧倒される体験となりました。
本試験にそれほど勉強した様子もなくともいとも簡単に合格する人もいれば、高得点を取って合格する人もいます。
一口に合格といっても、傍から見れば余裕な形で結果を出す人間が大勢いるものです。
合格を果たせたとしても、追い討ちをかけるかのように、
ギリギリ合格は、真の合格とは言えない。
というような意見を唱える人もいます。
そんな優秀組に比べて、自分はギリギリ合格した身だし、再受験でやっと受かったわけだから、合格をいまいち喜べない。
こんな自分が合格したのはマグレだろうし、余裕で合格した人と比べたら、恥ずかしい。
他人との比較は自尊心を失い、生きる気力をも萎ませてしまう悪影響を及ぼすことが往々にして生じます。
私個人の考えからすれば定められた合格ラインを突破できたのですから、何点だろうと、合格は合格なのです。
それよりも、この資格を取得した後に、いかに自分ため、家族のため、社会のために活用するかの方が大切になってきます。
私の周りにも、社会福祉士試験にギリギリ合格した後に、自分が望んでいた相談部門に異動になって自己実現を果たしている人や、
行政書士や社労士などの上級資格を取得していて第一線で活躍されている人が複数いらっしゃいます。
今、資格取得のために勉強している受験生の中にも、周囲の人間との比較によって、モチベーションが下がっている人がいらっしゃるかもしれません。
上には上が存在するのは分かってはいるけれども、その事実をつきつけられると、とんでもなく自信を失ってしまうもの。
自分はなんて無力で、周りから置いてきぼりにされているんだろう。
自分はまた来年再受験しなければならないのに、合格者は自分の届かなくて、憧れの世界に進んで距離が開いてしまった。
私は不合格の後、自分が惨めでやるせなくて、混沌とする心をコントロールできないくらい自暴自棄になってしまった時期もありました。
そんなダメな自分に救いを求めるかのように、夜の街をさまよってみたり、バーチャルの世界に浪費してみても、心の空しさは広がる一方でした。
生き方に自信をもてない時に、傍から見て上手くいっている人間と比較してしまうと、ますます落ち込んでしまうスパイラルに陥ってしまいます。
でも、真のライバルは先を進んでいる実力者ではなく、他でもない自分自身なのです。
嫉妬、羨望のドロドロとした感情を受け止められて、そんな自分に克てた暁には、自己実現を果たせます。
雨のち晴れ。
少し休んでみて、またいつもの本調子を取り戻せたら、目標に向けて一直線していただきたいです。
そしてそんなあなたに、「おめでとう」を送ってくれる大切な人が一人でもいれば宝です。
目標を達成して、あなたにしかできない新しい人生が待っています。
人生の主人公はあくまでもあなた自身なのです。
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